第164話ゴンザレスと年貢の納め時④

 ついに妖艶娘にも、寝床に突撃された。

 里長にされる〜、と思ったらメリッサが話を付けているそうで。


 はっはっは……どうやって?

 話付けるって何?


 その後も普通に書庫に遊びに来てるから、金で解決とかそんなのではないと……思う。

 そもそも俺金ないし。


 そうしてついに俺はカストロ公爵領に戻されることになった。

 流刑になった罪人の気分。


 ゲシュタルト連邦王国からも援軍ということで5000の兵付きで。


 今度こそ本格的にエストリア王国の王都奪還するんだと。


 帝国とコルランからも正式に増援が来るそうです。

 その中心人物はカストロ公爵アレス!


 はっはっは、逃げたけどやっぱりこうなるのね……って悪化しとるやないかい!


 帝国1万、コルラン1万、カストロ公爵領とケーリー侯爵で1万5千、ゲシュタルト5千、エール共和国とバーミリオン合わせて5千で、総勢4万5千。


 対するグローリー宰相率いるエストリア反乱軍、離反に次ぐ離反により兵数5千を切った。


 なお、こちらはカレン姫を除くナンバーズ勢揃い。

 No.1ハムウェイ、No.8イリス、No.9ツバメ、No.10ソーニャちゃん、他にメリッサ、ナユタにエルフ女。

 あちらはそれに匹敵する存在は0。


 グローリー宰相詰んでるやないかい。


 あと相手が取る方法は……。

「エストリア王都に籠城してます」

 メリッサが秘書のように報告してくれる。

 諦めるか無駄に籠城するか。


「諦めないのね……」

 援軍がないので、相手の勝利の可能性は完全に0である。


 処刑しないよ〜っと連絡しても信用出来るかー、と叫んでいるらしい。


 埒があかないのでドリームチームで突撃することになった。

 行ってらっしゃ〜いとハンカチ振ったら、やっぱり連れていかれた。


 ……分かってたよ。


 メリッサとイリスに腕を掴まれる。

 両手にラフレシア、間に俺。


「ご主人様、塔は破壊しなくて良いんですか?」

「あー、良いんじゃない?

 後で見に行くよ」

 メリッサの問いかけに緩い感じにお返事。


 グローリー宰相は当然のように王宮に居るらしい。

 もはや、その途上を阻む者は誰も居ない。


 だから王宮に火を付けようと提案。

 エストリア王女様に泣いて止められた。


 まあ、自分の家を燃やされたくはないだろうけど、抵抗されたら危ないじゃん?


 仕方がないので燃やさずに王宮に突入。

 やっぱり妨害もなく、グローリー宰相の前に出て来れた。


「爺さん、もう良いじゃん。

 普通に引き続きエストリア国宰相しててくれ」


「何を訳の分からんことを抜かす!

 反乱したワシを許すだけでなく、もう一度宰相させようなどとあり得ぬわ!!」


 いや、だって。

 権力争いとかどうでもいいし。


 そこでグローリー爺さんはニヤリと笑う。


 うげっ、気持ち悪い笑い方。


「だが、飛んで火にいる夏の虫」

「爺さん、今、冬だから」


 俺との会話に割り込む形でNo.1ハムウェイが不意打ちで槍を突き出すが、グローリー爺さんが手をかざすだけで弾かれる。


「だまらっしゃい!

 くはは……貴様らは世界の叡智の塔を壊し、ワシを追い詰めたつもりだろうが残念だったな!

 そのおかげで最後に残った世界の叡智の塔を使い、邪神の力を吸収することが出来た!

 感謝するぞ!

 塔の破壊を先にするべきだったな、ゴミムシども!!」


 変なエネルギーとか飛ばして来た。

 あっぶね!


 後ろに下がっていよう。


 ハムウェイが突く、爺さんが弾く、その隙を左右からツバメとチェイミーが飛び込むが、爺さんが両手を広げると膜が出て弾かれる。


 口から爺さんが変な光線を出して、エルフ女が俺の首根っこ持って避けさせてくれる。


「あんたちょっと自分で動きなさいよ!」


 いやぁ、ちょっと無理かな。

 だって怪獣総決戦みたいじゃん?


 その間にもナユタとソーニャちゃん、メリッサが連続攻撃するも全て弾かれる。


 爺さんは調子良く無駄無駄〜と叫んでる。


「あ、イリス今だ! 左だ!」

 俺は左側を指差す。


「ぬぬ!!」

 爺さんは素直に左を見る。


 その爺さんの後頭部をイリスが殴る。

 ぽてんと倒れる爺さん。


「戦いは終わった……」

 戦いはいつも虚しいなぁ〜。

 バトルを楽しむとか意味わかんネェし。


「……相変わらず、あんたにかかると詐欺みたいね」

 エルフ女がため息を吐く。


 みたい、じゃなくて詐欺なんだよ。

 大体、どんなに強かろうと人なんだから絶対無敵とか無いし。


 こうしてエストリア騒乱は終わった。


 最後に残った世界の叡智の塔は、何故か人の欲望を刺激することを止めたため、壊されずに現存することとなった。


 この日を境に、なぜか邪神の影響は一切現れなくなった。


 エルフ女は首を傾げ、これまた何故か俺に聞く。

「あんたなんか知ってるでしょ?

 まあ、良いけど」


 ……なんで俺が知ってるんだよ?





 そのまま数日が経った。

 何故か俺はエストリア王宮の、とーーーってもゴージャスな部屋のソファーで横になっている。


 理由?

 よく分からない。


 イリスもやって来て一通り一緒にゴロゴロした後、彼女にも俺がNo.0ではないことをついに告げる。


「そうなんですか?

 でも、あの時、助けてくれて私の居場所を作ってくれたのはアレス様ですから。

 それはまあ、今更どうでも良いことです」


 どうでも良いらしい。


 ツバメとチェイミーも一旦、帝国に戻るらしい。

 正式に俺に仕えるための手続きをするとか。

 良いのか、それは?


 これまたソファーの上で一緒にゴロゴロしてから、2人にも助けたのは誤解だと告げる。


 俺のそに言葉を聞き、ツバメとチェイミーは互いの顔を見合わせ同時に、プッと可愛く吹き出す。

 そしてツバメが諭すように。


「アレスさん。

 逃げるなら自分が川に飛び込むのが普通です。

 なんで私たちは進路から避けさせといて、自分は真っ直ぐ逃げてるんですか!

 まあ、もうどっちでも良いですよ?」


 そう言って、2人してクスクス笑う。

 やっぱりどっちでも良いらしい。


 ソーニャちゃんも帝国に帰るそうで別れの挨拶に来た。


「わ、私は、ご褒美なんてあげないからね!」

 可愛く言うので唇だけ奪っておいた。

 真っ赤な顔で逃げられた。


 残念。


 メリッサとエルフ女とナユタはなんか報告があるらしい。


「ご主人様、手当たり次第に手を出し過ぎです」


「まあ、無理矢理って訳でも無いし、良いんじゃない?

 無理矢理なら始末するけど」


「ゴンザレス様は、魅力的なお方ですから」

 ナユタ、それは流石にとんでもない詐欺レベルの誤解だと思う。


 ソファーの上で一緒にゴロゴロして。

 最後にエルフ女が爆弾を落とした。


「あ、そうだ、アレス。

 アタシ、あんたの子妊娠したから。

 名前考えといて?」


 え!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る