第20話 終末期なパーティー
僕のパーティはわりと変態な構成だ。
もう変という一言で片付かない。変態だった。
エロ多重人格会長に、獣人失禁広報、ロリパンドセルに、ロリコン王子書記だ。なんかグルーヴだなあ、で済む話でもない。終わってる、意外と終末期とはこういうものかもしれない。
「どうした、ロリコン王子」
「その言い方やめてください」
王子という言葉は気品があるのに、ロリコンという俗語がつくと、色々問題しかない。テレビ放送とかだと全部ピーという伏せ字だらけになる。
「人間界とはおかしなものだな。強い女を好きになるのは世の常だろうて」
メルはリリスと僕のやりとりを怪訝そうに見つめる。
「ところで、メル。容姿を変えられる他に何ができるんだ」
「これは一回かぎりだ。よって当分はこの姿のまま
主らと同行する」
わあい、常にロリが同行してくれるよ。僕もロリコン確定だ。
「……それでは困る。私らの目的は竜に助力してもらいたい。少女がほしかったわけではない」
「この姿になっても我の力が衰えるわけではない」
竜の目が青白く光ると共に周囲の空気が異様な熱気を放つ。
「わかった、なら問題ない」
「でも会長さーん。ドラゴンに乗る計画はどこにいったんですか。私はドラゴンライドしたいです」
「ヒカリはこんな時でもマイペースだね」
「でも皆さんも乗るきだったじゃないですか」
「でもこの少女に乗ったら潰れるどころか、色々なTPOにひっかかるからダメっ」
「残念です……」
目に見えて肩を落とすヒカリ。
「いや、そんな事もない。一時的になら本来の姿に戻れる。戦闘するまではいかんがな」
それを聞いて二人の顔は少し緩んだ。
「コホン、とりあえず竜の加入により、よりパーティーの層は増したはずだ。これで救助にいける」
暴力で解決よりは、そのほうがいいけども。
「なあ、我の服装はもう少しどうにかならんのか。胸のあたりがきついぞ」
それは、ヒカリの制服を借りたからだ。
「私の胸だってシーはありますよ!シーは!ロリババアがでかすぎるんですよ。しかも下着見えちゃってるし」
「ロリババアではない。竜だ」
メルは冷静に返答する。
「しかし、学園長もよく竜の入学を認めましたね」
「私の一声があればこの学園をユートピアにできるぞ」
リリスはサディストの顔になりながら悦に浸る。
「それは、すごいですね」
「もっと褒めてもいいぞ」
リリスは何かを訴えかける目で僕を見てくる。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでも」
「それで、我は何をすれば良い? 私を鉱山から出したんだ。目的ぐらい聞いてもよいだろう」
「この学園を守ってほしい、もしかしたら。戦争になるかもしれない」
「ほう?戦争? 我のいないうちに。相手はどこの国だ? ゲルニカか?サハウェルか?」
リリスは首を横に振る。
「……わからない。得体の知れない魔法を使うんだ。それでユウも記憶喪失になった」
「なるほど、わかった。それまではどうする?」
「この学園の生徒になってもらう」
「え? ちょっと色々まずくないですか?特に外見とか外見とか」
「ユウの趣味でこの姿にしたのだろう?何が問題ある?」
「いやいやいや、大アリですって、オオアリクイですって」
「ユウさん、その洒落寒いですって……」
「そんなこというなよ、ヒカリ! 咄嗟に昔見たテレビを思い出したんだよ」
「「テレビ?」」
三人がはもらせる。
あーこのひとたちに通じなかった。
「だーかーらー商店街の道端でテレビ=マンっていうコメディアンが言ってたんですよ」
「ヒカリ、コーヒーをいれてくれ。なんか鳥肌が立った」
「はいはい、少々お待ちください」
メルはきょとんとした顔で僕を見てくる。
「何か?」
「いや、お主もなにやら訳ありじゃなと」
「じゃな……」
「何か問題でもあるか?」
「いえ、ないですけど」
「けど?」
「ずっと、ランドセルは背負ったままなんですか」
「なんだ?制服とはそういうものではないのか」
「いえ、これは制服ではなく、荷物をいれるものです」
「ふうむ、革素材で出来てるから盾かと思ったんじゃが。長年生きていてもわからぬことがあるのう」
見た目が小学生だけに口調とのギャップがすごい。
それに、わかめちゃんスタイルだし……。
しかし、このパーティで学園は守れるのか。
知性溢れる会長、諜報の部下に竜がいて、一見揃っているようにみえるが……。
