第19話竜人

「ユウ、どうした。最近、全く会ってくれないじゃないか」

「いやぁ……もとから貧弱なので、ヒカリの特訓でボロボロなんです」

今日は生徒会室でリリスと会っているから会長モードの口調だ。

それでも、なぜかリリスから目が離せない。生徒会室でのあの事から意識してしまう。僕も単純な男だなと自分ながら思ってしまう。

「そうか、強くなってくれるのは私も嬉しいよ。だけど私をもっと頼ってもいいんだぞ」

「リリス会長は、生徒会の仕事やら、行方不明の少女やら、人類滅亡の危機を救うやらで多忙ですよね」

「……そんな意地悪しないでよ」

「……え、ちょっ」

僕はリリスが泣くのを初めて見た。

「意地悪は……いや」

囁くような嫌という小声は僕の胸を叩いた。

強くて凛々しくてドSだったのに、今はただの可愛いだけの少女だ。目を潤ませて、身体を震わせて、今にも泣かんばかりだ。

僕はその姿に、意識もしてないのに涙が流れてきた。

美しくてリリスから目を離せなくて涙が溢れていくのを

感じるだけだった。

「ごめんね」

意地悪をしたかったんじゃない。

だけどリリスが泣いてる、そのときはもう大したことがなくても

僕が悪いんだ。それだけ彼女の悲しそうな顔が僕の脳裏に焼きついた。

だけど、ここでリリスを抱きしめて結ばれてもそれはハッピーエンドじゃない。

この世界で、リリスに甘えてそれでおしまいなだけで、僕自身が前の世界と変わったわけじゃない。もう自分がクズでいるのは嫌だ。

「どうしてユウのほうがそんな辛そうな顔をするの。私が勝手に泣き始めたのに」

「……女の子を泣かせてみっともないやつだな俺はって」

この世界で僕はなんなのか。まだ答えもでそうにない。

「ばかだな、ユウは」

「キャラ作りしてるリリスには言われたくないよ」

「イメージは大事なんだ。こんな部分、君にしかみせてないんだから」

優しく抱きしめられた。暖かい匂いが僕の寂しさを少し和らげたような気がした。

きっとこれから僕は戦わなきゃいけなくなる。

でも寂しくはない。孤独じゃないのだから。

「こんにちは!皆さん」

ヒカリの快活な声が生徒会室に響き渡る。

「あれ、お二方。もういらっしゃったんですか」

間一髪で僕らは向かい合っていた。

ただ、何もせずに二人で棒立ちなのは不自然だが

会長は気にせず、コホンと咳こむ。

「ああ、ヒカリ。ちょうどよかった。これからペットを手に入れようと思ってな。君にも来て欲しい」

「ペット!?魔法商店街に買い出しでしょうか。グリフォンかな、

「先日のヒカリの特訓の成果をみせてもらいたい」

「といいますと?」

「今、この学園で戦えるのは、私、ユウ、ヒカリしかいない。圧倒的な人材不足だ」

「魔法警察に頼むんじゃだめですか」

「ダメだな。彼らはこのご時世にもう仕事をする気はない。自分の学園や生徒は自分で守るしかないということだ」

「はあ、結局自衛する事になるんですね」

「そういうわけで、そろそろ私たちもペットが欲しいところだろ」

「?いきなり会話が飛びましたね。生徒会で飼うんですか」

「飼う?というより懐けば、な」

「一体なにを飼おうとしてるんですか?」

「ドラゴンだ。絶対強力な味方になってくれるだろう」

「この世界にドラゴンなんているんですか、見たことないですけど」

「それは伝説だからな、中々いるはずもないだろう」

「伝説じゃ、探す前にこの世界滅びますよ」

そんなご都合な具合で格好いいドラゴンがペットにできたらそりゃ便利だ。

