第13話 会長の秘めごと

僕とアーシアは学園へ急いで戻った。

アーシアが驚愕する。

「これはどういうことなの?」

戻ると学園も生徒もボロボロだった。

学園は焼け、生徒らは、服がボロボロになって下着やら肌が露だった。

「もしかしたら、五大魔女のしわざか?」

「で、でも、なんで学校がこんなことになってるのに、皆落ち着いてるの?」

「……たしかに」

生徒らは、色々丸見えの状態で談笑を楽しんでいる。

ーーそれが不幸中の幸いというべきか。

リリス会長がテレパシーしてきた。

「会長、どこにいるんですか」

その瞬間、赫い鎖が露出して、会長が現れた。

「羞恥心がないからな、パニックにはならないんだ」

「でもこれだけ、ものが破壊されているのに?」

「ああ、それは今年のイベントのせいだ」

「え? どういうことですか」

「今年は、花火を盛大にやりすぎたということだ。

もちろん、水の魔女がすぐ鎮火したよ」

「……じゃ会長、大変ってなんのことですか」

「こんな面白いことが起きてるんだ、大変だろう。

君にも見てもらいたかったんだが、遅かったようだ。お帰りになられてしまったよ」

「……なんだ、心配損ですか」

僕はがっくりと肩をおとす。じゃあなんで急かされたのだろう。

「だが探しても君がいないのだから心配するのは当たり前だろう」

「ふふふ、ユウさんは愛されてますね」

アーシアも会長の前では通常営業か。

「アーシア、これは愛じゃな……」

会長が笑顔でテレパシー。

「うわっ」

思わず声を出してしまう。

ーーアーシア君と二人で何をしてたのかな。

怖い、怖いです、会長。悪寒がががが。

「ユウ書記は体調がすぐれないようだ。保健室まで連れていこう」

「は、はい。ユウさんをお願いします」

アーシア!そこは引き止めて!

