第37話 GディバイドVSハルバード①

「この状況で敵を全滅させれば、上もこの<ハルバード>の価値を見直すに違いない。……さぁ、白い戦艦……俺を楽しませてくれよぉ!」


 <ハルバード>はその突出した速度で<エンフィールド>に迫る。機体前面に装備されたターミナスキャノンを白い戦艦に向けて発射する。

 <エンフィールド>はターミナスレイヤーの出力を最大にして、高出力ビーム砲を防御するが、先のヴェルブラストの使用によって一時的な出力低下に陥っており、ターミナスレイヤーは2層破壊されてしまう。


「ターミナスレイヤー残り3層! 敵大型オービタルトルーパーなおも接近」


「いけない! あれに取りつかれたら危険だわ! アルスター発射! 敵の速度が落ちたところに両舷ターミナスキャノンを叩き込む!」


「了解!」


 アリアがCICオペレーターのルーシーに指示を出す。それに伴い艦の側面のミサイル発射装置から長距離防空ミサイル〝アルスター〟が立て続けに発射される。

 <ハルバード>は大型メインスラスターの出力により、直進の加速は優秀だが方向転換などに使用するバーニアスラスターの調整が甘く、小回りが利かない。そのため、アルスターの直撃を受けざるを得なかった。

 しかし、強固なターミナスレイヤーと重装甲によって、ダメージには至らず直後に放たれたターミナスキャノンの直撃にも耐える。


「なっ、効かない? なんて防御力なの!? くっ! 対空防御!」


 長距離用の攻撃に耐え接近する<ハルバード>に対空防御用ガトリングレーザー砲〝ファランクス〟で弾幕を張るが、大型機はお構いなしに突っ込み左腕部のクローアームを<エンフィールド>の左舷に向けて射出した。

 <ハルバード>のクローアームは前腕部が射出できるようになっており、射出されたパーツは本体と有線で繋がっている。

 それにより、クローアーム部分は繊細なコントロールが可能であり、本体からのエネルギー供給も成されており、高出力のビーム砲を連続で使用可能である。

 この危険極まりない腕は<エンフィールド>の対空攻撃を弾きながら左舷部のターミナスレイヤーに接触する。すると腕の先端部分が開きターミナスレイヤーを構成しているターミナス粒子を拡散させ、防御層に穴を開け始めていた。


「左舷のターミナスレイヤーが部分的に出力低下しています。このままでは左舷の防御層が消失します!」


「本艦に接触している腕部に火力集中、追い払って!」


 クローアームに白い戦艦の火力が集中し始めると、<ハルバード>は伸ばした腕を回収しつつ背部に設置してある多連装ミサイルを左舷部分に向けて発射する。

 近距離からの攻撃により、回避する暇がなかった<エンフィールド>はクローアームによって左舷部の防御層が消失寸前であったため、ミサイルを防ぎきることは出来ず左舷部に直撃を受けてしまう。

 <エンフィールド>を爆発の衝撃が襲い、艦全体を揺るがす。


「きゃあああああああ!」


 メイがたまらず叫んでしまう。艦長のアリアは衝撃で艦長席から振り落とされないように踏ん張りを利かせるが、モニターに映る大型機がもう一方のクローアームを射出する動きを見せているのに気が付き焦りを隠せないでいた。


「もう一撃来る!? 迎撃をっ!!」


 だが、その攻撃が<エンフィールド>を襲う事は無かった。射出直前に敵機を高出力のビーム砲が襲ったからだ。

 展開されているターミナスレイヤーによりダメージには至らなかったが、不意を突かれて驚いた敵機は戦艦と距離を取る。

 そこに、ビームを放った張本人である白いオービタルトルーパーが乱入する。


「こいつ! これ以上やらせるか!!」


 立て続けにブラスターライフルを発射するが、<ハルバード>の防御層を貫通する事は出来ずに弾かれてしまう。

 敵機はお返しと言わんばかりに、<Gディバイド>に向けてクローアームを射出し、肉薄させながらアーム内蔵のビーム砲を放つ。

 ユウはそれをかわしながらライフルによる攻撃を継続するも、敵大型機は急加速で距離を取ることで<Gディバイド>の攻撃範囲から一気に離脱してしまう。

 

「ちっ! やっぱり速いな、振りきられる!」

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