第127話ゴンザレスとNo.1、あとエルフ女①

 世界最強と呼ばれる存在がいる。


 曰く、全てを見通す千里眼を持つ大軍師。

 曰く、万の敵すらも打ちのめす大将軍。

 曰く、病の悉くを治療して人を救う聖者

 曰く、最強にして無敗、世界の叡智の塔に刻まれるランクNo.1も超えた最強ランクNo.0


 だが、その正体は一切不明。

 男か女かオカマか、年齢も不詳なら、生まれも公爵様だとか、転生者とか、生まれながらの救世主だとか、魔王を指先一つで討伐したとか、数え上げたらキリがない。

 それら全てを合わせて、誰も見たことがないという。


 それが、世界最強ランクNo.0





 どうも、アレスです。

 かつてはゴンザレスとも呼ばれました。


 詐欺師です。

 詐欺師だよ?


 ……嘘だよね?

 嘘だと言ってよ!


 もう誰も俺を詐欺師と思ってないとか無いよね!?

 俺、違うからね!?

 No.0じゃないし、カストロ公爵でもない!


 そもそも俺は貴族じゃない!!!!!

 さらに言えば総司令官も総指揮官も違うし、その2つの違いも分からない!!


 ましてや世界を救うために走り回ってるなんて、まったくないから!

 なんで逃げただけでなんでこうなるんだ?


 ……あともう一つ。

 ハーレムなんか作ってないから。






 コルランからの援軍が追加され2000人を越える大所帯。

 作戦が決まったら、万の軍が援軍に来るんだって〜。


 へー。


 作戦決めるのカストロ公爵って言う人らしいよ?


 へー。







 俺かよ。





「ハムウェイに話があるから。

 魔王にも関係あるからエルフ女も」

 そう言って俺は皇女王女元皇女と違う馬車に乗り込んだ。


 何あれ?

 あの馬車だけのランクで言うなら、SSSランクの美女でVIPたちに、お外に1人美女S。

 そんな集団が出来上がってるんだけど?


 そんでもって、俺、あの中に混じって良いんだって〜。


 ハハハ(゚∀゚)


 こえぇよ!


 何、その怪獣の中に人間1人みたいな感じ!


 もうね、最近、勘違いのレベルが酷くておかしくなりそう。


 そもそもこの集団、何処に向かってると思います?

 わたくしの領のカストロ公爵領ですって。


 オホホホ(゚∀゚)


 俺、いつから所領持ちの貴族なの?


「結構、前からでしょ?

 少なくともアタシと会った時には、もうこんな感じだったし」


「そんなことない!

 そんなことないぞ! エルフ女!!

 俺は詐欺師だ!!

 最初っからずっと詐欺師だ!!」


 酷い風評被害だ!

 訴えてやる!

 具体的には身体で支払え!!


「ところで良かったの?

 そこのNo.1にバラして?」


 話についていけずに戸惑う世界ランクNo.1。

 この度、S級美女のパーミットちゃんと婚約してすぐに単身赴任中!


 やらせはせぬ、やらせはせぬぞ!!

 1人だけ幸せになど!!!

 イケメェェエエエエン!!!


「考えたんだがなぁ。

 バラしてももう殺されなさそうだし良いかなぁ〜っと」


 蚊帳の外の戸惑うイケメンをちろっと見る。


「でも皇女様とかにアンタがただの詐欺師って、バラされたら不味くないの?」


 そうだったぁぁぁああああ!!

 帝国皇女様をただの詐欺師が頂いちゃったなんてバレたら即処刑!

 嘘でも詐欺でも世界最強No.0が手を出したことにしておかないと殺されてしまう!!


「何卒! 何卒! 御内密に!」


 狭い馬車の中でなんとか土下座ポーズ。

 尻が下がらず頭だけ床につけるポーズ。


「アンタ、それバカにしているようにしか見えないわよ?」


 そ、その誤解はマズイ!!


 ハムウェイの足にしがみ付き懇願する。

 何卒! 何卒! お許しを〜。

 確実に処刑される!


 皇女様に手を出したのは実はただの詐欺師ですよ?

 ゴメンちゃい!?


 許すかボケー!!

 存在自体を抹消されるわ!

 皇女様自身の手で無かったことにされるわ!


「そういう訳で、わたくし世界最強のNo.0でカストロ公爵ということでよろしくお願いします、ハムウェイ様」


 そこでキッと俺を睨む世界ランクNo.1ハムウェイ。

「それでは何かい?

 君は皆を騙していたというのかい?」


 あれ?

 首を傾げつつエルフ女と顔を見合わす。

(ちょっとエルフ女さん?

 ハムウェイさん、ちょっとお堅い雰囲気でしてよ?)


(この人、割と堅物でしょ?

 魔王討伐の時にハーレムドリームなんて言われてた時も、誰にもアプローチ掛けてなかったし)


 なんだと!?

 あの美女集団を見て何もアプローチをかけないなんて!


 ふてぇ、野郎だ!

 礼義として、一晩のお願いぐらいするだろ!?


 その結果が今だ!

 ちくしょぉぉおおおお!!!!


(あれ?

 じゃあ、この状況ちょっとヤバくない?)

(ヤバいわね? ヤバヤバよ)


 ヤバヤバって何?

 とにかくヤバいってことか。


 ナルホドナルホド。

 ……って、こんなところでゴンザレス最大のピーーーンチ!!!!

 このままでは。


 ポワポワポワワ〜ンと想像する。


「エルフィーナ。君も彼と関係があるのか?」

「関係があると言えば、あるわね」

「なんで、詐欺師なんかと」

「騙されたのよ」

「君という奴は!! 昇天させてやる!」

「きゃー! やめてー! 逝っちゃう!

 逝っちゃうから!

 そんな太いもので突こうとしないでー!」

「黙れ! この僕の精神棍棒で貫いてやる!」

「あーれー! おたすけー!

 こんなところで(命を)散らしちゃうー!!」


 


「ということになってしまうじゃないか!」

「ねえ、あんたその言い方わざとよね?」


 何がだ!?

 ギャーとハムウェイの『モノ』に刺し貫かれるまでの、想像をしてしまった俺の身になれエルフ女!


「なるかもね〜、それとあっさり流したけどアンタの想像なんか違くない?」

「何とかしろ! エルフ女」

「自業自得でしょ?

 自分で言いくるめなさいよ?

 アタシが騙されたのはほんとだし」


 グヌヌ!

 考えろー考えろー!!


 そうだ!

 騙せばいいんだ。

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