第160話ゴンザレスVS世界最強No.0終
アレスが立ち去った(?)その後、ゲシュタルト8剣が1人、鋼のセルバンティスは呆然とその光景を眺めた。
ケーロット伯爵子息チョッコルを擁立し、相棒の銀のゴンジと共にゲシュタルト連邦王国を手にする筈であった。
ここまでは面白いほど上手くいった。
世界最強No.0が銀髪であるという噂を利用し、第3王女と邪魔な後見の爺を監禁し、その上で銀のゴンジがNo.0として第3王女と婚約したと宣言、坊ちゃんことケーロット伯爵子息チョッコルを旗頭にゲシュタルトによる連邦王国統一を始める。
グリノアに宣戦布告。
銀のゴンジにはNo.0に相応しい実力があった。
こいつなら噂のナンバーズとも戦えるとさえ思った。
勝利に次ぐ勝利。
酒池肉林の日々であった。
星見の里の王女はさぞかし美しいと聞いていた。
戦略的に特に意味はないが、進行ルートの一つでもあったので、ついでに蹂躙することにした。
……それが全ての運の尽き。
そこに何故か存在しないはずの本物が居たのだ。
世界最強と呼ばれる存在がいる。
曰く、全てを見通す千里眼を持つ大軍師。
曰く、万の敵すらも打ちのめす大将軍。
曰く、病の悉くを治療して人を救う聖者
曰く、最強にして無敗、世界の叡智の塔に刻まれるランクNo.1も超えた最強ランクNo.0
だが、その正体は一切不明。
男か女かオカマか、年齢も不詳なら、生まれも公爵様だとか、転生者とか、生まれながらの救世主だとか、魔王を指先一つで討伐したとか、数え上げたらキリがない。
それら全てを合わせて、誰も見たことがないという。
それが、世界最強ランクNo.0
全て眉唾だと思っていた。
王都が魔獣に壊滅されかけた時、セルバンティスは当然のように王都から避難していたため、本物と呼ばれる銀髪の男に会っていない。
王都が救われたのは偶然が重なっただけ、そう考えていた。
全て真実だったのだ。
だが、だが!
全てが終わった訳ではない。
ここからゲシュタルト王都に戻りチョッコルと王女を結婚させ、再度、ゲシュタルト連邦王国統一を図る。
何故かハンカチを振っている星見の王女を見る。
成る程、見目麗しい。
景気付けに頂いて行くのも悪くない。
不幸中の幸いでNo.0は去った。
セルバンティスを止められる者はもう……居ない。
情欲に目を滾らせたセルバンティスに、星見の里の王女が気付き小刀を構える。
もう遅い!
一気に駆け出すセルバンティス。
そこに。
「エルフキィィィイッック!!!!」
後頭部を蹴り飛ばされるセルバンティス!
10回転ほど転がりセルバンティスはなんとか起き上がる。
「な、何ヤツ!?」
そこには美しい1人のエルフ。
「天呼ぶ地呼ぶ誰が呼ぶ!
誰も呼ばない?
あ、そう?
とにかく来たわ。
あ、貴女が星見の里の王女ね。
シュバインから話は聞いてるわ。
あ〜、アレスの奴、また行っちゃったわねぇ……」
星見の里王女ミランダは突然現れたエルフの女性を何がなんだか分からないまま眺める。
「えーい! 貴様!
邪魔をするな!!
ゲシュタルト8剣が1人この鋼のセルバンティス。
小娘1人ごときに!!」
セルバンティスはよく考えるべきであった。
そこに居た人物が誰なのかを。
まさに一閃。
そこに居たエルフの女性、エルフィーナは軽く剣を交差させただけ。
それだけでセルバンティスは切り捨てられた。
「ゲシュタルト8剣だかなんだか知らないけど、これでもこっちはナンバーズ並みだよ?
馬鹿にしないで欲しいわね?」
その圧倒的な実力を見せつけた。
こうして、セルバンティスたちの野望は潰えた。
彼ら自身も何が起きたのか分からぬまま。
当然、とある詐欺師にも何が起きたか分からない。
ただカバに連れ去られた。
「ま、次の居所が分かるまで私ともう1人厄介になるわね!」
そう言って笑うエルフの女性に、ミランダはただ頷くしか出来なかった。
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