「いや、うちの書記がお世話になったよ」

会長スマイルを崩さないけど裏では怒ってる気がする。ぼ、ぼくはこれからどうなるんだろう。

「修復する魔法はかけないんですか」

「それはあとででいい。しかし、現実を見せつけられたな。これだけ恥じらいを感じない人が多いというのは」

「羞恥心を植え付ける魔法を片っ端からかけていくのはどうなんですか」

「アーシアの件があるだろう。暴走されて学園内ではなくこの世界に混乱が起きてしまってはどうしようもない。世界を救うはずの魔法が混乱を招く魔法になっては、な」

「どうしようもないのか」

「そんなこともない。五大魔女から重要な情報を手に入れている。」

そんな話をしている間に保健室についた。

中に入ると、人は誰もおらず、カーテンを通した薄らとした光が差しこんだベッドに座る。

「それでなんで保健室なんですか」

「生徒会室では誰が聞いてるかわからんからな」

「……スパイ、ですか?」

「……それだけではないよ」

僕は、リリス会長に押し倒された。

その反動でベッドの音がギシッと鳴る。

「え、ちょ。リリス会長」

会長は何も言わず覆いかぶさるように僕の頭の近くに両手をついた。

「わからない?」

その声は普段の会長とは思えない悩ましげな声に聞こえた。

「いや、その、また……この前の続きでしょうか」

そうやっていうと会長は一瞬残念そうな顔をしたけど、それを隠すように

僕にキスをする。気持ちが良くて目を閉じて、舌に全集中してしまう。触れるだけのソフトキス、だけど会長の唇は柔らかくて甘い。

「こんなこと、誰かに見つかったらまずいな、ユウ」

「……だったらしなきゃいいじゃないですか」

「もう、こういう時につれないぞ。しなきゃいいじゃないですか、じゃなくて

恥ずかしいです、だろ」

「そりゃ、は……ずかしいですけど、別に、喜んでなんか……」

「ふふ、そうかな。身体は正直、みたいだな、くっ」

会長の手が僕の胸のあたりをなぞり、ズボン越しに

さ……わってこない。

「リリス……会長っ」

この焦らしはやばい。さっきから頭がクラクラするのに、会長に触れられるだけで

「だったら……私……をリリス、と呼べ」

「か、いちょう。意地悪ですよ」

「い、いいから。はやく」

頭が快感でおかしくなりそうだけど、会長は悦んでるのかな。

「リリ、ス」

「もっと呼んで……」

「リリス」

と2度目の名前を呼んだところで、リリス会長は、ぽふっとベッドにゆっくり倒れたらしい。

「リリス、かいちょう!大丈夫ですか」

僕は起き上がり、リリス会長の顔が紅潮してるのに気づいた。

「会長! 大丈夫ですか」

「だ、大丈夫……。ただ、嬉しいのと、気持ちいいのが一緒なだけ……だよ」

会長は、はぁはぁと艶かしい呼吸をしてる。それに口調が変わった?

その表情を見ていきなり胸がうたれた。

こんな感情、初めてだった。前世でもなったことがない。なにかの歯止めがなくなった。

「本当にリリスと呼んでいいんですね」

「呼んで、いっぱい」

リリスは苦しそうにも上目遣いで見てくる。

可愛いくてエッチで愛おしく可愛くて、僕は何いってるかわからないけど、とにかくリリスは可愛い。

今までは、その大きな胸でさえ、鎧みたいだったのに、今はリリスを飾ってる一要素に見える。

「リリス……」

「ユウ、触ってほしい。私のことを」

潤ませたリリスの目が僕の顔をうつす。

その目はもう会長の目じゃなくて、僕を求めるリリスだった。

さようなら、おっぱい童貞。

僕はそんなことを心で呟きながら、リリスの胸に手を置いた。

「はぅっ」

リリスの身体が小刻みに震える。

服の上からでも、胸の柔らかさが伝わってくる。

あまりにも触り心地がよくて手が止まらない。

しかも、あのリリスが僕にだけこんな可愛い姿を見せてるからなおさら止まらない。

もにゅもにゅと、感触を味わうたびに、リリスは震える、それがたまらない。そんな同じ考えを何度も何度も駆け巡ってしまう。今僕は凄いバカになってる。リリスのことしか考えられない。

「ユウ、抱いて、抱いてほしい」

リリスの優しくねだってくるのが愛らしい。

「はい」

僕は会長が寝転がった状態で抱きしめる。

けど、この体制は少ししんどい。

「私に、寄りかかっていいんだよ、ユウはこんなときでも優しいね」

「リリスが可愛いから仕方ないです」

「あーまた敬語になってる。敬語禁止、だぞ」

リリスは僕の胸を軽く小突いてくる。

それに返すように改めてリリスを抱きしめる。意外と身体は華奢で、だけど、甘くていい匂いが、より一層抱きしめさせる力を強める。それに、さっきから胸がキュンキュンして止まらない。こんな幸せがこの世にあるんだと噛み締める。

「保健室でこんなことしてていいのかな」

「バレたら私も君も生徒会から追放だね」

「あの……先ほどから聞きたかったんですけど、その口調は?」

「私が使っちゃまずいのか、なら戻すが」

リリスは切なそうな顔で口調を戻そうとする。

「そんな慌てて戻そうとしなくても大丈夫ですよ。可愛いですから」

満面な笑顔でリリスに微笑んだ。

僕はいきなりほっぺたをつねられる。

「いたたたた、なんでリリ……」

僕の唇にリリスの手が添えられる。

「興ざめした。ユウはまだ名前呼び禁止」

「ええーっ、どういうことですか」

「とにかく禁止だ!」

なぜか物凄い剣幕だったので頷くしかなかった。

「私はまた図書館で調べ物をするから、ユウは後片付けをやっておけ。

まだまだ時間がかかるからな」


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