第90話ゴンザレスとゲシュタルト③

 どうも、ゴンザレスです。


 アレスの方がカッコいいから、そう名乗りたいです。


 今、王女様とティータイムです。

 王女様、綺麗なドレスです。


 ところで俺は自分をチンケな詐欺師だと認識してますが、実は違ったのでしょうか?


 実は俺、公爵様だったりしてぇ〜。


 ハハハ(゚∀゚)


 なんでこうなってるんだ?





「ゴンザレス様の噂は、皆様からよく聞いておりましたわ。

 数々の武勇伝とロマンスについて」

「それは別人の話です。

 お間違えなきよう」


 そんなものはない!

 一切あるわけがない!


「そうなんですか?

 例えば、イリス様からは国も失い、1人きりで生きる気力も失くしかけた時に、心を救って頂いたと」

「間違いなく別人ですね」


 俺はNo.8を詐欺に掛けただけだ。




「メリッサ様からは、絶望の中でカレン姫様と帝国を救ってもらったと」

「間違いなく誤解ですね」


 メメちゃん、自分でNo.2助け出してたやないか。




「同様にカレン姫様も、誰も敵わなかったグレーターデーモンを倒し助けてもらったと」

「さっきも言ったように誤解です」


 グレーターデーモンが、どうなったかなんて知らんわ。




「ツバメさんとチェイミーさんは、自らの命も顧みず助けてもらったと」

「きっと気のせいです」


 川に突き落として逃げたとは言えん!





「ソーニャ様は、魔獣に殺された他のナンバーズと、同じ運命を辿るところを救ってもらったと」

「もはや、なんのことか分かりません」


 本当になんのこと?





「キョウさんは、武器も持たずに負けたと」

「記憶が錯乱しているのでしょう」


 偶然、TS薬があって良かった。





「ハムウェイさんは覚えてろよ、と」

「イケメンは敵です。でも、怖いので忘れておきます」


 なんであいつだけ伝言形式?





「エルフィーナさんは騙されたと」

「それは事実です」


 エルフ女だけ本当のこと言うよな。





「……。」

 俺たち2人の間に沈黙が流れる。


「……え〜、そんな訳で、誤解ですので、開放して頂ければ、と」


「ですけど、全員と関わり合いがある訳ですね?」

 いいえ、関わり合いではありません。

 顔見知りの他人です。



「最後に一つ。

 我々、ゲシュタルトがゲフタルを動かそうと、魔王討伐軍を差し向けた時、世界最強メンバーの皆さんをボコボコにして追い返したのは、貴方ですね?


 あ、これについては証拠を集めてますので証言は不要ですよ?」

 にっこりと笑う王女様。


 戦姫と呼ぶにふさわしい威圧を持って。


 あっら〜、いい笑顔ね!

 可愛いのに、とっても怖いわぁ〜!


「ハハハ、それも誤解……じゃないかなぁ?

 俺はアイデアを出しただけで……」


「これについてはゲフタルの代表シュバインから直接、お手紙を頂き証言を頂いております。


 全て貴方の策をそのまま実行しただけだと。


 あと、その最高の知恵者の援軍を送るから魔王討伐に役立ててくれ、と」


 あの野郎ーーー!!!


 逃がしてくれたんじゃなくてはめられた!

 ゲシュタルト行くの読まれてたー!!!


 テーブルに突っ伏す俺。


「そういう訳で逃しませんので」

 またニッコリと。


 あら、いい笑顔ね。

 No.8やメメちゃんみたいな、逃しませんわの笑顔ね!


 今度こそ手は出さないわよ!

 美人でも怖いもの!!




 そういう訳で王宮に軟禁というやつです。


 大きなソファーで転がり、王宮の本を片手にご飯の時間を待つ。


 あれ? これ最高じゃね? 

 そんなこと思ってたりすると、すぐに鎧姿の第3王女現る。


「さあ! 現場に行きますよ!」


 いーやーだー!

 ここでゴロゴロするんだ!!


 そう訴える間もなく、ズルズルと連れて行かれる。

 細く見えるけど、流石戦姫。

 力がとってもお強い……。







 そして戦場では。


「やあやあ! 我こそは……どぶしっ!」

「ケーロット伯爵様ー!! おのれ魔獣め!

 神聖なる名乗りを邪魔するとは! ゲブッ!」



 少し離れた高台から、魔獣に突撃を受ける騎士の様子が見える。

「何やってんの? あれ」


 俺は騎士が魔獣の前でランス片手に、名乗りを上げている現場を見せられている。

 騎士の馬の隣には、従者が大人しく主人が名乗りを上げるのを待っている。

 そして、魔獣に押し潰された。


 隣の戦姫がぐぬぬとうめく。

「おのれ! 魔獣め! 屈強な騎士をよもやこのような手で!」


 そこで戦姫は俺に振り返り、

「ゴンザレス殿! いや! No.0!! 何か策を!」


「先に魔獣相手の名乗りをやめさせろやぁぁぁああああああ!!!!!!!!!!」


「な!? 名乗りは神聖なる騎士の儀式ですぞ!」

「魔獣相手に名乗りを上げて、誰が聞いてくれるってんだー!!」


「我らが聞いてますぞ!」

「お前らが聞いてる間に、魔獣から突撃受けてるだろがぁああああ!!!!」



 勝てるかぁあああああ!!!!!

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