「ああでもユウさん。言い伝えがあるんですよ。この魔法学園の北東にガラル鉱山という廃炭鉱がありまして、その最深部にドラゴンがいるらしいです」

「なぜ鉱山にドラゴンが?」

「はい!ヒカリは知ってます。ドラゴンの息は石と混ざると鉱物になるんですよ」

「……」そんな危険なところによくもまあ人を送り込んだね」

「その鉱石がとても希少で魔法耐性もあるものだから大量に欲しかったんでしょうね。ドラゴンが激怒してしまって」

「……そんな激怒するドラゴンをペットにできるんですか」

「できる」

リリスは胸をはって言った。

「あれ、会長さん。そんな伝説のドラゴンをペットにする魔法なんてあるんですか」

「ペットにする魔法はない」

僕とヒカリはコケる。

「ないんじゃないんですか」

「ないからといってできないとは限らない。不可能は可能にするためにある。違うか?」

「正論を装ってるようにしかみえない言葉だ……」

「でも会長さんに考えがあるようなら従いますよ」

「そうしてくれると助かる。さすがこのわからずやできそこない書記と違ってヒカリは優秀だな」

リリスはヒカリの頭を撫でる。

「えへへ」

ぜっつたいさっきのこと怒ってるな! これ!

「わかりました。リリス……会長を信じます」

結局、僕も特に策があるわけでもないから従うしかないんだけどね。


こうして僕ら三人はガラル鉱山に向かった。

「軽いピクニック気分だな」

リリスは機嫌が良さそうだ。猫モードのヒカリは息切れ、僕に至っては、荷物持ちの役をさせられて、息も絶え絶え。土のベッドと空の天井が気持ちいいというぐらいにぶっ倒れていた。

「ユウさん、大丈夫かにゃ」

「ゼェハァゼェハァ、てんごくっ……らくえんっ……がんだーらーっ」

「会長!ユウさんがわけのわからないことを言ってるにゃ!なんだかまずそうにゃ!」

「大丈夫だ。これぐらいでユウはくたばったりはしない」

「はーいにゃ」

なんという役回りだ。しかし、こう息苦しいと昔を思い出す。夏の日差し、重い重いランドセル、……いや、もうあの頃の自分はいない。……今はユウなんだ。

僕は立ち上がり、二人の後を追う。

「いやでも、本当に鉱山に竜がいるんですか」

「ああ、いるさ。それとも君は学園にでも帰ってお茶でもすすっているか」

「それはそれでなんだか」

自分が役立たずと言われてるようで嫌だ。

「ほら、鉱山の入り口に着いたぞ」

「わあ、凄い熱気」

「ん、仕方あるまい。鉱山の内部の温度が高いのはわかる。耐熱魔法だ」

リリスは僕ら二人に手をかざし、耐熱魔法をかけた。

「リリス会長は大丈夫なんですか?」

「この生徒会会長の制服は特殊な素材で出来ていて、なんでも吸収できる」

「それはすごいチート能力で」

「チーズ? 小腹が減ったのか?」

「あ、いや、チート能力というのは、ゲームバランスを破壊してしまうぐらい強いという意味です」

「ほう? つまりユウは空腹だってことだな」

……やっぱり向こうの世界のゲームとかいってもわからないんだな。

「あらあら、ユウさんもう空腹なんですか」

「だらしないな、男子なのに」

「ですよねー」

……なんだこの二人は、僕をイジって。

「ドラゴンの棲家なんでしょ。いきなり火でも吹かれて丸焼きになっても知らないですよ、二人とも」

「確かに、かつてこの鉱山もドラゴン討伐を企て、色々画策はした結果全てドラゴンに倒されてしまったらしい。その結果、廃炭鉱もといドラゴン鉱山と呼ばれるようになったわけだが。それから調査歴がない。つまり、ドラゴンはまだいるかもしれない」

