第44話エルフ師匠、通称エルフ女登場①
どーもー。
ちょっと砂漠の国で若い2人を引っ掛けて、100枚もの金貨を手に入れてウハウハで1人密林を進むゴンザレス、じゃなかった、アレスです!
あつ〜い砂漠の国におさらば!
へへへ……でもおかしいな? 俺、ただのチンケな詐欺師なはずなのになんでこんなところにいるんだろう?
まあ、そんなことは置いておいて、今は海から遠く離れた砂漠。
その砂漠を迂回しながらエストリア国に向かう途中。
大きな密林に突入した。
砂漠は砂漠で大変だが、密林は色んな危険な動植物や虫などがいるからやっぱり大変だ。
そして、1番大変なのが……。
「あれ? 道こっちだったかな?」
迷ったらヤバいということだ。
しかも、木の上から不意打ちでヘビとかも飛んでくるから怖いのなんのって!
早速来たー!!
「ヒーヤー!!!」
俺はダッシュで密林を走る。
当然さらに迷う。
ぜーはーと荒く息を吐く。
ふとそこで視界の先におかしなものが見えたので、真っ直ぐそちらに向かう。
木々の先に突然、広く平面な原っぱに一軒家がポツンと現れたのだ。
その不可思議さに首を傾げながらその家に近付く。
こういう家には魔女が住むのが定番だ。
美女の魔女なら一晩お相手してもらおう。
老婆の魔女なら色々頂いて帰ろう。
軽〜くこんこんとノックして扉を開ける。
「すみませーん、お邪魔しますよ〜……」
大きな声では言わず、形だけ口にして、一歩家の中に足を踏み入れる。
これで不法侵入ではない!
無いったらない!
……不法侵入だけどな!
「おやおや? 珍しくお客さん?」
家の奥から美しいエルフ美女が出て来た。
長身タイプのモデル系ではなく、美人の中にも可愛さを兼ね備えたふんわり系?
スタイル良し!
「これはこれは失礼しました。
このような場所に家があるものだから、誰も居られないかと思いましたよ」
俺は紳士的にご挨拶。
美女となれば方針は決まった!
是非一晩!
エルフ美女は不思議そうに首を傾げる。
「おかしいね? 結界が張ってあるから、魔力が殆どないか選ばれた者しかやって来れないはずなんだけど。
……だったら、アンタが今代の勇者なのかな?
それっぽくないけれど、まあ、身なりで勇者が決まる訳でもないか。
おあがりよ」
エルフ美女は勝手に話して、俺に背を向けて奥に戻っていく。
うん、間違いなく魔力がない方だな。
まあ、そのおかげで美女とお近づきになれるんだ! 願ったり叶ったりだ。
部屋は普通のワンフロア。
ベッドは一つ。
良し! 一緒に寝よう!
促されてソファーに座る。
「ご存知とは思うが、私はエルフィーナ。剣聖の担い手と言った方が良いかな?」
「いや、ごめん、知らないから」
迷って来ただけだから。
「へ? ああ、そうなんだ? よく来れたね? 運命に導かれた勇者が自然と立ち寄ると言われてるから、それかな?」
「そもそも剣聖の担い手なんて、残念だけど聞いたことないから」
勇者伝説に出てきそうなものだが。
「へ? そうなの? 魔王が出た時、救世主たる勇者に修行を施す存在なんだけど本当に知らない?」
俺は頷く。
エルフ女は、だから1000年間誰も来なかったのかな、とぶつぶつ言っている。
知ってる人は知ってるんじゃないか?
国上層部とか、教会とか。
しかしそうか、このエルフ女は1000歳以上のババアか。
俺はエルフ女がぶつぶつ言っている間、ジロジロと身体付きを見る。
うん、流石はエルフ。
美人で可愛いし1000歳だろうと全然オッケー!
