第4話 クラスメートの反応
「おいおい。どうしたんだ中井、その仮面」
「また面白いことやってんな、お前」
「ん? でも、見覚えがあるような。なんだっけ?」
教室に入ると、クラスメートたちの視線が仮面に集まった。何人か話しかけられたので、明るく振る舞いながら違和感を持たれないように答える。
「いやぁ、実は
彼のような人に嫌われたり、睨まれたりしないようにしつつ仲の良さげな雰囲気を醸し出すことが、クラス内でイジメられないよう仲間に混じっていく、俺が見つけた学生生活を苦労しないよう、生き残るための方法だった。
「あぁ! そういえば、僕がプレゼントしたんだっけ! まだ持っててくれたのか」
「そりゃあ、流川君に貰ったモノは捨てれないよ」
「確かになぁ。女子なら、喉から手が出るほど欲しがるぜ」
「いやー、中井が使った後のヤツなら誰も欲しがらんだろうよ」
「ソレは勿体ないから、俺が使ってる。家から被ってきたんだ」
「アハッ! 家から被ってきたのかよソレ、超ウケルな!」
「メッチャ、似合ってるよ!」
流川の取り巻きの学生たちが、楽しそうにして笑っている。どうやら俺が、教室に仮面を被ってきたことに何の疑問を持たれないように、会話出来たようだ。雰囲気も悪くない。
「仮面を被って生活したほうが、お前の顔による害は無いから良いかもな!」
「ひどいなぁー。でも、そうかも!」
「アハハハ!」
なるべく、雰囲気がネガティブな方へ向かわないよう考えながら会話する。自虐も入れつつ、何とか楽しく会話できていた。
「いいじゃん。気に入ってくれたのなら今日一日、それ被って過ごしたら?」
「いいね! それ、面白い。やってみるよ」
「やる気だねぇ」
「絶対、中井は途中で諦めるぜ。賭けても良い」
「いやいや。中井くんは、めちゃくちゃ負けず嫌いだからなぁ。そんなこと言ったら1日ずっと被ってるかも」
「うん。ずっと被ってる。流川くんに応援してもらって、チャレンジしたくなった」
「マジかよ~」
「ハハッ。まぁ、頑張ってよ」
流川から仮面についてナイスパスだったので、そのまま彼の提案を受け入れることにした。とりあえず、今日一日は学校で仮面を被って過ごしても大丈夫そうだ。彼の提案した事をチャレンジしている、と言えば皆が納得するだろうから。
「あ、チャイムが鳴った。先生が来るから席についた方が良いよ」
「うん。そうだね」
「あー、眠いし授業だりぃな」
「仮面、外すなよぉ」
「分かってるって。絶対、外さないから見てろよ」
周りからは、仲が良い一員のうちの1人に見えていたと思う。これがいつも教室で見れる光景だ。こんな感じで立ち回ることで、学生生活を平穏無事に過ごせていた。いわゆる、イジられキャラとしての地位を確立できていた。
授業が始まる。なんとか、最初の難関を突破できたかな。仮面を被ったままで席につき、カバンから教科書を取り出した。
俺は一安心して、先生が教室へ来るのを待った。
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