第126話ゴンザレスとコルラン⑦
「アレスさんは不思議な人ですね。
最初見た時はバグ博士を騙した詐欺師かと思いましたが、そんなことはなかったです」
「奴だけは僕が唯一恐る男だよ」
後ろから抱きしめられたパーミットは、ふふっと笑う。
「アレスさんは凄い人ですが、私が好きなのはハムウェイさんだけですよ?」
……まったく、やっぱり奴には大きな借りを作ってしまったようだ。
No.0、この借りは必ず返す。
僕はそう誓った。
この日、コルラン国の世界の叡智の塔はNo.1により破壊され、コルラン国は邪神の影響から逃れることが出来た。
この事件の際、No.1が堕ちた事でコルラン上層部からはNo.1を処罰する話も出ていた。
何故ならこの時は王家にも虚ろになった者も居たからだ。
しかし、その話はすぐに却下された。
No.0とパーミット伯爵令嬢が作った薬により人々はすぐに回復したこと。
そして何より今回No.0はNo.1が堕ちて、数日も経たずに助けに現れた。
それもNo.2を連れて。
それは魔王討伐ドリームチームの固い絆を現していた。
さらにはNo.1を救済するためにNo.0は破格の報酬を用意した。
それは逆にこうとも言えた。
No.1に何かするならNo.0及びドリームチームは黙っていない、と。
世界は邪神の脅威に脅かされている。
しかし、世界には希望があった。
世界ランクNo.0。
決して世界の叡智の塔に刻まれることのなかったその名を、誰もが知っているから。
虚ろになった人の回復薬を徹夜で作り続けて、それが終わりNo.1が来た後、離れてくれない皇女様方と懲りずに一戦交えて、ソファーでぐったりしていると、ついにその時が来た。
部屋に冷た〜い空気が流れ近付いてくる。
「ご主人さまぁあ〜……。
よもや、よもや王女ホイホイは仕方ないかと思ってましたが……。
まさか、まさかまさかまさか!!!!
そちらとは!!」
おドロドロしい気配をまといついにメリッサが顔を見せたのだ!
あら?
メリッサさん、相変わらずお美しい。
ですから余計に怖く思えますのよ?
軍は?
半数はカストロ公爵領に半数は連れて来た?
へー。
俺に引っ付いていたカレン姫がその空気をモノともせずメリッサに手をフリフリ。
「あー、メリッサ〜。
ゴメンねぇ〜。
やっぱ吸引力凄いわぁー。
閉じ込められちゃって今度こそもうダメかなぁ、と思ってたらさぁー。
絶妙なタイミングで助けに来るんだもの〜。
ヤッバイわぁ〜、堕ちるに決まってるわぁ〜。
メリッサが堕ちた理由、とことん分かったわよ。
どこの世界に世界ランクNo.2の私を助けに来れる男が居るってのよ〜、あ、ここに居たわ、てへ。
そんな訳でホイホイされちゃった♡
仕方ないよね!」
帝国皇女様はそう言ってメリッサをからかう。
う〜っと涙目になるメリッサ。
う! 詐欺師の俺すら罪悪感!?
「あんた、やっぱりハーレム作っちゃってるわよね……」
「え、エルフ女……やっぱそう思う?
コレ、何かがおかしいよね?
ど、どこの世界に世界の名だたる美姫をハーレムにするチンケな詐欺師がいると言うんだ?」
流石の俺もこの現実に涙目。
手を出した実行犯が俺であることは置いておいて。
「ここに居るわよ、詐欺師とか自称する奴が」
自称じゃない!
自称じゃないのよ!?
お願い認めて!?
俺が王宮の執務官と同じように半泣きになりながらエルフ女に訴える。
なお、帝国皇女様とエストリア王女様と元皇女様にソファーの上でしがみ付かれながら……。
執政官のように俺に逃げ場なし!!
「これは流石にアタシも想像してなかったわ……。
まさか帝国皇女様にまで手を出すなんて。
あんた、今度こそ色々諦めな?」
い、いやだぁぁぁぁああああああ!!!!
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