第25話 ナバーゾ=オルガノ

翌朝、生徒会室で作戦会議が行われることになった。

なんでもリタが具体的正体が調査の結果わかったとかで、全員呼び出しだとか。

僕は気が気じゃなくて真っ先に来たんだけど、すでにメルが窓際で黄昏ていた。

「おはよう、メル」

「おはよう、ユウ。はやかったな」

「うん、気が気じゃなくて。でもメルは?」

「我に行くところはないからの。ここで寝泊まりをずっとしておる」

「そうなんだ、今度僕の家においでよ。ミルルがご飯作ってくれるから」

「ほう、ミルルとは幼馴染の?」

「うん、よく知ってるね」

「我は神の遣いじゃからの」

「あはは、そうでした」

……僕の事をメルには話しておこうかな。

「時間のことで気になるか、お主は」

「……そうだね」

「この時空の者ではないからか?」

「……知ってたんだね」

「知っておったさ。それは――」

「神の遣いだからでしょ」

「そうじゃ。だがそれでも力及ばぬことはある。お主はあいつらの人種なのか」

「……わからない。でも多分違うはず」

「そうか、確認せねばな」

「そうかもしれない」

「この件が終わったらお主は元の世界に帰るのか?」

「……帰りたくないんだ。ずっと皆とここにいたい」

「そうか、我としてももっとお主といたいぞ」

「だから、本当のことを言うのが怖いんだ……僕はユウじゃないって」

「無理しなくていいんじゃないかと思われるがどうだろう」

「僕が言わないことで、ナバーゾのてがかりがわからないんじゃないか、とか

本当のユウが実はナバーゾなんじゃないかとか、色々思ってしまって」

「本当のユウは以前確認したろう? お主の世界におると」

「そうだけどね。不安なんだ……なんだか」

辛くて悲しくて、悲しくて辛くて、鼻が痛くなってくる。涙が溢れてくる。

「皆と離れたく……ないよ」

「人には言えぬ、ということか、世知辛いのう。もうみんな来る時間じゃろうて、

何かと思うぞ」

「……そうだね」

僕は涙を拭いた。

そのタイミングで生徒会室の扉がバタンと大きな音をたてて開く。

「ヒカリ参上にゃー。一番の……って先約がいるにゃ」

「我はここに住んでるからの」

「でもユウは早すぎじゃないかにゃ」

「約束の時間の十分前でよく言うね」

「私からしたらだいぶ早いほうにゃ、にゃ? ユウ? 目赤いにゃ。花粉症かにゃ」

「鼻水がつらくてね」

僕は花粉症のふりをする。

そしてこのやり取りのすぐ後に、リリスとリタは来た。

「皆いるな? リタがつい先ほど、味方の諜報仲間から情報を入手したとして緊急の話があるらしい」

 みんなだけではなく空気までもが張り詰め始める。

「やつらのアジトの最深部にいったら、驚くものを見つけたという情報を耳にしてな。どうやら彼らは、私ら魔法遣いの殲滅を企んでいるようだった。

その筆頭にナパーゾがいる。彼らは……か、彼らは、かれらは……思い出せない。何か重要なことを言おうととしたのに、思い出せない。なんでだ!思い出せない!」

「気にしないほうがいい、リタはよくやった」

リリスが労った言葉を言う。

「リタ……気にするにゃ、その情報だけでなんとかするにゃ」

