第3話詐欺師ゴンザレス③

 これで帰ってくんねぇかなぁと思いながら、女の見ている建物を見る。


 ぼろぼろで今にも崩れそうな建物で、どう逆さに見ても、人は住んで居そうにない。


「嘘ですね?」

 だから、そんな女の一言も当然といえば、当然だ。


 どうすっかなー。

 昼間に食った飯屋のキャロットちゃん、可愛かったなぁ〜。

 夜は酒屋らしいし、行ってみっかなぁ……生きて帰れりゃあな。


 この女に会ってから想定外過ぎた。だが、次の女の言葉は想定外どころではなかった。


「貴方がランクNo.0ですね?」

「何故そう思う?」

 違いますが、何か?


「私の気当たりに動じないのは、よっぽど危機感が持てないか……それを物ともしない実力者だけです」


 気当たりってさっきから、ビシビシ飛んでくるこの殺気だよね?

 さっきからの殺気って、親父ギャグじゃないよ?

 お兄さん小物の詐欺師だよ?

 耐えれる訳ないじゃん?


 さっきから、何回殺されるビジョンが見えてると思ってんの?

 もう、諦めきって達観してるだけだよ?

 もう、笑うしかねぇよ!


「……ふ、ランクNo.0など居ない。ランクナンバーはNo.1までだ」

 絶対、眉唾だって。

 俺がランクNo.0ならハーレム作って豪遊してるよ!


「……そうシラを切るのね」

 え? そう思い女の方を見る。

 風が顔の横をすり抜ける。


 女が振るったショートソードの刃が俺の顔の横に。

「やっぱり避けたわね。

 私の必殺の一撃を……」


 ああああ、あっぶねーーー!!!

 この女、今、俺が女の方に顔を向けなかったら、そのまま顔をぶっ刺してたぞ!?


 当然、一切見えなかった。

 見えるわけがない。


 もう一回やられたら、確実にヤ・ラ・レ・ル♡


「……降参だ。初めてだよ、俺がNo.0だとバレたのは」

 バレるも何もNo.0ではないからね。


 だって、他にどうしろと!?

 No.0じゃないとバレたら、その瞬間、この女俺を切って捨てるのは間違いない。


 バレるまでの人生だとしても、俺は生き続けてやる!


「俺に何の用だ? 悪いが俺には、お前に用はないぞ?」


 もう、ほんと帰ってくんない?


「No.0、貴方に頼みがあります」

 女はショートソードを地面に置き、女自身も両膝を付くと……そのまま土下座した。


「私を……私の国を救って下さい!」


 断る!!!!!


 国って何だ、国って!

 アンタやんごとない立場のお方ですか、ひょっとして?

 世間知らずな王女様とか無いよね!?

 無いって言えよ!!


 もうちゃんと断って帰ってもらおう。


「断る。俺に何の得もないからな」

 得があっても無理なものは無理!


「私はこれでもウラハラ国の王女です!

 出来る事は何でもします! それにこれでもランクNo.10です! 国を救って頂ければ、命をかけて貴方に尽くします!」


 わお! 本当に王女だった。

 出来る事は何でも……いらんよ! こんな自爆女。

 もし、もし仮に手を出そうものなら、一生涯何を言おうと付きまとわれる。

 いつ切られるか分からない相手に付きまとわれる恐怖なんて、まっぴら御免だ!!


 それに、ウラハラ国だ〜?

 つい数ヶ月前に帝国に滅ぼされた小国じゃねぇか。滅びた国をどう救えと〜?

 その王女といえば、超特大の爆弾だ。


 しかもランクNo.10……帝国から逃げ続けてるって訳か。


 そもそも、ランクとは世界の叡智と呼ばれる時計塔に勝手に刻まれるナンバー制度だ。


 中でも世界共通ナンバーズのランクNo.10位以内はすでに人外。

 化け物にしかなれない。


 国からのランク認定だと、名誉職に使われたりするので、ランクNo.10位以内でも人としての強さでしかない。

 冒険者ギルドなんかではSランクなんかがそれに当たる。

 その内、SSSランクなんかは世界の叡智のナンバーズに張り合えるとかいう噂だ。

 あとドラゴンとか幻獣クラス。


 そんな有名な制度なので、自己申告されたら俺でも思い出すことが出来た。ランク10は何処かの国の王女であり、亜麻色の髪の美人というより可愛い感じの17歳になる若い娘……。


 疾風剣なるショートソードを使い、風の魔法を得意とする、と。


 こ、こここ、こいつだーーーーーーーー〜〜〜〜!!!!!


「やっと、やっと巡り合えたのです。

 帝国から逃げながら、噂を辿りエストリア国に入り、ようやく、ようやく巡り会えたのです!


 全てを見通す千里眼を持つ貴方様は、私のことをご存知だったはず!

 でなければ! あの沢山の人の中から、わざわざ私に貴方様から声をお掛けになるはずがありません!!!」


 知らねーよ!!!!

 アンタが田舎出の良さげなカモに見えたから声をかけただけだっつーの!


「……他を当たれ」


 俺は土下座する女の横をドキドキしながら通り、その場を立ち去った。


 マジで他を当たって下さい。

 何処かにいるかもしれない本物とか。

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