第23話 スパイも終末期
翌朝、生徒会室に行っても、何も変化はなかった。
そこには、帰還したリタを喜ぶ仲間達がいた。
特にヒカリの喜び方はすごかった。
「リタお帰りにゃ」
「ヒカリ……くっつき過ぎ」
リタはクールに返答する。クールビューティー系ってやつかもしれない。
リタの容姿はこの世界には珍しい日本人タイプで黒髪で髪留めをしていた。
「連絡が途絶えて心配だったにゃ」
「向こうにバレそうだったから消した」
「そうだったにゃ」
ヒカリはリタに抱きつき号泣する。
「私で泣かないでよ」
「ごめんにゃ、そういう約束だったけど、やっぱ帰ってきてくれて嬉しいにゃん」
「私はいつも戻ってこれるとは限らないのよ」
「そうだけど、それでも無二の友にゃ」
ヒカリは友達想いの良いやつだったんだな。
「まあ、感動の友の再会は後にして、これから会議を始める。その前に自己紹介をしておきたい。わが、生徒会の潜入担当リタ=フローゼルだ」
「自己紹介とかあまりする質ではないが、リタ=フローゼルだ。気軽にリタと呼んでくれて構わない」
「我のことが聞きたそうだ。我はメルだ。グルグ鉱山の竜だ」
「鉱山の竜……それはかつて、王国の資金山にしようとしたが竜に殲滅されて断念したという……いやそれにしては幼女にしか見えぬが」
「我は神の遣いだ、人の姿に変えることなど造作もない」
「なるほど、それは失敬した。仕事柄、疑い深くてね。なるほど竜を仲間に……」
リタは難しく考え黙り込む。
「リタは思慮深いにゃん。一度こうなると長いにゃん」
「いや、大丈夫だ。あの幻術師達とやりあって勝算があるかとね」
「幻術師って、今回潜入したとこにゃん? ユウが戦った相手にゃん?」
「そうだ。それが少々厄介な相手でな。魔法とは違う様でな。幻術と呼んでいる」
「なんで魔法と違うにゃん」
「レガシーを用いてる」
「レガシー?」
「私が説明しよう」
リリスが割って入る。
「レガシーとは、1万年以上前に滅びた文明兵器の総称だ」
「そんな古くさい兵器なら、子供が水鉄砲を持ってるだけじゃないかにゃん?」
「その水鉄砲も強化できたらどうだろうか、魔法により、強度や水圧を調整できたとしたら?」
「……でもなんでそんなレガシーがいまさらなんでしょうか?」
あえて古いものを扱う理由がわからない。
「敵には開発者がいる。大きな技術を持った科学者が。だが、なぜこの時代に生存しているのか調べてもわからなかった」
「このご時世に科学者? どんな長寿にゃん。1万歳にゃん? ゾンビにゃん?」
「無論、長寿の魔法、あることにはあるが禁断の魔法だ」
「アダムの実だな」
アダムの実は昔教科書で勉強したことがある。魔法大戦時代に開発されたが、実用はされなかったとか。
「ああ、そして、その実を物理的に人間には使用することが不可能、と考えるとこの魔法は除外……となると」
自然と竜人のメルのほうに視線が集まる。
「……いや、我の種族は人間に力を使うことはできぬ。また文明に影響を与えるほどの技術は与えぬ、神もまた然り」
「その話はその話で興味深い。あとでお聞かせ願えないか、メル」
「構わぬ、神との約束に抵触せぬ範囲で話そう」
「そこらへんは私も心がけている問題ない」
リタとメルはどこか相性が合ってるみたいだ。
リリスは珍しく険しい顔をする。
「ふむ、何かこう霞を掴むような話だな。人類は霞を集めることはできるのにな。
しかし、何か忘れているのような気もする。重要なことを」
そういうと、生徒会室から出て行ってしまう。
なぜか僕らは取り残されたかのようになった。
「リリス会長……出て行ってしまったにゃあ」
「これで、解散ですかねー? 話も終わったみたいですし」
僕、ヒカリ、メル、リタは取り残されたようだ。
「いや、まだ彼らの目的を話していなかったのだが……まあリリスには伝えてある。
