第51話 私に出来ること
自分の間違いに気付いた後、祐一のために出来ることはないか私は必死で考えた。彼に迷惑を掛けてしまった。償うためにも、彼の抱えている問題を解決するため何か手助けができないだろうか、と思った。
最初に考えついた方法は、似たような出来事がニュースや記事になっていないかを調べてみること。図書館に行って、関係ありそうなタイトルを発見したら目を通してみたり、過去の新聞紙を手当り次第に読んでみたりした。
ある朝。目が覚めて顔を洗っていると、別人のように顔が変わっている事に初めて気が付く。しかもブサイクから超美形に、顔面が変貌を遂げていたという。これと、同じような体験をした人が世界のどこかに居ないかどうか。
色々と調べてみたけど、その方法では全ての情報を調べきることは不可能だった。手がかりすら見つけ出すことが出来ない。情報が多すぎる。そもそも祐一が体験した出来事は、本当にあるのだろうか。それともやっぱり、過去に例の無いことなのか。
パパにお願いして、パソコンを借りてネットでも調べてみた。適当に、思いついた単語を打ち込んでから、検索ボタンを押す。検索ワードに引っかかったネットにあるページがバババッと表示されていく。どのページから、確認していこうかな。
「何を、調べてるんだい?」
「ちょ、パパ! 調べ物してるんだから、覗かないでよね」
「えー。僕のパソコンを貸してるのに、見ちゃダメなの?」
「ダメ。あっち行ってて」
「はぁ。娘が思春期なのは辛いなぁ……」
祐一の事情については、周りに知られないように隠しておいた。誰にも言わないと彼と約束したので、自分の家族にすら話さず隠していた。申し訳ないけれど、パパに知られないように調べ物を続ける。
「これも、ダメかぁ……」
調べてみたが、出てくるページは漫画やアニメ、映画などのエンタメ作品だけだ。実際に同じようなことが起きた、というような記事はネットでも見当たらない。
パソコンで調べてみたけれど、何の情報も得られず。問題を解決するような方法は見つからない。自分たちで、解決する新たな方法を見つけ出さないとダメなのかも。
せめて、彼が今のままの顔でずっと居られるようにする方法は何か無いだろうか。いつ元に戻るのか、前兆を知る方法は無いのか。どちらか、分かれば良いのに。
「んー。これは、ちょっと無理かも。誰かの助けが必要だ……」
自分一人の力だけでは限界だった。彼の問題を解決するのは無理だと判断。誰かに助けを求めようと考える。
パッと脳裏に浮かんできたのは、近所に住む美卯という友人の顔。彼女の姉が医療関係の仕事に携わっていると聞いたことがある。
祐一の問題については、ちゃんとした知識を持った人に見てもらうことによって、何か分かるのではないか。友人に助けを求めるのが一番。これは、かなり良さそうなアイデアに思えた。
だが、焦ってはダメ。色々と確認を取ってから最後、祐一に聞いてから実施する。彼の事情を隠しながら、まず美卯ちゃんにお願いしに行く。
「美卯ちゃん。聞きたい事と、相談したいことがあるんだけど、ちょっといい?」
色々と会話して、いつか相談するかもしれないと美卯のお姉さんに、フワッとした情報を伝えてもらった。順番に確認して、予定通り最後は祐一に確認する。
「祐一の仮面の下の秘密について、話したい人がいるの」
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