第2話 真夜中のシーソー
夜中、1時過ぎの辺りだったか、歯を磨きながらいつものTVを何となく観ていた。
4時間程前に就寝した筈の
歯ブラシを持っていない方の手の指で水飲み場の摘みに指を置くと、開閉部の戸が少し上に浮き上がってぎっこんばったんと上下した。
鸚哥は首を傾げ、上下する水飲み場の上で上手くバランスを取っていた。
下には新聞紙を挟みで細く切って作ったクッションが隙間なく敷き詰められている。足場の金網は足の骨をある可能性が高いと聞いたので、最初から入っていない。落ちても問題はないだろう。
最近余り構ってあげていなかった所為か、わくわくしている時に見せる首の上下運動が始まった。だが、5分も経たない内に飽きてしまったのか、隣の餌箱へと移動しようとタイミングを見計らう動きを始めた。
表情豊かな鸚哥は顔を餌箱へと向けて完全に飼い主よりも餌箱の中にある様々な穀類を見つめていた。
いざっ、片足を上げて隣に移ろうとした時、シーソーは下へと急降下した。
バランスを崩して、よろめいた鸚哥は下の新聞紙の上へ落ちそうになるのを何とか堪えて、そのまま止まると思わず冠羽が中ぐらいまで逆立った。
「焦った〜」
と思わず呟くのが聞こえた気がした。
ペットフード
夕飯を食べ終えて、さて他にやる事がないかを思い出す。
「あぁ、そうだ。銀ちゃんのごはん作らなきゃ」
我が家にはオカメインコの銀ちゃんが居る。奴は硬い種を上手く噛む事が出来ない。ひまわりや白くて硬い種を丸ごと上げると必ず口の端から吹っ飛び、鳥籠に当たって「カーン!」と爽快な音を鳴らす。
そして、その音に本気で驚き冠羽が総立ちする。
きぇっ!?と鳴いて私を見るけど、音を出したのはお前だ。
仕方がないので、硬い種は寄り分けてハサミで半分に切ってから与えている。それでも気分によっては食べないので「テメェ」と本気で苛つく事もある。
「まぁ、仕方ねぇよなぁ」
人間にだって、好き嫌いはあるもの。
そんな事を
中から香ばしくて良い匂いがした。中身は穀物の種だ。大小様々で色合いは茶系が多いが赤くて小さい種もある。銀ちゃんはこの種が一番お気に入りだ。
「おいしそうだなぁ」
本当に食べるつもりは更々無いのだけれど、とてもおいしそうに見えた。
それだけ、銀ちゃんは私にとって大切な存在なのだと知った。銀ちゃんも私がスナック菓子を食べていると欲しがる。(やらんけど)
互いのご飯を欲しがるのは違いを思い合う証なのかもしれない
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