私がここで伝えても問題あるまい」
「科学者の話ですか?」
「それも仮定の話だ、実際にそうかといえば、イエスとはいえない」
リタは含みのある言い方をする、それがスパイの話し方なんだろうか。
「でもそんな昔の道具使うやつ、原始人としか思えないにゃん」
リタは問いかける。
「ふむ、でもヒカリ。我は人じゃないからわからぬが、なぜ古いものは良くないのだ? 昔からティーカップはあるじゃないか」
「それは決まってるにゃ。武器は技術が新しくなってより強力なものができるからにゃ」
「技術……より強力……ふむ」
リタは眼光を鋭くさせながら相槌をうつ。
「なにか分かったんですか」
「いや、もしかしたら古によりなくなったロストテクノロジーを動かそうとしているのかと、また、古の民との関係者があの敵の組織にはいるのではないかと思慮していたんだ。そして、ユウの記憶喪失
私も何かが見えてきそうで、見えない」
いや、僕は記憶喪失ではなく入れ替わったんだけどそれは言えない。
「もう難しい事ばかり考え過ぎにゃ。今日はリタの無事祝いをすればいいにゃ」
「リリスがいないのに?」
「……だったら前夜祭にすればいいにゃ。リタ無事でした前夜祭にゃ、みんな参加するにゃ。リタは絶対出席にゃ」
「なかなか強引だが、みんなの事をよく知りたい。
参加しよう」
「我も興味深い、参加しよう。ユウもおるしな」
どういうことだろう……まあいいけど
「ユウは強制参加だから問題ないにゃ」
「どういうこと! 僕の意思は! 以前もこんなことなかった?」
また僕は女の子に振り回されている。
そんなこんなんで、リタ祝い前夜祭は、商店街で買い出した、茶菓子と紅茶で始まる。
「祝われるというのは、いささか慣れていないが、ここにいると帰ってきたという気がするな」
リタはクールな表情のまま答える。
「そういえば魔法遣いのスパイってどうやってなったんですか」
そんな魔法スパイ養成機関でもあるのだろうか。
「いや、家系が国の要人でね。そういう教育をされたきた。父についてみっちりさ」
「学校の授業とかは?」
「受けたことはない。訓練や潜入ばかりだった。
だから学校に憧れはある」
「ふふ、ではユウに教えてもらえばよかろう」
なぜ、メルは笑うのか。
「そういうのもいいかもしれない。またいつ、仕事が入るかわからないしな」
「いやいや、僕が何か教えられることなんてないですよ」
「ユウだって武器を持ってるにゃ、下に」
ヒカリはペロリと舌をなめる。
「いやいやおかしいでしょ。お茶会でしょこれ」
「感謝祭のようなものであろう。ならば全力で感謝しなくてはな」
ヒカリは成人の姿になる。
「え、なんで、ヒカリもメルもそういう気になってるの?」
「リタもユウ先生に教わるにゃ」
ヒカリもメルも僕の腕にしがみついてくる。
「私も自分が女である以上、興味はある。しかし会長抜きでよいのか、恋仲かと思っていたのだが」
「いや、僕と会長はそういう関係では……」
それっぽいけどまだはっきりしてないし。
「まだそういう関係じゃないみたいにゃ。ま、いつもユウを独り占めしてるからいいにゃ。鬼の居ぬ間になんとやらにゃ」
リリス抜きで、メルやガーベラと色々あったんだけどね。
「それならば、ユウ殿にも歓迎してもらおう」
……やっぱりこのスパイ役も終末期だな。
「い、いいんでしょうか」
「こんな可愛い子が三人もいてユウは尻ごみしたにゃ?」
「そ、そうじゃないけど、わかりました、もうどうにでもなれ」
「言質はとったにゃ」
「私は何をすればいい?」
「女の子は脱がしてもらうものにゃ」
「頼むユウ」
こんな時ですらリタは表情を変えずに僕に目で訴える
僕は、特注されたような、黒い装束に手をかける。
その時にリタが少し震えてることに気づいた
「大丈夫?
