第36話奴隷ゴンザレス⑥
作戦は早速行われた。
全員生きるために必死だ。
まずは残しても仕方ないので、施設にある飯をガツガツ皆で食い、チームごとに分かれて作戦開始。
坑道の簡易な地図も共有。
魔獣を誘導するポイントと爆破ポイントを指定。
生きるためにはサクサク動く。
出来るだけ分かりやすく、絵で共有。
「爆破のタイミングは間違わないように、焦っての誤爆はかなり高い頻度で発生するとも聞く。冷静な判断で頼む。
少しずつでも魔獣を足止めして、時間を稼いでくれ。
坑道の反対側への貫通作業が、間に合わなくなるかもしれないからな。
時間との勝負になるはずだから」
俺は注意事項を説明。
各々を配置につかせる。
さて、俺は出来るだけ安全なところに待機しないとね。
坑道内は突貫作業になるので、崩れるポイントも多くなってしまうので、まだ、坑道の中には入らない。
坑道の入り口付近を指揮所として設置。
準男爵看守と美少年と数名の他看守と待機。
各方面からの連絡待ち。
「だ、大丈夫だろうな……?」
準男爵看守は落ち着かない様子。
俺はどっしりと椅子に座り、
「慌てないことですよ。
指揮官が慌てると、勝てるものも勝てなくなる。
各方面の連絡を待ちましょう」
その連絡次第では、こいつら見捨てて逃げないといけないからな。
体力温存〜、慌てない慌てない。
『保険』のために、隣の美少年に声を掛ける。
「いざとなれば、必死に俺について来い」
美少年は、コクリと頷く。
素直だねぇ〜、騙されるよ?
もちろん、俺がそう言ったのは、優しさなどではない。
いざ逃げる際の囮にするためだ。
ゴツい野郎とかなら俺が囮にされてしまう。
しかも、いざという時に力で負けてしまう。
このなよっちい美少年くんならそんなことにはならなさそうだからな!
他の誰でもなく俺だけは生きる!!
にわかに騒がしくなり人が行き来し出す。
「鉱山入り口防衛線で魔獣と接触したらしい。数が多い! 長くはもたないそうだ」
連絡員の別看守が、俺たちに報告してくれる。準男爵看守が不安そうに俺を見る。
「坑道貫通進捗はどうだ?」
俺の問いにさらに別の看守が答える。
「硬い岩盤が出た。もう少し時間がかかる」
俺は思案する。
下手をすれば、逃げ場のない坑道内で奴隷と共に仲良く魔獣の餌だ。
それよりも鉱山から抜け出すか?
鉱山の山は岩山で、遮蔽物も少なく、しかも周りは崖だ。
リスクはかなり高い。
そうでなければ、こいつらを囮にして、とっくに逃げている。
俺は坑道の地図を広げる。
「最悪の場合、ここを開通出来るか?
可能なら坑道内での防衛戦を展開するのも手だ」
「確認する!」
「急げよ」
坑道担当の看守が頷いて、走り出した。
奴隷の俺の指示で。
いやぁ〜騙され易くて良いねぇ〜。
それを美少年がポーッとした顔で、俺を見ている。
見るんじゃない。
俺は男には興味ないんだ!
よく見ればこいつこんな奴隷生活していながら肌綺麗だな。
美少女みたいだ。
美少年は俺の視線にパッと赤い顔で顔を逸らした。
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