「そんな危険なドラゴンをどうやって捕獲するんですか。返り討ちにされますよ」

「……危険は百も承知だが、今の私には学園を守るのに限界がある」

……会長は以前の召喚祭の騒動を気にしてるのか。

「よーし、私は猫化して嗅覚を敏感にしておきますね」

この人はマイペースなのか、気を遣っているのか。

「しかし、凄い熱気ですね、僕もう汗かきましたよ」

「ああ……この魔法服を身にしていても、熱を感じるよ……」

「リリス会長が言うとなんか、変なかんじですよ」

「にゃあ、気のせいじゃないにゃ。私も……なんか下が……ムズムズにゃ……」

「ヒカリ……人に戻れよ」

「ダメにゃ、私が解除すればみんなを危険に晒すにゃ」

「大丈夫なのは僕だけか」

「わ、私もまだいけるぞ……」

「こんなエロ風耐えてやるにゃ……」

僕も、下半身以外は無事です。とはいえず

グルグ鉱山の内部に入っていく。

「ね、熱気はなんとか収まったみたいにゃ、わ、私もうだめにゃあ、みないでにゃあああああ」

ヒカリは、ビクビクと身体をくねらせた後に、独特の甘い匂いとスカートから液体が水たまりを作っているのを見てしまった。

「ヒカリ……ありがとう」

ヒカリの普段見られない艶やかな姿に反応してしまったけども。

「ああ、ヒカリ……感謝する」

リリス会長も、びくびくっと身体を痙攣させながらもなんとか立っている状態だ。

それでもおそらく凄まじい精神力なんだろう。

「しかし、このエロ風はどういうことなんでしょうか」

「わ、わからぬ。少し、ユウに身体を預けてよいか」

そういうと、リリスの柔らかい身体と甘い匂いが、僕にぶつかってくる。

「だ、大丈夫ですか」

まるで風邪なんじゃないかってくらいに、リリス会長の顔は蒸気して頬が紅い。

「だいじょう……ぶなわけない。ユウが……ほしいよ」

会長モードが切れて、普通のリリスになってるよ。

「か、会長、ヒカリもいるんですよ」

「ユウ……ユウがほしいよ」

こんな可愛くて切なげな潤ませた美しい眼で見られて、断れる男なんているだろうか。

リリスが身体を震わせるたびに、揺れる胸やスタイルのいいくびれた部分から目が離せなくなる。

ここはドラゴンの鉱山なのに。

ため息一つついて、僕はリリスを抱きしめた。

リリスが生命線である以上、こうするほかない。こうするほかないんだ。

……ほ、ほんとだよ?

「ユウ……ユウ……火照ってしょうがないの。私に、もっとユウの熱を感じさせてよ」

今の言葉で僕の頭の中はリリスで埋め尽くされた。

いつから僕の物語は、ネバーなイチャラブなエロストーリーになってきたんだろう。

そんなことを思っても、リリスに手が伸びてしまう。

「ん……」

肩に触れただけなのに、ビクビクって小刻みに身体を震わせるリリス。

「大丈夫ですか」

リリスの手が僕の手に重なる。

「いいんだ、いつものように触ってほしい」

「わ、わかった」

本当なら目の前のこんな可愛い女性を滅茶苦茶に愛したい。だが、ヒカリのいる前で。

「ユウさんて過激だったのかにゃ。ヒ、ヒカリはっ……ヒカリはっ……もっと見たいにゃ」

ヒカリの前にある水たまりの量が増した。

「ヒ、ヒカリもああ言ってるよ……私たちをもっとみせよう」

いやいやいや、そんなこと無理だよ。僕がチキンとかそういう問題じゃなくて。

「もうじれったいにゃ。私がユウさんを」

ヒカリが飛び込んでくる。

「うわっ、ヒカリ……なにを」

ヒカリが僕の上に乗ってる。

「焦らしすぎにゃ、視聴者は待ってくれないにゃ。

ヒカリは 小柄なのに思ったより肉付きがいいのが感じる。その柔らかさのせいで僕の下半身がまたえらいことになってる。

「男の人って意外と大きいにゃ」

猫のように僕の上で身体を揺らすヒカリ。

……ああもうどうにでもなれ

「ずるいぞ、ヒカリ。私のユウをとるな」

「だったら二人とも相手するぞ!」

僕ももう遠慮はすべきじゃないと思った。

グルグ鉱山で、僕ら三人の声が響き渡った。

……こうして色々終わった後、その話は割愛で!

