第8話ゴンザレス王、悪領主を成敗?③
「アレスお兄様。ご無事ですか?」
ツバメちゃんの後ろから、ヒョコリとナリアちゃんが顔を出す。
「ナリアちゃんが連れて行かれたのに気付いて、呼びに来てくれたんですよ?」
おお、そうだったのか。
ツバメちゃんの後ろから顔を出すナリアちゃんは、やはり見た目S級美少女。
うんうん、TS薬が手に入ったら真っ先に頂くからね?
そう俺は心に誓う。
おもむろに俺は立ち上がる。
「行くか」
「御意」
ツバメちゃんが応える。
ナリアちゃんが首を傾げる。
「お2人とも普段からそんな感じでしたか?」
「へへへー、メリッサさんやイリスさんがやってて、格好良かったからマネしちゃったぁ!」
……様式美ってヤツよ?
「ところでツバメちゃん。
なんでNo.0を返せだったの?」
「王様を返せだと色々問題あるし、アレスさんを返せだと人質にとか考えられても面倒だし、No.0を返せならなんとなく良いかなって」
あ、ツバメちゃんって感覚派なのね?
そういえば村娘だったわね、この娘。
教育は大事ね!
今度、絵本から読ませよう、うん。
俺としては事ここに至れば、もう突っ切るしかない状況なので。
書物を領主の魔の手から進むべく領主の後を追う……って何処行った?
「こっちだと思います」
ナリアちゃんが上への階段を指差す。
なんで分かるの?
「なんとなく。僕、勘が強いので」
勘? 勘ってなんぞや?
新人類か、それとも第3の性別とかいうアレか?
「部族の長の一族の『女性』は何かを感じ取る直感力が強いのです。
アレス兄様を『悪しき』モノでは無いと判断したのも、僕やトレア姉様の力なんです」
詐欺師を『悪しき』では無いと、判断してる時点で問題ありだと思うぞ?
あれか? チンケだからか?
チンケな詐欺師だから許してくれたのか!?
そういう事にしておけばこれからも良い感じで生きられそうである。
あと『女性』と言ったところは俺は突っ込まないぞ?
突っ込まないからな!
エルフ女連れて来い!!
ちなみに星見の里の残念妖艶娘もそういう感じの能力持ってたな。
詐欺師泣かせの嘘見破るヤツ。
色んな意味で非常に当てにならなさそうな能力だけど、それに従い3人で移動する。
「行き止まり……」
本棚が一つ。
おや? この本棚並びがおかしいな?
納得行かん、何故6巻の位置に9巻の本があるのだ!!
気に入らん!
いっそ逆さにでもしろと言うのか!!
あれ? この本、取り出せないぞ?
ネジを巻くように、本だけ回転出来る不思議〜。
嫌がらせに逆さにしてみた。
……本棚が引き戸のように開いた。
「アレスさん。すごーい!!」
「流石はアレス兄様」
「そ、そうだろ?」
嫌がらせしようとしただけなのは、永遠の秘密だ!
本棚の向こうには下に降りる階段。
成る程、隠し部屋か。
奥の部屋には沢山の財宝に書物、金貨が山のように。
はは〜ん、敬虔な女神教と偽って燃やさず書物を売ったりしてたんだな。
他にも様々なことをして集めた財宝か。
「き、貴様らはなんなんだ!?
なんでワシがこんな事に!」
なんだも何も貴方に拉致られて連れて来られただけですが?
それ以上、俺はどう言って良いのか浮かばない。
ここで財宝奪ってしまえば強盗……になるのか?
うーん、でも敵対してる訳だしなぁ。
俺が何も言えずにいると、ツバメちゃんが私の出番、とでも言うように目をキラキラして前に出てきた。
「やいやいやい!
悪徳領主ー!
あんたの悪行、とくと聞かせてもらったわ!
例え女神が許そうとも、この世界最強No.0様は、あ〜……、お見逃ししやせんぜ!!!」
芝居がかった言い方で腰を落として手を開き、決めポーズ。
うん、ツバメちゃん、君は何処を目指しているのかな?
それと悪行って住民が言ってた話だよね?
住民が嘘を吐いたり訴えと違う場合があると言ったの君だよね? ねえ?
「ぐぬぬ……は!
その銀髪!? No.0!?
ならばもしや、貴方様は!?
ぐぬぬー!!!!
そうだとしたら最早これまで!
我が国の王とはいえ、知られたからには生かしてはおけん!!
皆の者! であえー! であえー!」
色々とツッコミどころは満載だが、罠だったか!
抜かったわ!
だがいつまでも経っても、人が出てくる様子もなければ、足音もない。
シーンという無音の音が聞こえて来そうだ。
俺はポツリと。
「何処か兵とか隠してるの?」
「アレス兄様。
ここは私たちしか気配はありませんが?」
ナリアちゃんは気配が読めるんだね!
すごいね。
ガクッと力尽きる悪徳領主。
口から出まかせかよ!?
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