「緊張しているだけだ、この身を誰にも見せたことも無いのでな」
するすると脱がしていくと、水色と白のストライプのブラが顔を出した。透き通っていて隠す意味はなさそうだが。
「身につけているものが多いとそれだけで重くなるから最軽量にしてあるんだ」
ってことは……。下も見たくて下ろしていくと。
やはり、履いて無いように見えるけど、お尻に縦の水色の線が入ってる。
「リタはエロエロな格好で仕事してるにゃ」
「生き死にかかってるときだからな、文句はいってられなくて……薄着なんだ…すまない」
薄着っていうかもう桃が見えちゃってマスヨ。
気のせいか、リタの声には戸惑いがあるようだった。
リタは服装が黒いから脱ぐまでわからなかったけど、意外とグラマラスだった。黒が迷彩になって、胸の膨らみが隠れていただけだったのか。ボーイッシュスタイルぐらいに思っていた服装の下は、大人の女性のような豊かな身体のラインだった。
留めていた髪をほどくと、黒光りする髪がふわっと舞い上がった。
「しかし、みんな汗をかいてるのによいのか?」
「メル、なんとかできますか?」
「なんだ、魔法使いは空間系魔法とかできぬのか」
「私は物理タイプにゃ」
「僕も実はそこまで……空間系は」
「では我が」
メルは何かを祈ると、僕ら四人はオアシスのような所にいた。
生い茂る植物と、滝が流れる湖に僕らはつかる。
「ここは?」
「私が作り出した空間だ。すぐに戻れる。その水は浄化作用がある」
「竜ってすごいにゃ」
ヒカリはバシャバシャ泳ぎまくってる。
「では私は打たせ湯ならぬ打たせ滝を」
そう言ってリタは堂々と隠さずに打たれにいく。
リタの鍛えられた後ろ姿は足や身体に小さな傷が見えたけども
なぜかそれすらもセクシーに見えた。歩く度にお尻と胸が交互に揺れているのを
見るだけで色々捗ります……。
折角だし、僕も打たせ滝でリタと話をしよう。
「やあ、リタ。気持ちいいね」
「ああ、最高だ」
最高なのは君の身体だよ、と言ったらクサいだろうか。
打たせ滝自体は正直痛いぐらいだ。
頭にうつと、頭皮に刺激がくる。
「肩にうたないのか」
「いや……打たせ滝ってはじめてで」
「ここらへんだな」
そういって僕の両肩を掴み、移動させる。
「わわわ」
それでバランスを崩して倒れてしまう。
「あぶないぞ、ユウ」
僕の頭は痛めることなくリタがクッションになって助かった。
「ご、ごめん」
僕は頭からリタの胸に突っ込んでいた。
「ああ……大丈夫、ふああっ」
「え、本当に大丈夫ですか」
「あんっ、大丈夫だ」
リタから艶っぽい声が聞こえる。他の女の子とは違う、また聞いてみたい声だ。
だからなんだか悪戯したくなる。
「ああっ、な、なにを」
「大丈夫っていうので」
「ああ、そうだ……大丈夫ぅ……んんっ」
胸に触れるたびにリタは震えだす。
オアシスとか開放された場所でこのシチュエーション、最高だ。
「スパイがこんなことで取り乱していいのか」
「ああっ、そんなこと……んんっ……いったっつあああ」
さっきより強く揉んでみる。
「鍛錬が足りないんじゃないのか」
「くっ、確かに師匠はどんなときも油断してはいけないと」
「なら耐えないとね」
もっと揉む。ふにふにするリタのをとにかく、もむもむもむもむ。
もんでもんでもみまくれ。相手の胸にハングアップ。
「あ……んんっ……た、たえま……ううあああん」
果ててしまったのか、リタは涎を垂らしたままぼーっとする。
「ごめん……なさい。師匠……」
スパイが性的拷問に耐えられないってどうなんだ。
あーそれもこの終末期だからか……。
リタを落ち着く木陰に連れて行く。
意外と身体は軽くて正直よかった。
「……面目ないな。このような弱さが自分に合ったとは……どうか他の者には黙っていてほしい」
「うん、僕たちだけの秘密だね」
「ああ、そうだ。敵にしられたらと考えると恐ろしい……何もかも喋ってしまいそうだ」
「そ、それは困るね」
いきなり手を強く握られる。
「だからこそ、私たちだけの秘密だ」
「あ、ああ」
秘密を強調された。大事なことだから二回言われたのかな。
「それと恥をしのんでこんなことを頼むのだが……こんな弱点があっては困る。克服……したい。」
あーやっぱりね、次はこう来たか。
ほぼ全裸なのにリタの真剣な眼差しに断れない。
これが裸の付き合いってやつか、なんか違う気がするけど。
僕たちを心配してヒカリとメルがやってきた。
「リター、ユウ−!そこで何やってるにゃ、抜け駆けは禁止にゃ」
色々ヌけがけしてすいません。
「いや、ただ私の介抱をしてもらっていただけだ」
「どこか体調悪いにゃ?」
「いやもう大丈夫だ。ユウのおかげでな」
「ふむ」
メルは出来事がわかっているのか相槌一つして、落ち着かない様子だ。
「リタを歓迎するにゃ」
「いや、私はもう充分だ。ユウをかえすよ」
「それじゃ遠慮なくにゃ」
「我も楽しみたいぞ、ヒカリだけには譲らぬぞ」
この後、猫系と竜ロリの相手をしてるときも
リタの胸が忘れられなかった。
僕も終末の異世界転生者だな……。
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