第18話 放課後デート
授業が終わって、約束していたデートの時間。
俺は、駐輪場から自転車に乗って学校から出る。そして、待ち合わせに約束をした場所にやって来た。学校から少し離れた場所にある、コンビニの駐車場である。
「おっそい!」
「いや、すぐに来たけど」
先に来て待っていたらしい皆瀬に、いきなり怒られてしまった。かなり急いで来たはずだが、早かったな。
「わざわざ、別れなくても。一緒に来ればよかったのに」
「仮面の俺と皆瀬が2人で学校から出たら、周りの生徒たちから注目されるだろ」
「うーん。まぁ、そうかもね」
別々に学校を出た理由を、彼女に説明する。同意しつつも、あまり納得していないというような表情で頷いた皆瀬。
「それで、デートって」
「その前に」
どこに行く予定なのか、目的地について聞こうとすると彼女に質問を止められた。それから、俺の顔に指をさす。一体何だ。
「仮面、取って」
「ん? あぁ、これか」
彼女が指差していたのは、被っていた仮面を取れという意味だったのか。しかし、この場所で仮面を外すのは躊躇ってしまう。
「学校から近くないか? もう少し、離れた場所に移動してから……」
「大丈夫! 私が監視してるから。ほら、誰も来てないよ。さぁ、外して」
同じ学校の生徒が居たら、目撃されてしまう。それを警戒しているから、ここでは外したくない。だけど、皆瀬は許してくれなさそうだ。仕方ない、彼女が周囲を見てくれているらしいから少しは信頼して、仮面を外そう。
「これでいいか?」
「う、うん……」
言われた通り、仮面を外してカバンの中にしまった。周囲を見渡すと、この近くに同じ制服を着た学生は居ないようだ。素顔を晒しているが、大丈夫そうだった。
「それで、これからどこに行くんだ?」
「えっ!? ……えーっとね」
「決めてなかったのか?」
「いやいや、色々と考えてるからね。ちょっと待って、どこに行くのが良いか考えるから!」
目的地を聞くが彼女は教えてくれない。いくつか候補は考えてきてくれたようで、その中から行き先を今、選んでいるらしい。
というか、デートってこんな感じなのだろうか。男である俺が、行き先をバシッと決めるべきなのかな。いやでも、女性の希望に沿って行動するべきか。まぁ今日は、皆瀬からデートに誘われたから彼女のしたいようにするか。
デートなんて当然、経験が無いから要領が分からない。とりあえず皆瀬に合わせて動くことにする。
「じゃあ、あそこに行こう!」
「行き先、決まったのか?」
「うん。バナナジュース屋さん」
「ば、バナナジュース……?」
「うん。最近、流行ってるんだよ。知らない?」
「知らなかった」
「じゃあ、行ってみようよ。美味しいよ」
「あ、あぁ……」
これから俺たちは、バナナジュース屋という店に行くらしい。わざわざ、バナナのジュースを飲みに行くのか。しかも、流行っているらしいから驚きだ。
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