第6話ゴンザレスとグレーターデーモン①
そんな訳で見事に俺のしもべとなったメメを美味しく頂いたのは良いんだが、時間が経つごとにちょっとずつ俺の扱いが雑になっていった。
俺、君のご主人様なんだよね?
酒屋で軽くあしらわれる時のような感じ。
あれ? 俺もしかしてNo.0じゃないってバレてる?
気付かない方がおかしい気はしてたから、メメの方が正しい気はするが、この段階でバレるのはそれはそれでマズイ。
よし! 逃げよう。
森の中でそっと
アディオス! メメちゃん!
俺の尊敬する詐欺師シューバッハ氏は言った。
真の詐欺師とは、相手に最期まで詐欺師だと気付かせないことである、と。
そうして、彼は最期まで結婚詐欺で多くのお金と愛を巻き上げたが、本気になり過ぎた男の娘に、貴方を殺して僕も死ぬ! と刺され伝説となった。
なおその男の娘はその後、別の女性と結婚し幸せになったという。
シューバッハ氏はこうも言っているのだ。
『どれほどの善行に見えようとも、詐欺とは、何処まで言っても悪である』
故に、男の娘も重い罪には問われなかった。
その言葉を思い出す度に、お空で笑顔で笑うシューバッハ氏が見えるようだ。
シューバッハ氏の姿形知らないけれど。
それは良いとしてサクサク森の中を進むのだけど、メメは迷いなく俺について来る。
この追跡能力は例のNo.8を思い出す。
ナンバーズクラスになると、謎の追跡能力でもあるのだろう。
あれ? ということはメメもそのクラスの化け物?
基本的に魔力が強ければ強い程、美人になる傾向がある。これは体内魔力と美容が相乗効果を生み出すため、と言われている。
そこに元々の下地があればさらに倍となる。
俺、やっちゃったかも。
いや、ヤッチャッタんだけどね。
いやいや、現実逃避は良いから逃げよう。
頑張って逃げよう。
「ご主人様〜、どうするんですか?
森の中着いちゃいましたよ?」
ジーっと見られてビクッとしてしまう。
い、いかん!
動揺するな、俺!
今ここにある危機を乗り越えるのだ!
更に森へ進むが万策尽きた!
逃げられない!
ピンチだ!!!!
「んじー」
メメがわざわざ口に出して言ったので、身体が勝手にビクッとなってしまった。
クスッと嬉しそうに笑われた。
こ、これ完全に気付かれてるよね?
今のところ、それを責める気配はないのが救いだけど。
そうこうしているうちに毒の沼地に出た。
木を沼に刺し、その匂いを嗅ぎ顔を顰める。これは……。
「ご主人様大丈夫ですか? 何やってるんですか? 馬鹿ですか?」
思ったことを口に出した感じだが、そこに嫌味は感じない。
No.0ではないと気付いているだろうに、ご主人様呼びは変えないんだな、と思った。
とりあえず、更に進もうとすると、剣の光が視界のずっと先に見えた。
うん。
「……帰ろう」
「駄目です」
「嫌だ。帰る」
生きるためには、見なかったことにするのだ!
No.2とグレーターデーモンが戦っている現場なんて!!!!
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