第68話 ビル・G・Jr登場!!
みなさん、こんにちは。如月雪音です。
さて、暖かな春を迎え、無事入学式も終わり、
私の早苗実業学校高等部での学びも2年目に入りました。
人見知りする私は新しいクラスに溶け込めるのか、
とても心配だったのですが、この2年G組は双子の妹の天音ちゃん、
1年の時同じA組で仲の良かった大橋様や岡本様も一緒なので、
まずはひと安心と言ったところです。
新学期が始まって、早速くじ引きによる席替えがあったのですが、
私のすぐ前の席はアメリカからの男子留学生になりました。
彼の名は…【ビル・G・Jr】
彼はとても社交的なのでしょう。席替えが終わり、
私の前の席にやってくると、早速私の席の方に振り返えり、
矢の様に話し始めました。
「オゥ~、ミス雪音~。ナイス トゥ ミ~ トゥ~。
ミーは世界征服の為の大事なファーストステップとして、
アメリカからジャパンという、アジアの要になる国を
スタディーしに来ています…。それにしてもミス雪音~。
ユーはとてもビューティフル!ベリーワンダフォー!
それに1年の学年末試験では、ベリーナイスな成績、
満点でトップだったそうですネェ~!
ミーはユーをリスペクトしていますゥ~。
まさに早苗実業のレジェンドねェ~!!」
「あ、はい…は、はじめまして…ナ…ナイス… トゥ… ミ… トゥ…」
いきなり見知らぬ男性に話しかけられても困ってしまいます。
相手の事を良く知らないので、何を話して良いのか分かりませんよね…
困惑している私をよそに、彼は機関銃の様に話し続けます。
「ミス雪音の様に、ベリービューティフォーなガールフレンドが
出来たとパパに報告したら、きっとパパは早苗実業学校に1億ドル(約104憶円)
くらい、すぐ寄付してくれるとオモイマス。そうなれば、
私達はこの学校に偉大なレガシーを残す事がデキマスヨ~~~!」
「は、はぁ~」
「ユ~とのハネム~ンの計画を今から…っテ、アウチ!!、
いきなり何をスルノデスカ!」
近くで私の様子を見ていた天音ちゃんがやって来て、
ビル・G君の頭を教科書ではたきました。
「やかましい!いきなり変な日本語で雪音姉様に求婚するとはどういう料簡じゃ!
この天音を通さず雪音姉様にプロポーズしようなど100年早い。
だいたいなんじゃ、リスペクトだのレジェンドだのレガシーだの、
なにか?お主は東京都のトップにおるあの変な女の親戚か?
尊敬/伝説/遺産…ちゃんと日本語があるのじゃから、それを使え!たわけが!」
『オゥ~ノ~~~!日本語難しいネ!』
ビル・G君はあまりこたえていない様です。
「それはそうと、ミス雪音、ミス天音…お近づきの印に、
後でラインの交換をシマショウ…。
ミーはこう見えて、ラインやSNSを使って、
悩みのあるみなさんの相談にも応じてイルノデスヨ…」
「で、どんな相談になんと回答をしておるのじゃ…」
天音ちゃんが挑発する様な表情でビル・G君に聞いています。
「オゥ~、例えばこの前はこんな相談がアリマシタ。
とある女生徒が、妻子ある学校の先生を
好きになってしまったとイウノデス。
こんな実りのない恋をしても駄目だと自分に言い聞かせは
するものの…どうしても諦められない…。どうすれば良いノデスカ…ト」
「それでお主はなんと回答したのじゃ」
天音ちゃんが突っ込みます。
「同一OS上でアプリケーションソフトがバッティングする場合は、
インストールを避けた方が無難デショウ…。
それでもどうしてもインストールするという場合は、
必ずバックアップを取る事をオススメシマスヨ…ト…答えマシタネ!」
これを聞いた天音ちゃんは、大笑いして言いました。
「人の心をどうやってバックアップすると言うのじゃ…。たわけた奴じゃの!
だいたい、人間の心とパソコンの世界を同一視する事自体おかしかろう!」
それを聞いたビル・G君の眼鏡がキラリと光ります…
「ノン、ノン…初めから不可能だと思うから不可能ナノデス。
これからのAIの進化は今不可能な事も可能なものにしてイクデショウ。
そう、私はいずれにせよ、いつかは世界を征服する。
ミス雪音、ミス天音…あなた達にも協力をお願いシタイデスネ!」
いつの間にか彼は真面目な顔になっています。
「まあよい、雪音姉様に不埒な事をしたらこの天音が許さぬ。
速攻で成敗する故、良く肝に銘じておけ!
折角同じクラスになった故、ラインの交換ぐらいはしても良いが、
ふざけた内容を送るでないぞ!」
ビル・G君、ちょっと軽い感じではありますが、悪い人ではない様です…。
意外と大きな夢を持つ…大物なのかもしれません。
それにしてもこの2年G組…。1年A組の時とはまた違う、
多彩なメンバーの集まりみたいです。
鈴音お母さまの発案の大江戸交換日記…2年G組バージョンも
まもなく回覧が始まる様なので、それで確認するのも良いかもですね…。
さて、さて、どんな1年になるのでしょうか??
楽しみです…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます