面影
西野悠子は、3才になる一人息子の友喜を連れて、いつも、2時にこの公園に来て息子を遊ばせていた。その様子を公園の片隅のベンチからいつも見ていた青年がいた。大矢倉義男である。
大矢倉義男は今年で27才になるが、未だに働かず、父親の大矢倉善三から小遣いをもらっていた。義男は善三の後継ぎとして養子にはいったが、義男の母、岡林聡子は善三の数いる愛人の一人で、過去に別の愛人に作らせた子供は、素行が悪く知人に引き取らせ、その女も、本妻になることは叶わなかった。岡林聡子もやはり同じ結果に終わった。
その後、聡子は急死、義男は、その事を積年の怨みとして生きることを決めた。
西野悠子は義男の母、聡子に瓜二つであった。
毎日、公園でみる悠子が、義男には、先立たれた母、聡子と重なったのである。
その夜。「母さん、母さん、母さん、母さん。」義男は部屋にこもりウイスキーを
片手に、泣いた。枕元には一枚の写真。その写真には、幼い自分を抱いている母、聡子の姿があった。
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