「よし、とにかく今代勇者が来てくれたんだ。役目を果たすと言うことで解決だ。
というわけで、今代の勇者は私の修行に耐えれるかな?」
「いえ、遠慮します」
エルフ美女は首を傾げる。
うむ、可愛いぞ。
「というわけで、今代の勇者は私の修行に耐えれるかな?」
「いや、聞こえなかった訳じゃなくて、断っただけだから」
「え!? なんで!?」
なんでって言われても。
「勇者じゃないし?」
「え!? でも、ここに来れたんだから選ばれし者だろうし、アタシその役目で1000年も1人でここに居たんだけど!?」
知らんよ。
なんで1000年間も待つんだ。
来ないんだから密林から出たらよかっただろうに。
「帰っていい?」
迷ってるから帰れねぇし、一晩お相手して欲しいけど、変な修行させられても困るし。
「え!? ダメよ!」
「でも、俺にメリットないし」
「何が欲しいの? は! まさか!」
エルフ女はガバッと自らの身体を守るように、両手で自分を抱き締める。
「うん、それで」
くれるなら貰う。
その後で逃げる。
エルフ女は俺を暫し睨み……。
「……分かりました」
あっさり根負けした。
早っ。
よっぽど、勇者に修行をしたいらしい。
だから、俺勇者じゃないって。
「ただし! きっちり究極最強勇者トレーニングコースを選んでもらいます! かつて、このコースを乗り越えた勇者がいないほどの究極のコースです!
……それを選ぶならばこの身体、貴方に渡してもよろしいでしょう!」
覚悟を秘めた目で自身の胸に手を置き、真っ直ぐに俺を見るエルフ女。
その彼女の身体を見て、俺はごくりと息を飲む。
「流石に究極最強コースは荷が重いですか?
身体は渡せませんが、これで行ける! 僕らの魔王討伐チャレンジコースでも……」
「究極最強コースで。それ以外は選ばない。
……後、これは契約だ。
その言葉、まかり間違っても取り消しはなしだ。いいな?」
俺はエルフ女の言葉を遮り、即答する。
ここは勝負に出るところだ。
「……よろしいでしょう。大エルフの象徴たる世界樹の名に賭けて、究極最強コースを選べば、我が身体貴方に捧げましょう」
掛かったな。
「うむ、いまここに契約は成った。俺は究極最強コースを選ぶ!
じゃ、ベッドに行こう」
俺はエルフ女の腰に腕を回す。
「へ?」
「まさか、約束を違えるとは言うまいな?
大エルフの象徴たる世界樹に誓った言葉を破るのは、最大の禁忌と聞いたことがあるぞ?」
古今東西、沢山の本を読んだからな!
本は素晴らしい!
「え、ええ? 約束は
この女も世間知らずよのぉお。
1000年間も密林の中に、居るからこうなるのだ。
外に出て社会に揉まれなさい!
でないと、こうして詐欺に遭うよ!
「言ったはずだよな? 『究極最強コースを選べば、我が身体貴方に捧げましょう』と。
選んだぞ?
修行をするとは言っていない。
この時点で契約成立だ。
報酬を頂く」
「詐欺だ!」
エルフ女は訴える!
「クックック! ならば、
「くっ! 卑劣な!」
エルフ女は、涙を浮かべ悔しそうにする。
だが、二流の詐欺なら高笑いでそのまま頂くところだが一流は違う!
「冗談だよ。エルフィーナ」
エルフ女の髪を優しく撫でる。
「え?」
「約束通り、君を頂くのは本当だよ? でも君を
奪われたのは身体付きにだがな!
後、貶める気はないが詐欺には掛けたけどね!
だって俺、詐欺師だから。
「一夜の願い、叶えてくれるか?」
ここは真剣に優しく、ウブなエルフ女に囁きながら。
どうせ契約だから頂くけど、恨みを買うなんて二流? いいや、三流だからな!
ウブなエルフ女は顔を赤くし、コクリと頷いた。
というか、ちょろ過ぎ。
まあ、1000年も1人で居れば流石に寂しくもなるよな。
俺には好都合!!
ふふふ! いっただきまーす!
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