身支度を整える僕ら三人。

「よし、ドラゴンを倒そう」

「私もフルボッコにするにゃ」

女子二人はやる気でテカテカしてるようにみえる。

対する僕は、鉱山入る前よりひどいボロボロ。

「ドラゴンを……倒します」

なんとか三人の心は一つのようだ、その経緯は複雑だけども。

僕ら三人は、あのエロい熱気をなんとか超えて前に進んだ。

しかし、ダンジョンのようなもののはずなのに一向にモンスターも見当たらない。

その違和感をリリスは代弁する。

「しかし、あの雑念はなんだったのか。ドラゴンの手下なども見当たらないし」

「確かにそうですね、もしかしてもうドラゴンもいないのかもしれないですよ」

「それは変にゃ。あのエロい熱気からは、生物の匂いを 感じたにゃ。並々ならない何かだったにゃ」

「ふむ、ドラゴンの鉱山と思わせておいて、もしかして媚薬の魔法研究所があるのかもしれない。私たちよりも先に人類の危機を感じ取った人がいるのかもな」

「そ、それならなんでこんな鉱山に?」

「邪魔されないからだからじゃないかにゃ? 私も世界を色々渡って情報を集めてるにゃ。だけどもドラゴンがいるような鉱山ときいて入るわけないにゃ。最優先は生きて帰ることにゃ」

