第6話 放課後の予定
授業が終わって放課後の時間。今日一日、仮面を被って過ごすことが出来た。俺は部活動には入っていないので、放課後には学校での用事は無い。仮面を被ったまま、学校を出る。
そのまま家には帰らない。俺は毎日、アルバイトをしていた。
実は俺は、家族から期限付きで養ってもらっていた。高校を卒業した瞬間に、勘当される予定である。一人暮らしを強制させられて、高校を卒業したら勘当されるのはブサイクな顔が原因だった。見ていると気分が悪くなる、と家族に責められて家から追い出された。
自立できるようになれば家族の縁も切る。俺が18歳を超えると勘当する、と予告されている。
だからなんとしても、今のうちに金を稼いで生活できるようにしておきたい。1人でも生きていけるように、色々と準備しておく必要があった。
今はまだ、親から金銭的に養ってもらっている状況。だが、この援助が無くなると生きるのが大変だ。働ける時間をなるべく確保し、アルバイトでお金を貯めていた。
それなのに、しばらく前にアルバイトをクビになってしまった。苦労して見つけたアルバイト先で、一生懸命に働いていたつもりだった。しかし、職場にお客さんからクレームが入ったらしい。それで俺は、クビを告げられた。
「君、明日から来なくていいから」
「え? そんな、急に」
「仕方ないよ、お客様から店にクレームが入ったんだから」
「ダメな部分は改善します。だから、どうか」
「だめだめ。もう決まったことだから」
「そんなぁ……」
こんな感じで、あっさりとクビを切られしまった。俺は、お客さんからクレームを入れられるような失敗をした覚えはない。それなのにクビにさせられた。
ということは、何か別の理由があってアルバイト先をクビになった。その理由を、教えてはもらえなかった。1つだけ、予想している理由があった。ブサイクな顔が、クビにされた理由なんじゃないか。
「くっそぉ……」
思い出すだけでも腹が立ってくる。だが、怒りを撒き散らしている暇はない。次のアルバイト先を探さないといけない。そうしないと、お金が稼げないから。
そして今日、アルバイトの面接があった。問題なのは、仮面をどうするか。学校に被っていったのは、クラスメートが以前の俺のブサイク顔を知っていたからだった。以前の顔を知っていて、今の超美形な顔に変化していればイジられるだろうから。
これから面接に向かうアルバイト先は、俺のブサイク顔を知っている人は居ない。つまり、仮面は必要ないのかな。
むしろ、前のアルバイト先をクビになっていたのは、タイミングが良かったのかもしれない。クビになっていなかったら、仮面を被って前のアルバイト先に行っていたかも。もしくは、バックレていたか。
とにかく、アルバイトの面接には仮面を被らずに行こうと思う。新しいバイト先、採用してもらえると良いのだが。
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