第14話冒険者ゴンザレス①

 俺の名はアスト。

 アレスは気に入ってたんだが、帝国でお尋ね者の名になったから捨てた。


 ゴンザレス? 誰だそれ?


 今、俺は帝国の冒険者ギルドにいる。

 頼りになる仲間とパーティを組むため、なんかではなく、良いカモを探すため。


 大体、冒険者と言う奴は学が無いのが殆どだ。

 だから、ちょっと上手い言葉をかけてやれば簡単に引っかかる。


 日々稽古したり本を読んだり、自己研鑽を図る奴は稀だ。

 当たり前のことだが、だからサッサと死んじまう。


 そうなるぐらいなら、俺に有効活用されるのが、冒険者の賢い使い方ってもんじゃないか?


 早速、俺は2人ほどのカモをゲットした。

 田舎出の成人したての村娘が冒険者を目指し、やって来ていたのだ。


 この2人は理解していないが、これは俺でなくても美味しい獲物だ。

 むしろ引っかかったのが、俺であったことを幸運と言って良いだろう。


 よほど上質な冒険者ギルドでもなければ、冒険者同士のいざこざは自己責任。


 当然、多くは野蛮な飢えた獣だ。

 その中に、美味しい兎ちゃんが2匹である。

 美味しく頂いて、酷い時にはダンジョンや森にポイである。


 しかもこの2人、田舎臭くはあるが、顔は悪くない。


 大人の世界の洗礼をどのように受けることになるか、想像出来るというものだ。


 もちろん、身体の方も美味しく頂くつもりだが、同意なしのつもりはない。言葉巧みにその気にさせてである。


 意外に思われるかもしれないが、俺は女好きだが、陵辱は好みではない。

 だって、金にならないから。


 その気になってくれた方が、女も金を稼いで貢いでくれ、さらにまた美味しく食べさせてくれる。

 良いことづくめだ。


「そっち! ゴブリン行ったよ!」

「任せておけ。」


 一刀の下にゴブリンを叩き斬る。

 さらに意外に思われるかもしれないが、俺は剣もそこそこ使える。


 ゴブリンぐらいはなんてことはない。

 ナンバーズ? 人外の化け物と比べるな。


 俺たちは村での依頼を受け、ゴブリン退治をしている。

 時々はこうしてゴブリンを間引いておかないと、森からゴブリンが溢れ村に大きな被害を及ぼす。


 ゴブリンという奴は少数なら大した敵ではないが、繁殖力が強く大軍になることがある。


 そうなってしまうと村が壊滅し、女子どもは、ゴブリンの繁殖のお手伝い、つまり苗床にされる。


 その手の本も沢山発売され、実話を基にしたゴブリン話は発禁処分を食らったりする。

 ちなみに俺も拝見し、大層深い感銘を受けたものだ。


 ゴブリンに生まれるのも悪くないと思ったりもしたが、すぐにほとんどのゴブリンはこうやってあっさり始末されていることを思い出した。


 ちなみにこれまた意外かもしれないが、俺は本が大好きだ。大好きだ!

 本があれば大概のことは我慢する。


 かつて、No.8の女が俺を領主として拘束したことがあったが、その時に本を大量に与えられていれば、未だにその椅子に座り続けていたかもしれない。

 あの女はアプローチを間違えていたのだ。


 それはそれとして、依頼達成を村に報告して、その夜は、3人で村でお泊り。


 村でタダ飯を食って、3人で1つの部屋へ。

 いやー、盛り上がった。


 これこそが狙いなんだよ。

 初めての依頼達成、腹も懐も満たされて、しかもゴブリンという(魔物でも)生き物を殺して、人は嫌が応にも興奮してしまうのだ。


 慣れて来ると平気にもなるが、初めての殺しはその感情を、どうしたらいいか分からないものだ。


 そこを優しく、突く!

 ほい、楽しい一夜の完成だ!

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