4日目 手かがりを探しに

ーー世界が終わるまであと97日



「手かがりは無しか……いや…フードの男がいるか…」彼は昨日出会った、フードの男の事を思い出した。「多野本さんを探すには手かがりがない…手かがりを見つけるにはフードの男を見つける方が早いか…」彼は少ない手かがりを元に、多野本さんを探すことにした。



「昨日、国会行きの電車に乗っている時に奴に出会った…奴を見つける手かがりはこれしかないか…」彼はもう一度、駅に行くことにした。国会行きの電車には乗らず、駅の中を調べることにした。相変わらず人は少ない。薄暗い地下の中、駅員などもいない為、孤独さを感じる。「フードの男を探すには手かがりが少なすぎたか…」彼は一度、家に帰ることにした。だが…。



「また会ったなぁ…小僧…」「あなたは昨日の!」「国会は楽しかったかぁ…?目的は果たせたかのぅ…」「目的は果たせませんでした、自分は多野本さんを探しているのです。」「多野本を探しているのかぁ…よかろう、ワシと一つゲームをしないかぁ…?」「ゲーム…ですか…?」「そうじゃ…もしお主がワシに勝ったら、多野本の情報を教えようかのぅ…逆にワシがお主に勝ったら、お主の命をいただこうかのぅ…それでもやるかのぅ…?」「負けたら死ぬのか……いいさ、このままゲームを放棄しても数日後には死ぬんだから…やってやるさ!」「気に入ったわぃ…ではルールを説明しようかのぅ…ワシは今から一つだけ嘘をつく、その嘘をお主が見破るだけという簡単なゲームじゃ…お主が出来る質問は二つだけじゃ…」「分かった…やってやる…」「では…始めるかのぅ…多野本は生きておる。」「え…それだけですか…?」「そうじゃ…」「続きはないんですか…?」「続きはない、そしてお主が出来る質問はあと一つだけじゃ…」「しまった……じゃあ…多野本さんは本当に生きているんですか…?」「生きておる。」「もし…これが嘘なら多野本さんは……いや…もしかして………そういうことか……自分を信じてみるか…」「嘘は見破れたかのぅ…答えを聞いてみるかのぅ…」「嘘はありません、嘘をつくというのが嘘です。」「なるほど…それが答えというのかぁ…」「はい…そうです、これが答えです。」「……見事じゃ…多野本は生きておる…無事じゃ…」「じゃあ多野本さんは今どこに…?」「そう焦るでない…ほれぇ…この紙に書いておる場所に行きなさい。」「ここの場所に何か情報が…?」「実際に行って自分の目で見てくるのじゃ…地球を救う方法を…アハハハハ!」「実際に行ってみるしかないか…行くのは明日にしよう…まずは家に帰るか…」彼は、ようやく手かがりを見つけた。



「結局あのフードの男はなんだったんだろう…多野本さんと関わりある人なのだろうか…」彼は晩御飯を作りながら考えていた。一人で食べる晩御飯、彼はその環境には慣れていたのだ。「お母さんが作り方を教えてくれたハンバーグ……お母さん…天国で見守ってくれるよな…!」彼は涙をこらえながら食事を済ませた。明日は唯一の手かがりを元に地球を救う方法を探しに行く。



ーー世界が終わるまであと96日と7時間4分

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