「……そりゃごもっとも」

僕らはあの後、何もないままずっと深くに進んでいった。

そして大きな水たまりのある空洞に出た。

「あれ……誰もいないにゃ、誰もいないかにゃー」

ヒカリの声は遠くに響き渡る。

「ふむ、おかしい」

「何がですか? ただの大きな池のようなものがあるだけじゃないですか」

リリスは水たまりを覗き込んだ。

「生態反応魔法を使ったんだが、間違いなくここに何かがいる」

「ナニカ……それはなんだにゃ!怖いにゃ!」

ヒカリは震えて壁に寄った。

「うーん、目に見えないので、ゴーストとかの類でしょうか。でも生態反応っておかしくないですか」

「さてね、それはそこの水たまりに聴くしかないだろう」

地響きが鳴る。何かが叫ぶかのような轟音が耳を切り裂いていく。

そして水たまりは喋る。

「……なぜ、人はここを目指すのか。過ぎた好奇心は身を滅ぼすと分からないのか。私にはわからない」

水たまりは浮き上がり、姿をかえていく、それは。

「み、水の竜?」

竜を象った水が宙を浮く。

「み、水が喋ってるにゃ」

「私は水ではない。この姿も擬態しているだけ。人間のやりとりは好きではないのでです」

「……一つききたい。ドラゴンは貴様だけか」

「……私しかおらぬ。仲間は全て殺されたさ」

寂しそうにぽつりと水たまりは言う。

「……そうか」

「次はこちらからの質問だ。どうしてここに来た?」

「貴様に用事がある。いま、この世界に戦争が起きそうなんだ。力を貸してほしい」

「……愚かな。仲間を殺された私に手を貸せと?」

竜の言葉は淡々としていて、感情がわからない。

何百何千年と生きてる竜がこの程度のことで感情になるわけもないか。

「だが、私もこの鉱山に居座るのも飽きた。旅に出たいと思わなくもない」

なんだ、ツンデレドラゴンか。なんだかんだで仲間にやってくれるヤツだわ、これ。

「で、その条件は?」

「それはその男に話がしたい」

……なんということだ。ドラゴンと二人きりとか、いきなり丸焼きにされて食われるのか。それとも頭のよろしい竜だから、体をバラバラにされてしまうのか。

「ちょっ」

しか言わせてもらえなかった。

「いいだろう、ユウもいいよな?」」

リリスに即答された上に、その聞かれ方は……。

「わかったよ」

断れるわけもない。

やっぱり僕に主導権はない。美人じゃなかったら許してない話だ。

ヒカリが哀れみの目で見てくる。

「何があっても骨は拾ってやるにゃ」

「縁起の悪いこというなよ、早よいけ、プッシーキャット」

「にゃにゃあ……」

ヒカリに通じたのか、 顔を赤らめ、身震いしながら遠ざかっていくヒカリ。

こうして、竜と二人きりになった。

「やっと二人きりだな」

「竜に二人きりと言われても萌えない発言だな」

「燃えない発言か。ふふふ、我が竜だけに面白い事をいいおる。まあ、この姿だと緊張するだろうて。私もそこまでやぶさかな雌竜でもない」

「メスだったのか」

「竜の雄は長生きではない。そして雌竜の特徴として、2枚舌なのだよ。舌の裏に2枚目がある」

「随分収納便利な口内だな」

「これでも神の遣いなのでな。しかし、人間とはこれほど無知なのか」

「いや、それは僕が勉強不足なだけだ」

ここで、嘘をつくと人類が無能っぽいから下手なことがいえない。

「ふむ、まあよい。我も威嚇したいわけではない。ところで、人間の女性において

強さとは若さと聞いたことあるが違いないな?」

「多分そうだ」

うん、JKは最高で最強だよな。僕は美人OLより制服の可愛い子だ。間違いない。

「ほう、それはこんな姿か?」

雌竜は突然、光輝いたかと思うとその姿はなくなり、変わりにそこに美少女が立っていた。その少女は、青い髪に碧眼、白い肌、だいたい身長120cくらいで、お尻に尻尾がついている。

つまり竜を擬人化したような少女だな。

「す、すごい。火も吹けるのかな」

「ふふふ、人間は火も吹くのか? ならば吹けることにするが」

顔は幼くても、表情の皺には、どこか味があるなんとも不思議な笑顔だ。

「いえ、人間は吹けませんよ、火を出すことはできますが」

「だろうな、わかっていた」

なんだか、人類がバカにされたようで

むかつくな。神の遣いともなればそれが当たり前なのか。

「それで、人間の姿になって俺たちとついてくる本当の理由はなんだ?」

「好奇心だよ。自らの危険をおかしても、何度も何度も私の住処で殺されていく様をみていてそう思った。今回も私が君たちを丸焼きにすることは呼吸をするかのようにできた」

「なるほど、慈悲深い竜だ」

「それと、人間特有の愛について興味もあった。

しかし、こう、口にしてみると、恥ずかしいものだな、神の遣いなのだが……」

高貴にもみえた竜少女が、ぎこちなく膝をすり合わせている。

「う、嘘だろ」

思わず本音がでてしまう。

「そう驚くことも無理はない。だが私は人間の体を手に入れて、なぜか高揚感がある。お前に襲われてみたい、と思っておる」

いや、恥ずかしがってるけどストレートすぎる。

「ぼ、僕に竜を抱けというのか」

「こ、断るならお前らについていかない。丸焼きにするっ!」

話す内容は物騒なのに、幼女の姿だから可愛らしさしかない。不思議と僕の下半身も反応してるし。

いや、反則だろ。相手は竜だぞおおおおおお。

静まれ、息子よおおおおおおおお。

「ほら、お前だってやる気になってるじゃないか」

「いや、だけど、でも!」

竜人が耳元でささやく。

「二人には黙っててやるからな」

それにしてもこの竜、やる気マンマンである。

「もしかして、あの熱気もお前のだったのか」

「お前ではない。名前ならメルシリアスという名がある」

「じゃあメルで」

「それで良い、服はこんなものでよいか」

幼女は、突然、身体の中身がいろいろみえてしまう透けてる下着姿になった。

「……ギリギリだ。色々」

「竜で、5万年生きてる、なんも行為をするに問題はなかろう」

上目遣いの青い眼で僕をみる。

だそうですよ。放送禁止をすり抜けるらしいです。さすが神の遣い。そこに痺れる、憧れ竜!

