第17話ゴンザレス王、ぶっちゃける⑥
嫁にするのはやぶさかではない。
ナリアちゃん、超可愛いし。
でも、男はヤダ。
でも、その両性具有というものならゴンザレス、大丈夫なの……。
こうしてなし崩しにナリアちゃんは、俺の嫁の1人としてついに受け入れられた。
診断結果でやっぱり男なら、意地でもTS薬を探し出そうと心に決めながら。
そんな訳でナリアちゃんはカレンの手配した医術師に、早速診てもらうことにしてメイドに案内され部屋を出て行った。
女の子になって俺の嫁に是非。
内心ウキウキしてたら、イリスとカレンにため息吐かれ、ツバメちゃんがまあまあと宥めている。
君ら嫁同士仲良いよね?
ソーニャちゃんは、ジーっと俺を見る。
「皆、貴方の何が良いのかしら?」
俺が聞きたい……。
イリスがジーっとソーニャちゃんを見る。
「な、何よ?」
動揺するソーニャちゃんにイリスは心からに忠告でもするように言葉を紡ぐ。
「……いえ、貴女もホイホイに引っ掛からないように。
アレは引っ掛かれば最期なので。
……もしや、すでに!?」
イリスの怪しげな言葉にソーニャちゃんは大きくたじろぐ。
「……何よ、怖い言い方ね」
「怖いんです。
堕ちてしまえば、幸せなのでさらにタチが悪いのです」
イリスがしみじみと。
たはは、とカレンとツバメちゃんが苦笑い。
ゴ、ゴンザレス、なんのことだか分からなくてよ?
「……気を付けるわ」
ゴクリと喉を鳴らしソーニャちゃんは重々しく頷く。
「気を付けてください。
恐らく無駄ですが」
頷くカレンとツバメちゃん。
「どうしろというのよ!?
イリスの言い方、超怖いんだけど!?」
ソーニャちゃんは涙目で俺に訴えるが、俺にはよく分からないから何も応えれない。
そして、涙目のソーニャちゃんが超可愛い。
「話を戻しましょう。
アレスさんはメリッサに頼まれた時から、対策をお考えだったのですか?」
「いいや?
帝国が魔物対策で何やら動きをみせた時からだな。
その後の予測もできたし、はっきり言ってそれ以外に手が無いと思っていたから、メリッサがあと少し来るのが遅かったら俺は逃げていた」
カレンとソーニャちゃん、ツバメちゃんは沈黙しイリスはうんうん、と頷く。
「アレスさんが動かなかったら……。
私はそのまま死んでいたでしょうね」
だろうなぁ。
ツバメちゃんは乾いた笑いをしながら。
「改めて聞くとアレスさんとんでもないですね?」
そうか?
まあ、そうだなぁ……。
「S級美女に頼まれたら仕方ない」
イリスは呆れながら、アレス様はそういう方ですよね、と。
そればっかりは否定出来ないし、S級美女が相手なら色々賭けるだろ?
だってS級美女だよ?
壺も買うよ?
王様になってもお金持ってないけど。
あれ? 俺のお金ってどこにあるの?
ない?
あれ!? 詐欺師の時の方が金持ち?
ソーニャちゃんは椅子にぐったり。
「この際、聞くけどゲフタルで私たちを追い返した時は何したのよ?
……正直、私、何されたのか分からないまま、魔獣の大群が突っ込んで来た印象しかないのだけど?」
ツバメちゃんも頷く。
カレンもイリスもあまり良く分かってなかったのかな?
そうなのか?
まあ、指揮官とか全体を
「ドリームチームの1番の敗北理由は単純だ。
指揮官が居なかったせいだ。
リーダーになるのはカレンかハムウェイかどちらかなのは間違いなかったから、その場合、ゲフタルに負けは存在しなかったよ」
「私たちのリーダーで指揮官はアレス様ですから、アレス様が声を掛けて頂ければ、最初から戦う必要すら無かったのですけど?」
俺は目を逸らす。
そんな気はしなくもなかったけど、あの時点で認めたくなかった。
なんでチンケな詐欺師を魔王討伐に連れて行くのか、さっぱり分からない上にリーダーって何?
頭おかしいんじゃないの!?
そう思うよね?
そう訴えると、ソーニャちゃんがぐったり椅子にもたれかかりながらジト目で睨む。
「いや、だから貴方、私たちをボコボコにしたじゃない。
何処の
俺はまた目を逸らす。
やらかしたのよ〜♪
「……もういいけど、カレン様とレックファルト伯爵だと、どうして負けがないのよ?
2人ともあの時のチームで1位と2位よ?」
レックファルト伯爵って……ああ、ハムウェイのことか。
「1位と2位だからだよ。
1番の戦力が指揮をしたら、どうやって全力を出せる?
全力を出してたら指揮する暇なんかねぇぞ?
先陣突っ込んで勢いづかせる方法もあるけど、それは騎馬や突撃が有効な時に限るし、相手が罠を仕掛けている時に突っ込んだらダメだろ?」
その罠を食い破るぐらいの勢いがあれば別だが、それこそ俺が注意していたところなので対策はしておいたがな。
どっちにしろ指揮官の性質というのは、そのままチームの質だ。
「あのチームでゲフタルに勝つ可能性があったのは、エルフ女とイリスだけだな。
ま、どちらもメンバー的にあり得ないがな」
「私、ですか?」
「おうよ」
さっきも1番2番は、ここぞという時に罠を食い破るのに必要だ。
大事なのは全体を俯瞰してみることだ。
エルフ女は補助型、イリスはスピード型。
イリスについてはあのメンバーでは一歩後ろに引いただろうから。
エルフ女も人の性質、魔力の性質と言ってもいいが、それを見分けることが出来るからな。
もっとも仮にそうだとしても、こちらはチームの性格やら魔力パターンやら全部知ってる訳だから、それに沿って罠を仕掛けておけばいいだけだった訳だが。
まあ、そこはあえて言わない。
イリスがなんだかニコニコとご機嫌な顔で分かってますよ、アレス様は流石ですと俺の耳元で囁く。
あふん、耳はダメよぉ!
「だけって……貴方。
もしよ? もし数に任せ全軍で突っ込んでいたらどうするつもりだったのよ?
罠の量以上の軍勢がこっちには居たのよ!?」
ソーニャちゃんが何やら興奮しているが俺は冷静に返す。
「そうなればもっと簡単だったよ?
魔獣を呼ぶ薬を投げつければ、後ろから魔獣が突っ込んできて軍は混乱。
そうなれば、ソーニャちゃんたちもゲフタルに構ってられなかっただろ?」
「あっ……」
ソーニャちゃんは呆然とする。
手順的に最後に回した魔獣の呼び寄せを最初にかますだけでオーケーだ。
ドリームチーム相手の最初からそうしていれば?
こういうトドメの一撃は先に見せると対処されるだろ?
軍は一旦動き出したら動きを急に変えるなんて出来無いから、隙が出来たタイミングで使うのがベストなんだよ。
調子に乗ってそこまで説明してあげると、何故かソーニャちゃんはワナワナ震え……。
「よくそれで、チンケな詐欺師って名乗ったわね!?
それこそ詐欺じゃない!!」
なんでだ!?
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