第11話カストロ公爵再び②
メメとの旅は意外と悪くなかった。
悪くないというより最高だった。
食い物も移動も全て用意してくれるし、ちょっとツンとする感じもあるけどメメ可愛いし。
俺なんで詐欺師やってたっけ?
こういうのなんていうか知ってる、ヒモって言うんだ。
理想系だ。
その俺たちは港街の宿で朝食を取り、食後のお茶を飲んでいる。
「ということで、商業連合国の国家元首とのアポイントメントを取っておきました。
行ってください」
うん、そうだよねー。
タダで養ってくれるなんて、そんな美味い話はないよねー。
そんな話があったら、詐欺だから気をつけな?
詐欺師ゴンザレスからのアドバイスだ!
「なんでだ?」
「面白そうだからです」
え? 何? 何なの、その理由?
なんでその答え?
「冗談です。お仕事です。
現在、我々は帝国の調査員兼連絡員として活動しています。
その一環です」
へ〜、そうなんだ。
あれ? 俺たち帝国のお尋ね者じゃなかったっけ?
なんでそうなってるんだ?
怖いんだけど?
何度も言うけど美味しい話、それ詐欺だから。
逃げるべきかと思ったが、目の前で俺の様子に勘づいたかのように可愛いらしくニコッとする。
まあ、いいかと思った。
仕事の後にご褒美貰おう、と。
「ご主人様はチョロいですね」
チョロいと言うなー!
しかも本人の目の前で!
チクショー!
流石は元酒場の看板娘メメちゃんだ!
恐ろしい娘!
この俺がこうも簡単に手玉に取られるとは。
「ご主人様が簡単なだけですよ?」
心の声を読むなー!
そんでもって、商業連合国代表の執務室の前に居る。
「ご主人様は今、カストロ公爵の遺児アレス様です」
うん、もうちょっと事前に説明しようか?
「面白そうでしたので」
うん、可愛いく首を傾げるけどちょっと無茶苦茶だよね?
そんな風におねだりしたら何でも叶えてくれると思ってない?
何でもは無理だけど、出来ることはやるよ?
バッチコーイ!
そもそも俺ここに何しに来たの?
「とりあえず、商業連合国からカストロ公爵として領土を分捕って下さい」
「うん、ちょっと待とうか。今までもそうだったけど、流石に今回はもっと訳分からない」
ふふふ、とメメに楽しそうに笑われた。
からかわれたらしい。
ちなみにメメは、使用人の格好をしているがオーラ全開モードであり、どう見てもそんじょそこらの使用人の娘さんには見えない。
メメ曰く、護衛も兼ねているので少しぐらい存在感を出した方が侮られない、とのこと。
並ぶと、どう見ても俺の方が使用人に見える。
「帝国の者が挨拶に来るという建前が大事なのです。
その時点で仕事は完了しております。
後は、まあ、好きにしていただければ、と」
そう言われてしまえば、それで従うしか無い。
どうせ考えたところで、国のアレやコレやは予測することしか出来ない。
「何か成果あがったら、ベッドでご褒美貰うからな!」
メメは一瞬だけ、キョトンとした顔をして直ぐにふふふ、とまた笑う。
出来るならどうぞ、だと。
ムキー、やってやるぞー!
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