うん、そうだよって同意したかった。

でもリタの違和感を隠しきれない。

リタはこういう時、感情を出すのか。

リタはスパイとしての心得で動揺はあまりしない子だ。

「本当にリタなのか?」

疑うのはよくない、そうおもっていても聞かずにはいられない。

「ふふふ、私がリタだ。そうにきまっているだろう」

不気味な笑いと共に、僕らの仲間はメル以外倒れた。

「おかしいな、女は皆、倒れるはずなんだけどな」

なぜだろう、不思議とこいつが僕の宿敵なんだと身体がわかっている。緊張と震えが止まらない。

「ユウ!こやつは」

「まあ、いい、二人きりにさせてもらうぞ」

リタの姿の誰かは、僕を掴み、そのまま一瞬でどこかに飛んだ、のだろう。生徒会室だったのに、今は荒野だった。

「ここがどこかわかるか、ユウ」

「僕が倒れていた場所だ」

「クク……そうだ」

そういうと、リタは姿が変わる。

長身で金髪のロングでなぜかうちの制服を着てる。スタイルの良い、生徒会にはいないタイプの女性。胸もお尻も海外クラスの大きさだ。

「お前はナバーゾか」

「そうだよ、この制服も特注で作った。あのスパイちゃんは、記憶をいじらせて

使わせてもらった」

「生きてるのか」

「どこかで、寝てるかもな」

とうとう来てしまった、僕の前のユウが負けてしまった相手、そして僕らを入れ替えた張本人がいる。

「僕を……殺しにきたのか?」

「まさか、戦う気なんてないぞ」

「じゃあなんで、ユウはやられたんだ」

「彼は話きかないから。私が悪だと決めつけるもんだから、次元の彼方に吹っ飛ばした」

「それで僕がどうしてここに?」

「たまたま、だよ。運が悪かったね」

……いや帰りたくないからいいんだけど。

「その様子だと帰りたくなさそうだね、ユウになりきるの?」

「……できるならそうしたいよ! だけど人類を殲滅したいなら戦わないといけない」

「そうじゃないんだよね。何度もいうけど殲滅するつもりじゃないんだよね」

「何が目的なんだ」

「子孫繁栄だよ」

「お前たちが魔法使いをここまで追い込んだんだろ」

「……いや、ノーだよ。文明が進みすぎた魔法人が勝手に死にかけてるだけでしょ」

「お前は魔法使いじゃないのか」

「もう、名前でよんでよ。ナパーゾ=オルガノ。オルガノって呼んで」

……いちいち緊張感がないやつだ。どうしてこんなやつに元のユウは負けたのか。

「それと私は、魔法使いの亜種みたいなものよ、時間系、空間系が使えるだけで」

「オルガノ……はなにものなんだ」

「それは言えません。守秘義務なので」

「義務?仕事みたいだな」

「しーごとってわけじゃないんだけど、言えないんだわ。ごめん。あーでも君が入れ替わったこと黙っててあげるからそれでお互いウィンウィンでよくない?」

「魔法遣いを殺さないなら」

「んー向こうが仕掛けてきたら殺しちゃうかも。

だからうまく説得してね」

面倒なことを。

「あーでも君だけを連れてきたのはわかるかな?」

「な、んでだよ」

「こんな世界ですることはたった一つだけ、でしょ」

「子孫……繁栄?」

「そ、だってユウ君、つれないんだもん」

元のユウはどうやら真面目系バカなのか!?

