どうにも慎重で影のある夫・トウキと、明るく元気いっぱい、太陽のような妻・マイラのほんわかふわふわおだやか仕立て。
それでいてただ柔らかい話というわけではなく、世界情勢や彼らを取り巻く環境があり、そしてその世界を見据える聡明さをご夫婦はじめ登場人物達が持っている頼もしさと安心感。思い合う姿にほっこりしながら、物語の進む先にはらはらもできる。根底が安心感で成り立ちますが、故に物語としての面白さもひとしおの作品です。
さて、そんな作品ですが色々と大事なところは公式の紹介文に頼るとして。兎に角可愛い二人の夫婦を見守ることができる最高のお話です、と力説したい作品であります。
なにもかもが可愛いし、その可愛らしいお二人を見守る人々も優しい世界。正確に言うと、夫であるトウキの訳あり部分など、彼らの世界は彼らに厳しい点があります。渦巻く思惑、危険な場所。けれども、そんな彼らの周囲にいる人たちが彼らを思い、優しい。そしてなにより、ご夫婦であるトウキとマイラがお互い尊重する姿が最高に愛しい。
相手に敬意を払い、自分たちの現状を見つめ、よりよくし、思いあい、言葉を重ね、それでいて踏み込みすぎない。その根っこにあるきちんとした信頼関係。尊重する気持ち。読んでいて安心感があるご夫婦。そしてそのご夫婦が生きる、ファンタジー世界。
ファンタジー独特の世界情勢や人々の暮らしが目に浮かぶような、押し付けずしかし当たり前に描写する文章。ただのんびりと生きるのではなく、困難や課題とぶつかりながら、けれども根っこのお互いを尊重し織りなす日々は大切にされていて。
読み応えがあり、安心して連載を追える可愛いお話です。
奇妙なご縁があって、噂だけなら恐ろしい“雪獅子公”トウキに嫁いでしまったマイラ。仮面で顔を隠す彼だけど、本当は……!
明るくて強く、賢いお嫁さん・マイラと、とある事情で領地に引きこもりなトウキが、ゆっくりゆっくり「夫婦」になっていく様子が、異世界の情勢や国のあり方、生活風俗と共に語られるのが楽しい作品です。
マイラはまるで少年の様に活発ですが、良い所のお嬢さんでもあるため頭も聡明です。時間と小さな事件を重ねていく様子は丁寧で、その都度読み応えのあるイベントもしっかり起こります。
夫であるトウキの、噂とは違う自然な様子は読んでいるこちらがドキドキします。
夫婦になっていく二人の様子と、異世界ファンタジーの暮らしぶり、どちらも楽しめる作品です!