最終学年での学び!

第132話 早苗実業学校高等部 3年E組!

2024年も新しい年度に入った。

俺(大橋)は無事高等部3年に進級、そろそろ桜も散りだす

去年と同じ穏やかな4月8日の朝、間もなく入学式が始まる学校に入ると、

早速新しいクラス分け表を手渡された。


いよいよ高校生活も最終学年、

早速そのクラス分け表を見ると…

とりあえずクラスはEクラス…。担任…如月鈴音!

これだけ教師がいる中で、3年連続担任が鈴音先生とは…。

これは深い縁を感じざるを得ない。クラスの仲間になる面子を確認すると、

岡本章…アレックス…。またあいつか!

ここまでくるともはや腐れ縁と言って良いだろう。

それと織田信長、土方歳三、太宰治、

1年の時同じクラスだった高杉晋作、それにビル・G・5世。

女子では…おお!如月雪音に天音…如月姉妹ともまた同じクラスだ!

これは何より嬉しい!

リーリャもまた一緒だから、華やかこの上ないな…。

Eクラス…きっといークラスになるだろうと思っていたら、

肩を強い力で掴まれた。

「宜しくたのむ。で、あるな。」…織田信長だ。

「おお!大橋殿、3年連続で同じクラスとはまさに奇遇じゃな!」

天音が声を掛けて来た。

「3年も同じクラスになれるなんて、本当に素敵です」

雪音も嬉しそうに声を掛けてきた。


在校生は入学式には参加しないので、

俺たちは早速クラス分け表に従って教室に入る。

まずは最初のHRから新らしい年度のスタートだ。

チャイムが鳴ると間もなくして、教室に鈴音先生が入って来た。


「起立!礼!」

鈴音先生の優しい良く通る声で最初の礼が行われた。

「このクラスの担任になります、如月鈴音です。

私の事は皆さん既に良く知っていると思いますので、詳細は省きます。

担当は日本史、世界史、それと選択科目となる教養です。

3年次の科目の履修に関しては、今から配るパンフレットを参照して下さい。

尚、3年次には、早苗実業大学への進学を決定する重要なテスト、

【学年テスト】が前期と下期にそれぞれ1回あります。

ここでの成績が自分の志望学部へ進学出来るかどうかの重要な

要素になりますので、本年度は気を抜かない様、勉学に励んでください。

学年テストは範囲がかなり広いですので、苦手な分野を如何に減らすかが

大事になります。その様な分野のある生徒は、遠慮なく相談して下さい。

私の出来る範囲にはなりますが、可能な限り助力させて頂きます」


「おお~~!」


教室にどよめきが起きた。

早苗実業学校は早苗実業大学の附属高校というだけあって、

落第でもしない限り、基本的に希望者全員が早苗実業大学に進学出来る。

だか、人気のある政治経済学部や法学部、先端科学情報学部等には

定員に枠があり、成績順でそれが埋まっていくので、成績が悪いと、

希望通りの学部進学は叶わない。分かり易い授業で定評のある鈴音先生が

全面的に助力してくれるのなら、これは大きなアドバンテージと言って良いだろう。

これはひとつ頑張らねば…と思っていると、席の隣の坊主頭のおっさんくさい

男子生徒が、頭を抱えてなにやらブツブツ呟いている。


「この世は諸行無常、地震、火事、大風、水害、疫病、不慮の事故、飢饉、

どこに行っても苦しみに溢れておる…」


なんかやたらと厭世感に溢れた奴だなぁ~と俺が感心していると、

その生徒の横に座っていた女生徒が、何を思ったか、

突然その男子生徒のつるつる坊主頭を、気持ちよさそうに撫でまわし始めた。


「これなる坊さん、何悔やんでんねん。人間、死ぬときは死ぬ時だ。

宇宙無限の不可思議の果てに、あんたという生命が生まれはったんや。

生きている今この時を、もっと明るい顔して、楽しみや~!」


その後の自己紹介でわかったのだが、坊主頭の男子生徒は、

【鴨 長明(かものながあきら)】、女生徒の方は、【清 少納言】

と、言うらしい。どうやら今年のクラスは今までになかった程、

濃いクラスの様な気がする。


その自己紹介、今年も例の如く多士済々だったが、

今年もクラス委員長志望の土方歳三の決意表明が奮っていた。

【ひとつ…士道に背かまじき事…

ふたつ…局を脱する事を許さず…

みっつ…勝手に金策いたしべからず…

よっつ…勝手に訴訟取り扱うべからず…

いつつ…私の闘争を許さず…

以上の条々あい背き候者は切腹申しつくべき候なり】


なんか、去年より随分厳しくなってないか?

はてさて、このクラスはどうなっていくことやら…

今年も実に楽しみだ…!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る