僕も戦わずに、こんな美少女達に囲まれているし、楽しんでるんだから贅沢いっちゃいけないんだけどさ。胸熱なファンタジーバトル的な展開はおきないだろうな(おきて欲しくない)。
色々、忙しかった後は、屋上にかぎるな。
振り回される人間には、一人になる場所が必要で、やはりそれはどの世界でも学校の屋上という相場は決まっている。
いつきても、魔法遣いが空を箒で飛び回ってるから一人ではないんだけど、もはやこれも背景で風情だなとぼんやり空を眺める。
「僕も箒を飛べる練習をしておけばよかったな」
気持ちがいい、ずっとこのままこうしていたい。
そこに、突然白色の影がかかった。いやこれはパンツだ。
「探したぞ、ユウ。我を置いてどこにいくか」
メルは僕の頭上で立ったままスカートの中を丸出しにして、見下ろしている。
「僕はいつも通りのことをしてるだけですよ」
「お主との付き合いはまだ短い。わからないことだらけだ」
切なそうにメルは目で訴えてくる。この竜もあの鉱山に籠っていて本当は寂しかったのかもしれない。静かに暮らすはずが、人間に邪魔されて……。
「そういえばどうして、メルは人間嫌いにならなかったんですか」
「同じ神に創られたものだからじゃ。我も神の遣いゆえ、人間の事はよくわかっておる」
メルは気にせずに淡々と静かに語る。
「さいですか」
「それとお主は、少々訳ありなのじゃろう?」
「……神の遣いにはお見通しですか」
「といってもお会いしたことはないのじゃがな」
「ではなんで神の遣いと?」
「全能ではないにしろ、全知に近いものをもっておるからの」
「それはどれぐらいの?」
「この星が滅びるまでじゃな」
「それはかえって寂しい話で」
「といってもこの姿になってる間は、何も感じぬ」
「え、それ大丈夫なんですか」
「問題ない、それよりお主は元の世界に還りたいとかはないのか?」
「ないです、なさ過ぎて困ってるくらいです。でも時折思うんです。
本物のユウの人生を自分が生きてしまっていいのかって」
「それは、ユウも思ってるのではないか」
「僕の人生なんて最悪でしたよ、本当の名前は口にも出したくない思い出したくないくらいで。
もらってくれるならただであげます」
「ふむ、じゃあ本物のユウを見てみるか」
「そんなことできるんですか」
「ワシを誰だと思っておる、神の遣いじゃぞ」
「でも今は人間の姿だからできないって」
「少しの間なら問題ない」
「どんなご都合設定だっ!」
「いや、逆にいえば基本は人間の子供と変わらんということだ。記憶は据え置きだが」
「それは戦力になるのでしょうか」
「お主らの魔法なら一通り使えるぞ。神の遣いだからな」
「神の遣いスゲー」
チート竜ここに降臨。
「では始めるぞ」
途端に、メルは苦しそうにする。神々しくも眩い光がメルを包み込む。
目が痛いくらい眩しい。僕は光の残像に目をチカチカながらもメルを見守った。
「終わったぞ」
「早いですね」
「神の遣いだからな」
「いやもうそれはいいから!」
「ふむ、それでじゃが」
「うん……」
静まり返る空気。
「楽しくやってるようじゃ」
「いやいやそれだけ? 学校でいじめられてたりとか、学校の成績とかそういうのは?」
「この姿では一瞬しか覗くことはできんのじゃ。
だが、クラスメイト達と仲良くやってるらしい」
どうやら僕とは別の人生を歩んでるらしい。
まあそうだよな、可愛い幼なじみがいたり、学園を守って戦うぐらいなんだから人気もあるんだろう。
僕とは違う。向こうのユウに悔しさを思い知らされる反面、少し安心した。僕は今こうして仲間がいるし、お互いにウィンウィンの関係だったってことで。
「ふふ、どこか腑におちた顔をしておるのう」
「安心したんだよ。結局、考え方なんだなって」
「?人間はそういう生き物だしのー」
メルは軽く小首をかしげる。
「この事は黙っておいてくれよ、みんなには」
「ふむ、わかった。約束しよう。その代わりじゃが、この前みたいに我を抱いてくれないか」
「いいけども、あの鉱山のエロい熱気ってメルが 関係あるのか」
「聞けばこの世界は、人類滅亡しかかっておると聞いてな。そこまで性に無関心なのかと思ったが、そうじゃないよのう」
「それは僕らのパーティーが特殊なだけかな。会長と秘密裏で原因を探ってるから。で、どうしてメルはしたいの?」
「我も女ということじゃ」
「さすがに幼女とするにはTPOが許さないから」
「ふむ、では この姿が成体になった20くらいになろう」
「そんな自由に姿形を変えて大丈夫なのか」
「人間の範疇なら問題ない。幻獣にになれとか言われると眠くなるが。服装はどんなのがいい? ユウが思い浮かんだものになろう」
