第63話ゴンザレスついに捕まる①
アレスです。
またカストロ公爵に間違われました。
ゴンザレスに戻した方が良いかな?
あ、詐欺師をやってます。
現在はコルラン国で技術研究員助手をしてます。
普通に給料を貰っております。
あれ? 詐欺ってないぞ?
俺は何者だ?
「ねえ? 君、いつまで居るの?」
ハムウェイが、パーミットちゃんを後ろから抱きしめるように、引っ付いている。
パーミットちゃん、捕獲されてるよ?
でも目を合わすと背後霊が殺気を放ってくるから見ない、見えない。
「いつまでも、と申されましても……」
働けるなら、ずっと居るけど?
最近、S級は無理だけど、B上のお水のお姉さんが居たから、給料をつぎ込み、ついに店外デートに誘えそうなのだ!
我慢の日々も、もうすぐ終わらせる!
ふん、と鼻息荒く書類整理を行う。
ハムウェイはパーミットちゃんを捕獲したまま、言葉を続ける。
「ま、僕も君を見習って、欲しいもののためにあらゆる手を尽くすことにするよ」
このクソイケメンは、S級パーミットちゃんを捕獲しておいて、何を言ってるんだ?と疑問に思いつつ、無視しておいた。
この時、その意味をよく考えていれば、あるいは、あんなことは起こらなかった、かもしれない。
バタンと扉が開かれた。
そう思った瞬間には、何かが俺に体当たりして来た。
それは柔らかく温かく、とんでもなく良い匂い。
でも、意識が吹き飛ぶぐらいの、猛烈な体当たりをかませる人物。
「あるじ様ーー! お会いしたかったです!」
世界ランクNo.8、イリス・ウラハラ。
うん、どうせ逃げれなかっただろうな!
そうして、俺は意識を失った。
俺は夢を見ていた。
猛獣にモグモグガツガツ、時にふ〜にゃっと美味しく食べられる夢。
物凄い勢いで食べられているけど、脳味噌がトロけるぐらい、食べられるのが気持ちのいい、よくわからない夢。
「あるじ様……お慕いしております」
夢の向こうで聞こえるS級美女のその言葉が、俺の脳髄を甘美なまでにトロつかせ、奪ってはいけないとても大切な果実を俺がもぎ取った。
要するにS級美女と良いことしちゃった夢。
そんな夢……、夢?
目覚めると、俺のいつも泊まっているバグ博士の屋敷の一室のベッドの上で、裸で寝っ転がっていた。
何かよく分からないけれど、今まで溜まっていた何もかもがスッキリしている。
人はそれを賢者モードと言う。
詐欺に引っ掛けられたような気持ちで、ベトベトした身体を濡らした布で簡単に拭き、服を着る。
意識を失う前まで夕方だったのに、今は朝だ。
時間転移でもしてしまったのか?と思うほどだ。
仕事の時間だ。
俺の名前はアレス。
様々な土地を旅して得た知識で、バグ博士と意気投合し、それ以来、研究助手としてバグ博士の研究室で働かせてもらってる。
給料はそこまで多くは無いけれど、宿もバグ博士の屋敷に泊めてもらい、大好きな本も沢山読めて満足している。
「おはようございます」
「あ、アレスさん、おはよう」
俺が研究室に入ると、中には既に先輩のパーミットちゃんが、昨日の論文の続きをしていた。
パーミットちゃんは伯爵貴族のお嬢さんで丸メガネで野暮ったい格好をしているが、着飾るととんでもない美人、つまりS級美女に……あれ? 今何かが引っ掛かったような?
気のせいだな。
とにかく美人だ。
「やあ、おはよう。大分すっきりした顔してるね。
やはり主人の欲求不満を解消させるのも、シモベの大事な役目なんじゃないか、と
俺を見ながら何やらぶつぶつ言って、研究室に入ってきたのはハムウェイ。
なんと閃光のハムウェイと言う異名を持つ、世界ランクNo.1の凄い人でかなりのイケメンだ。
世界ランク?
何か引っかかる気はしたけど、気のせいだ。
この人はパーミットちゃんに惚れているらしく、忙しい合間をぬってパーミットちゃんに逢いに来ている。
でも鈍いパーミットちゃんは気付いてないっぽい。
でもスキンシップも多く、陥落は時間の問題なんだろうなぁと思う。
「やあ、諸君。揃っているようだね」
最後に入ってきたのが、この研究室の長バグ博士だ。
バグ博士は研究者であると共に、国お抱えの技術管理者でもあってコルラン国の伯爵でもある。
俺を拾って助手に雇ってくれた人だ。
「資料こちらで宜しかったかしら?」
「ああ、すまないね、助かったよ」
それとバグ博士と今一緒に研究室に入ってきたのが。
年の功は10代後半から20といったところ。
亜麻色の髪を肩まで伸ばし、綺麗より可愛い系だけど、どちらであってもS級と言って良い美女。
「あ♡ あるじ様! お目覚めになられたんですね!」
世界ランクNo.8イリス・ウラハラ。
俺の恐怖の対象である。
ヒーーーーアーーーーーー!!!!!!
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