こんな可愛い子断る理由がないのに。

「キ、ミ、は付き合ってくれるよね」

耳元で囁いてくる。

「ま、魔法遣いを襲わないなら」

「決まり」

ゆるい、ゆるすぎる。まあ、エロ可愛い系お姉さんは大歓迎です。

「こんな荒野でか?」

「まあ、ここに連れてきたのも私が私と分からせるためだったし、

移動するかあー」

オルガノは僕を抱きしめて(オッパイが当たってきもちいい)また転移する。

「ここは?」

新緑の生い茂った木の家にいる様だ。

しかし、不思議と落ち着く匂いや家具の配置になっている。すべて木製で

なにかの木の匂いが漂ってくる。

「ここは、セコイアの木で創った私の家だ。どうだ原始的な家もいいだろう」

「ああ、なんか気持ちいい」

「ふふ、気持ち良くなるのはこれからだろ、ほら、いこ」

僕はオルガノに引っ張られ、木のドアの先にある部屋に連れて行かれた。

 そこは、青赤黄と様々な色の花に囲まれた寝室だった。その中央にベッドがある。

「私だって女だ。殿方をいれるのに手入れしてないはずがない」

「この花の量、すごいですね」

「ああ、ガーベラに……なんでもない」

「ガーベラ……の知り合い?」

「いや、気のせいだ。同姓同名なだけでな、それより、そこに寝て……」

「じゃあ失礼して……」

ベッドの上に乗ると軋む音と柔らかさが心地よくマッチしてる。

気持ちよくて寝てしまいそうだ。

「こら、まだ寝るなよ。こんな良い身体をした女を前にして」

「魅力的な身体をしてると思う」

オルガノがリボンを外して脱ごうとしたのを止めた。

そして舌をいれる。戸惑う事無く、すんなりと僕の舌はオルガノの中に入っていき、唾液が混ざり合う。

「脱ぐのも待ってくれないのか」

「そのままのほうが可愛いなっておもって」

「お世辞でもありがたい」

「本当にそう思ってるよ」

「……恥ずかしい事をいうな」

「……恥ずかしいことをしてるのに?」

「……そんな意地悪なこと」

オルガノの表情が戸惑ったような切ない顔をする。

意外と攻める言葉がでてきた。多分、リリスから覚えて、実践で試してるうちに

できるようになったのかもしれない。

「もっと触るよ」

「あっ」

オルガノも最初は余裕があったけど、段々快感に期待をする声を出してくる。

「まだ服の上からなのに」

「う、うるさい」

オルガノも負けじと僕の下部に触れてくる。

強くも弱くもない丁度いい刺激がとても気持ち良い。

「ど、どうだ」

オルガノは快楽に耐えながらも僕の顔色を上目遣いでみてくる。

「まあまあ、かな」

強がって答えてみる。

「むー、可愛くないゾ」

不服であっても一生懸命手を動かすオルガノ。

僕もオルガノの反応を見るためにスカートを捲りあげて、ピンクのショーツに挨拶する。

「可愛い?」

「か、可愛いけど、未だに信じられないかな。戦うと思ってた相手と、こんな交流をしてるなんて」

「まあ、異世界に飛ばされて、知らないイケメンに入れ替わってた岩田君からすればそうかもね」

「ぼ、僕の前世の本名まで知ってるのか」

「そりゃ、知ってるよ。飛ばす先まで綿密に計算したから。もーその話は後」

そういって僕の頭を掴んで、オルガノのパンティまで押し付けられる。

「ふがふがっ(強引すぎる)」

「ちょっ……と。ユウは激しいよ」

「ふががっがが(頭から手を離せ)ふがが(苦しい)」

「なめて」

これがラスボス戦ってことだな。

僕は、布切れの上から舌をすべらせる。

「すごく上手……こっちの世界でいい女の子達と出会ったんだね」

思い返してみれば、リリスにミルルに、マッサージ店の人に、クラスメイトのアーシアに、メルに、リタに、多くの経験をしてきた。

舐めていると、僕の唾液ではない、オルガノの液が出てきた。

「んんっ……いい感じ、ユウの舌が」

甘い匂いに鼻をくすぐられる。

それと花の蜜のような甘いそれに、舌を何度も這わせて味わう。

「そんなに、ペロペロしたら、もうだめええええええ」

いきなりオルガノは叫びだしたと思ったら、痙攣をしながら液がたくさん吹き出してきた。

終わった……のか。

「キミ……とてもいいね」

オルガノは息切れをしながらも微笑む。

「ところで、話をまとめていい?」

「えーもうー? いいけど」

「ごめん、この世界の未来がかかってるから」

「はい」

素直に相槌をうってくれた。

「じゃあ、魔法遣いを滅亡させようとかそういうことを考えてはないんだよね?」

「元々、人類なんて、滅びるものじゃない。それが早いか遅いかだけで」

「そうだけど、まだこの世界を残したいんだよ」

僕はオルガノの両肩を掴んでいた。

「……人との繋がりを増やせばいいのよ」

オルガノが僕の胸を指でつついてくる。

「魔法に溢れた世界でどうしろと!」

「皆に相談したらどう? 私も協力するから」

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