「わかった、頭に思い浮かべる」
今綺麗なお姉さんと抱き合うなら、水着姿、ビキニだ。海デートをしたことがないからな!水着をみせてもらう機会もなかった。まあでもこれからは、 生徒会のメンバーに頼めば海でビキニを拝めるだろうけど。
「ふむ、そういう女がいいんじゃな」
淡々とそういうとメルはその姿のまま成長させる。
服はちぎれ、眩い光に包まれ、ビキニの女性が現れた。出るとこは出て、引き締まった所はきちんと引き締まっている。美しいくらいの身体だ。
ビキニは白にしました。そのほうがエロい。
「メルはいきなり変身するよね。驚くよ」
「早い方がいいと思ってじゃが、ゆっくりなほうがいいか?」
「いや、メルらしくていいよ」
「そうか、ありがとう」
メルの眩しい笑顔が見れた。
普段は、真顔なだけにどきっとさせられる。
「メルも笑うんだね」
「今は人間だしのう。ユウにも笑ってもらいたいぞ」
メルの口調は淡々としていたけど、顔は少し紅みがかっていた。メルにも少しずつ人間らしさができているということかな。
「でもその語尾は人間でいえばおじいちゃんおばあちゃん言葉だよ」
「わ、わかった、なおす……のじゃ」
「別に無理して治さないでも」
「人間は難しいのじゃ。幼い姿になれば年を重ねていたほうがいいと言われ熟年の口調で喋れば、若いほうがいいと言われる。なぜじゃろうか。我にはわかりかねる」
「ま、変わり者はうちの生徒会たくさんいるから、メルもそれぐらい変わってるぐらいがいいよ」
途端にメルは僕に抱きつき、耳元で囁く。
「じゃあ、これから教えてね……じゃ」
暖かい吐息と艶のある声でドキドキさせられる。侮れないぞ、この竜。
「鉱山でリリスやヒカリにしてたみたいに我を求めて欲しいの……じゃ」
例え中身が何千、何万生きる人外だろうが、見た目が人間で魅力的な容姿をしていたら、身体は無理だ。反応する。いや、少しは抗いたかったああああああああって心で叫ぶ。って何か減るわけでもないので。
「じゃあ……するよ」
僕はメルに口づけをする。
さすがに人数も増えてきたし、物怖じはしなくなった。やっと純粋に楽しめるようになってきたのかもしれない。
メルの唇は柔らかくて、食べてるわけでもないのに、舌を絡ませると美味しく感じる。高級なトロや肉を食べると舌で蕩けるけど、あれに近い感覚だ。
もちろん、舌だから溶けてなくなるとかはないんだけど、それになんだか甘くて無性に絡めたくなる。舌が止まらなくなる。
「はぁっ、あぁぁぁ」
メルがエッチで悩ましげな吐息と、僕が舌を絡めてると、ときどきビクビクと身体を痙攣させてる。それがまたいろっぽくて、ますます激しく絡めてしまう。
「らんか不思議なのりゃ、ぼーっとしゅる」
舌を絡めながらメルは喋るからはっきり聞き取れないけどなんだか可愛い。
魅力的な身体(特に胸)ばかり気を取られていたけど、眼も深い青が潤っていて美しかった。そこから僕は覚えていない。とにかくメルを求めていた。メルの身体に吸い付くどこか虫かのようにひたすら吸いつきまくった。
舌をメルの肌に走らせる度に「んんっ」という喘ぎ声を何度もだしている。
空いている手で胸を揉みしだく。
メルの胸に指をめり込ませて楽しむ。
「だ、だめじゃ。なんかおかしくなってくる。こ、これが人間の性……。良いのじゃ、もっともっと激しくしてくれ、ユウ。壊れるぐらい、ああっ」
「次は、僕のも頼むよ」
「何を頼むんですかねえ、私がキミのソーセージを噛みちぎってやろうかにゃあ」
「え?」
背後を振り向くと、ヒカリが屋上の扉に寄りかかり、格好つけたポーズで僕らを見ていた。
「なんだ、ヒカリか。僕らと混ざりたいのか」
「そ、そんなわけないにゃ!ばか! リリス会長に呼ばれたんだにゃ」
ヒカリは動物化した手で引っ掻いてくる。
「痛い痛い、ミミズ腫れになれるだろ」
「バカなユウは、カニモルサス感染症になればいいにゃ」
「カニ大盛り挑戦状?」
「バカなユウにゃ」
なぜかヒカリにため息をつかれた。
「またお楽しみは今度じゃな」
いつの間にか、メルは元の小さいサイズになっていた。
「って、会長は何の用事で?」
「知らんにゃ。でも会長も女なんだにゃ。生徒会室で待ってるそうだにゃ」
意味深なことをいいながらヒカリは空を見る。
変な空気を醸し出すヒカリが不気味なので急いで僕は生徒会室に向かった。
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