第23話【魔王編】ゴンザレスとグレーターデーモン裏話③
どうもアレスです。
ゴンザレス?
いえいえ、そんな人は知りません。
あっしはチンケな詐欺師ですわ〜。
舟乗りの夫婦がその後どうなるにせよ、揉め事に巻き込まれないように、颯爽と俺は次の街に足を運ぶ。
こちらの街ではとある商家が、それなりでそれなりの本をお持ちだとか。
なんでも1人娘のために、物語を買い集めたとか。
そうして、娘は箱入り娘……にはならず、その娘は飲み屋の店員などしつつ、男を漁っていたりする。
親の心、子知らずである。
まあ、俺にとっては好都合である。
その娘バーバラちゃんが俺がアプローチすると、それに応えてしなだれかかる。
「というわけで〜、今宵は君と一晩のメイクラブって事で、どう?」
「え〜、でも、ちょっとお金弾んでくれたらメイクラブ行っちゃうかも!」
金持ちの子なんだから、小遣い貰ったら良いやん?
そんなことをと言うかもしれないが、そこはしっかり商家。
遊ぶ金のためだけに簡単に金を出したりはしないのである。
ま、これまた俺の好都合、メイクラブのついでに本を頂いてしまおうという壮大な計画である。
S級美女との一晩の軌跡は
人の夢と書いて儚い。
そんなものだ。
流石にあんなふうに毎回命を賭けてたら、いつか確実に死んじゃう。
ゴンザレス、100歳まで生きるの。
ちなみにこの街に移動しながらも、俺は帝国の情報を集めた。
だってゴンザレス、重犯罪人になっちゃったから。
生きるために逃げ続けねばならぬ、悲しき定め。
必ず生きて、永遠に逃げ切って見せよう。
とりあえず海渡ろうかな?
そんなふうに考えながら川を降り、海沿いの国商業連合国に来た。
正式名称はバーラト商業連合国、まあ、どうでも良いことだ。
聞くところによると、この商業連合国と帝国は領土問題を抱えているらしい。
帝国は世界覇権を目論んでいるそうなので、何処相手でも領土問題抱えてるけど。
大戦は是非やめて欲しい。
健全な書物の反映に大いに邪魔になる。
そんなこと企むならゴンザレス本気になっちゃう。
本気になって、だからなんだということにしかならないけれど。
何も出来ないのだ。
それこそ世界最強No.0とかなら、可能なのかもしれないけれどな。
まあ、どうでも良いんだけど。
その大国のお尋ね者がこの私、詐欺師ゴン、じゃなかった、詐欺師アレスである。
で、だ。
肝心のそのお尋ね者の噂はどうかと言うと……何もないのだ。
これには俺は首を
この街に着いた当初ならまだ分かる。
なかなかのスピードで帝国を抜け出し移動した自信がある。
本来は高額で川を渡ろうにも、渡し賃が高くてそう簡単に渡し舟に乗れないところを、得意の詐欺で華麗に渡って見せた。
帝国の現在の情報はすぐ手に入った。
流石、商業の国である。
それなのに大森林を燃やした犯人のことは何一つ情報が入ってこないのだ。
……いや、情報が入って来ないは間違いだ。
俺が思ってた情報と違い過ぎるのだ。
帝国が徹底的な情報統制をしているのだろうか?
あり得ないことではない。
大森林を『燃やされた』のではなく、魔獣討伐のために大胆に『燃やした』とした方がまだ聞こえが良い。
ただ帝国が独力で魔獣を討伐したと公表すればで良いだけのはずなのに、何故かその噂にそれを行ったのが世界最強No.0だという訳の分からない話が付く。
しかも、きっちり世界ランクNo.2カレン姫を救ったとまで。
これには流石に俺は頭を捻る。
世界最強No.0、何処に居たんだ?
森の中の何処かに居たのかもしれない。
もう1人だけ世界最強No.0の可能性のある人物が居る。
そうメメちゃんだ。
世界最強ランクNo.0は男とは限らない。
正体不明なのだ。
そして、メメちゃんが世界最強ランクNo.0ならば全ての辻褄が合うのだ。
帝国の諜報機関に所属して美しく強い。
実際にNo.2カレン姫を助けたのも彼女だ。
他のNo.0の噂にどう絡んでいるかは知らないが、諜報機関の人間なら各地に足を運んでいてもおかしくはない。
帝国がそのように情報操作するのは、あり得ない話では無いなと納得する。
ま、No.0が居るとしたらという話だけどね。
そう言いつつも、残念だけどメメちゃんとはもう会うこともないしなぁ。
あー、メメちゃぁぁ〜ん、可愛かったなぁ〜。
ま、過ぎたことは仕方ない。
今はこのバーバラちゃんとメイクラブで!
そこに……。
店に入って来た瞬間から、誰もが振り向かずには居られない美貌とオーラの女性がゆっくりと近付く。
「どいてください」
哀れな商家の1人娘バーバラは、その美貌の主にそう声を掛けられた瞬間に俺から飛び退いた。
呆然と俺はその美貌の主、メメちゃんに目を向けた。
「困りますね、ご主人様。
変な病気を貰われたら私にも
以後、女性関係は私が管理いたしますので、どうぞよろしくお願いします」
微笑を浮かべ、その美貌の主は何故か俺にしなだれかかる。
重犯罪にとなったはずの俺に、ご主人様って……何でしょう?
ゴンザレス、固まる。
色々な意味でゴンザレスヤッチャッタ?
「ご主人様。
ナンバーズを除けば、帝国最強を自負致します私を撒けるとお思いでしたか?
残念ですが私はご主人様のものです。
以後、置いて行くことのないよう、ご注意下さいね。
分かりましたか?」
そうして、メメは俺の耳元に口を寄せる。
「ご・主・人・様?」
て、い、こ、く、最強、キタコレ。
俺は震え上がりながら、何度も首を縦に振るしかなかった。
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