第41話 GディバイドVSハルバード⑤
「減速した? ……来るかっ!?」
急に減速し腕部のクローアームを<Gディバイド>目がけて射出するが、ユウはいち早く反応し回避する。
サンスはもう一方のアームも射出させて内蔵されているビーム砲を放つがこれも回避される。
「くそっ! 当たれ、当たれ、当たれーーーーー!!」
2本のクローアームによる連続攻撃を
百戦錬磨のユウは余裕の無くなった敵の挙動を見逃さなかった。まっすぐに突っ込んで来る腕をブラスターライフルで撃ち落とした後、接近するもう一方の腕を最小限の動きで避けて本体と腕を繋ぐワイヤー部分を
瞬く間に2つのクローアームを失った<ハルバード>は攻撃手段のほとんどを失い、機体の強固さを利用して突撃攻撃に打って出る。
「最終手段に出たか! もし、こまま<エンフィールド>に突っ込まれでもしたら厄介だ。……ここで確実に落とす!」
真っすぐ突っ込んで来る敵に向かって、<Gディバイド>はライフルのブラスターモードを起動させ構える。照準は敵機体の中心部、敵をロックオンしたマーカーが赤色に表示された。
「敵……正面! 落ちろぉーーーーーー!!」
ブラスターライフルから赤色化した超高出力のターミナス粒子が発射される。
機体のリミッターが解除され、ジェネレーター出力が上昇していた事により通常時よりも威力が増加したそれは、パワーが低下していた敵機の防御層を破壊し、その巨躯を半壊させた。
敵機がダメージにより動きを鈍らせた隙にユウは機体を敵の上側に移動させ、TBセイバーを腰部から引き抜く。
「上から来る!? ちくしょうが!!」
サンスは<Gディバイド>に突撃しようと機体下部のバーニアを全開にして白い機体を正面に捉えようとするが、<ハルバード>は急な方向転換に関して動きは鈍重でリミッターを外した白い死神の動きに対応する事は到底無理であった。
「遅い!!」
敵大型機の背部にTBセイバーを突き立てる。ユウは機体の出力を最大にし、メインスラスターから一際大きな光が放出される。
機体各部の放熱が活発化すると同時に<Gディバイド>の頭部に変化が起きていた。フェイスマスク部分が上下に分かれ、その下から放熱部が露出したのだ。
白を基調とした頭部から放たれる赤い吐息により、頭部内の放熱が促されオーバーヒート状態を軽減していく。
敵機のコックピットでは、フェイスマスクが解放された瞬間に
機体のライブラリーデータから最もその映像に相応しいと選ばれた音声が再生されたのだ。
全身から赤い光を放ちながら咆哮を上げる白い機体。それはまさに怒り狂う白い死神を連想させるものであった。
怒れる死神は黄金に輝く剣を敵に突き刺したまま前方へ飛翔し、敵の巨大な体躯を切り裂いていく。
敵を切り裂き一旦距離を取りつつも、<Gディバイド>はダメージを与えた部分に照準を合わせる。
「これで終わりだ! 沈めーーーー!!」
ロックオンマーカーの色が切り替わると同時にブラスターライフルを連射する。敵の傷口に侵入した高出力のビーム砲は、容赦なく内部を焼き払っていき機体各部が爆発を起こしていく。
「くそ! くそ! くそ! こんなはずじゃあ、こんなはずじゃ――――!」
連鎖する爆発はコックピット部を呑み込み、全身を消滅させていった。『シルエット』部隊を窮地に追い込んだ敵の巨大オービタルトルーパーは、甚大な被害をもたらしながらも最後は白い死神の手によって宇宙に
奥の手を失った資源衛星リザードの司令部が降服したのはそれから間もなくの事であった。
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