おっとまた現世の口癖が。

「わかった」

結局僕らは、雄と雌なんだなと思う。

生物なら人種を超えられる。と正当化しておきたい。

「人間と同じく、痛みも快楽も感じるのだ。優しくし、ああっ」

僕はいきなりメルの耳を激しく責める。

白い肌の太ももと胸は小さくても体つきがなんとなくえろかった。

なぜか、昔飲んだミルクセーキの味のような甘い味がした。

「ああっ、これが……ああっ」

舐めるたびにメルの身体が跳ねる。それがなんだかエロくて、何度も舐めてしまう。

「どうだ、人間は」

「ああ、良いぞ。さっきと打ってかわって激しいユウも悪くはない」

僕は、本当はSなのか。ということを一瞬よぎるけど、僕の前でどんどん可愛くなっていく少女に舌がとまらない。首を舐めて、先ほどから何度も揺れていたピンクの果実にしゃぶりつく。

最高糖度というくらいの甘さで、中毒性のある味だった。

「こ……これがにんげ、ん……。若い時の我を思い出す」

小さくも長寿の雌は、僕と連なって叫びをあげた。

「い、いい。もっと、もっとしよう」

「もう一度ですか、休憩をはさみ……むぐ」

僕は少女にディープキスをされ、そのまま再戦となった。それでもきちんと僕の下半身は反応する。

若さとは罪だ。そんなしょうもないことを薄らと思いながらも竜少女を貪りながら――。


「も、もぅだめだ」

力ない言葉を残して絶命しかける。

「ふむ、不便じゃな、人の身体も」

「じゃあ戻ればいいんじゃないんですか」

「ばかもの、竜からこの身体に変えるのにどれだけのエネルギーを消費すると思っているのじゃ。いくら神の遣いとて限度がある」

「あの、一瞬口癖の、じゃ、がでましたよ」

「聞き違えじゃ。我は、じゃ、などと老いた言葉はつかぬ」

ま、まあそれは触れないようにしよう。見た目は可愛いしエロいし。

「我の衣服はどうするか」

「子供向けの少女服屋でオーダーメイドですかね」

メルのたっぷり揺れた二つの丘を見て思う。幼女はこんなに豊乳ではない。

――無事なのか。

――わわっ、大丈夫です。無事仲間になってくれそうです。

リリスからテレパシーがきた。最近使ってなかったから忘れていた。

ーーふむ、じゃあそっちに戻るぞ

ーーわわ、はい。


「人間なのに便利なものをもってるのう」

「聞こえてたんですか、急いで服着てください」

「しかし、我の服は」

「じゃあもう、幼児用の服でお願いします」

「しかし、我はそれが何かわからぬ。お主の頭の中でイメージしてくれれば、それと全く同じものをきる」

「わーかりました、こんなんでどうです!」

「ふむ、わかった」

咄嗟に、前の世界の服を頭に思い浮かべ、そして自分も服を着る。

そのすぐ後にリリス達は来た。

「どうし、た。竜はどこにいった?」

「ああ、あのドラゴンさんは、この少女です」

「少女、というよりは幼女のようにみえるが」

「我は神の遣い。よろしく頼む」

「ところで、どうして奇天烈な格好なんだ。そして何か背負ってるが」

「あーこれは竜古来の防具らしいです。ランドセルといって、どんな魔法でも跳ね返します」

「ほう、だから反り返ってるのだな、しかしなぜ、下着が丸見えなのか」

わわ、しまった。急いでいたからスカートを想像しそびれたーっ。断じて僕の趣味じゃないぞ!断じて! って僕は誰に弁解してるんだ。

「我は強い。そして人間界の最強の姿を教えてもらった結果じゃ」

上半身は幼稚園の制服で下半身は、パンツ姿の少女は言う。

「……ユウはこういうのが好きなのか」

リリスは驚いた顔、ヒカリは憐んだ顔で僕を見てくる。

「ユウさんてロリコンなんですね」

「いやいや、違う。僕はロリコンでもない。この雌竜が強い姿は幼女だろっていいだしたんだよっ」

あれ、本当の事なのに、なぜか言い訳がましくなってきたぞ。

「わかった、そう言う事にしておこう」

「本当なんですってば」

僕が学園の一部でロリ魔法少女コンプレックスと囁かれるのはそう遅くなかった。


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