第16話ゴンザレスとキョウちゃん②

 ズカズカとキョウちゃんは、俺の元に肩をいからせやってくる。


 それでも小柄だから可愛いけど。


 その向こう側でオロオロしている仲間であろうか、美しいモデル体型の剣士とワガママボディを持つ聖女風の2人の美女。


 キョウちゃん含め美女3人の旅か。


 是非ともベッドで3人まとめて一戦願いたいものである。


 俺の目の前まで来たキョウちゃんは、その背丈の差から自然と上目遣いで俺に言った。


 超可愛い。


「よくも僕の大事なものを奪ってくれたな!」

 モノだけに?


 いやいや。


 へーい! キョウちゃん! ここ酒場! 人いっぱい!

 君何言ったか分かってる!?


 俺が目を逸らすと、キョウちゃんは指を突きつける。


「貴様だ! No.0! 聞いてるのか!」

「いえ、人違いです」

 誰ですか? No.0?

 酷い風評被害です。


 ハッとしてメメを振り返る。


「ンジー」

 わざわざ口に出してまでジト目で見られた。


 マ・ズ・イ、No.0を否定したら、No.0ではないことがバレてしまうではないか!


 急いでキョウちゃんの口を封じねば!!


「それ以上、喋るならキスで口を塞ぐぞ!」

 咄嗟に言った言葉だったが名案だった!


 俺は椅子から立ち上がる。


「ンジー!」

 なぬ!?


 何故かメメちゃんから怒りのンジーが聞こえて慌てて振り返る。


 ぶおっと顔の横で、強い風が通り過ぎた。

「ちっ! やはり避けたか」


 流石、最強勇者と呼ばれるだけの剛拳を放ったご様子。

 当たれば多分、死にはしないけど大怪我だ。


 前にも、こんなことあったよなー、と。


「何故避けれる!

 相変わらず詐欺師しかスキルが無いはずなのに!

 しかも詐欺師レベル4になってるし!」


 キョウちゃんはなんだか、興奮気味。

 情緒不安定だね?


 放っておこう。

「行こうか、メメ」


「待て! No.0!」

「その名を呼ぶな!」

 危ないだろうが、俺の身が!


 世界最強とか思われて、変な奴に襲われたらどうするんだ!


 今、襲われてるけどな!


 後ろでギャンギャン、子犬のように騒ぐキョウちゃんを無視して店を出る。

 姿は可愛いんだけどなぁ〜。


「よろしいので?」

 何が?


 あー、手を出さなくて良いのかって?


「惜しいが今は仕方ない。刻を待とう」

「御意」

 メメは、高貴な者が高貴な者へ礼をする様にそう言った。


 なんかカッコいいな。

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