5日目 多野本さんはどこに…

ーー世界が終わるまであと96日



(今日は行方不明になっている多野本さんを探しに行くんだ…そして、多野本さんから文書の情報をもらってくるんだ…)彼は出掛ける支度をし、紙に書いてある場所に向かった。



「こんな森のなかに何があるんだ…」紙に書いてあった場所は森の中を示していた。「こんな薄気味悪い場所に多野本さんはいるのか…まさか…嘘をつかれたんじゃ……」彼はだんだん不安になってきた。そもそも、紙に書いてある場所が正しいのかどうかも分からないのだから。「まぁ…先に進むしかないか…」少し諦めかけながら先に進むと…。「なんだここ…古い倉庫みたいな場所だな…」そこは古くなり、錆びれた倉庫だった。「この中に多野本さんがいるのかもしれないのか…けれども何があるか分からないから、慎重に調べるか…」彼は慎重に倉庫の中に入った。「意外と中は明るいな…見る限り怪しい所はないな……多野本さん!いますか?多野本さん!」彼の声だけが倉庫の中で響いた。「多野本さんはいないのか…それとも別の場所に…仕方ない、倉庫の中を探すか…」彼は倉庫の中を調べ始めた。「倉庫の中は電気が通っているのか…冷蔵庫やテレビ、誰かがここで生活しているのか?……今は気にするべきことじゃないか…こっちの机を調べるか…」彼はやけに綺麗に整理された机を調べることにした。「文書があるとは思えないけども…他の手かがりが見つかれば……ん?これは…(地球内部の温度上昇に関する文書)何…文書がこんな所に…しかも綺麗に…コピーされた物だな…」彼はネットでは読めなかった部分読んだ。「地球内部の温度が限界を越えそうになった場合は地球冷却装置の使用を許可すると同時に、地球冷却装置の開発を許可する…地球冷却装置…」彼は地球冷却装置がどんな物なのか理解出来なかった。ただ分かることは地球を冷却出来る装置ということだけだ。「一回家に帰って考えるか…」彼は文書の写真を撮り、倉庫を後にしようとした。すると…。「お主、もう用は済んだかのぅ…」「フードの男…多野本さんはどこだ…?」「お主に教える必要はないわぃ…文書の写真を撮って何に使うんじゃ…?」「ここに書いてある地球冷却装置を調べるんです。」「地球冷却装置をのぅ…勝手にすればいい…その内、壁にぶち当たるわぃ…アハハハ!」「なぜそんなことが分かるんですか…?」「それは実際に調べてみたら分かることじゃ…」「そうですか…分かりました…」彼は心のモヤモヤを残したまま、家に帰った。



「地球冷却装置がどんな物なのかを調べないとな………クソ…どうなっているんだ…」彼はネットで地球冷却装置の事を調べた。しかし、そのほとんどが閲覧制限されていたり、削除されていた。「これじゃ地球冷却装置の事を調べられないじゃないか…しかも見れる情報はほとんどがデマ情報だし…」彼はフードの男が言った言葉を思い出した。「壁にぶち当たるって…このことか……奴はこの事を知っていた……知っていたから文書のありかを教えたのか…」彼は自分の無力さを知った。彼は確かに政治家の息子だ。しかし、その政治家は既に亡くなっており、息子だからといって権限を持っているわけではない。「ネットに書き込んで情報を得るしかないか………すぐ削除されてしまうな…」彼は国の力を知った。「国は何を隠したいんだ……世界が…地球が終わるかもしれないっていうのに……くそぉ…どうしたらいいんだ…」彼はパソコンの前で自分の無力さを悔やみながら、寝入ってしまった。



ーー世界が終わるまであと95日と5時間44分

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