第11話 魔女召喚祭2

翌日、会長が開会の儀式を始める。

「今日は堅苦しいことは抜きで楽しんでほしい。

五大召喚祭とは、偉大な魔法使い達を敬い、また、この魔法世界を守る為の儀式だ。五大魔女とは、恋紅のヴィヴィ、冷青のマリン、鮮黒のクローシス、緑星のスクルト、そして原始のアルマがいる。

個々の魔法については魔法教科書でも読んでくれ。

それでは儀式を始める」

会長の顔が少し堅くなった気がする。

会長は、魔法陣の中に入り、なにやら唱え始める。

彼女のバレッタが赤く光り、紫の光が彼女を包み込み、魔法陣から煙が吹き出し、人影が見えた。

色とりどり、鮮やかな魔女達が魔法陣に現れた。

一見、美しく見える彼女達に、湧き上がる一年生達。ま、一見美人だから湧くのも無理はない。

だけど、去年僕は散々いじられたからなあ。

あの人達を見ると、寒気がする。

でも今年は僕の代わりに一年生がいじられるのだろう、合掌。

「お久しぶりです」

会長は、魔女達を迎えいれる。

「久しぶり、やっぱりあなたが会長になったのね」

冷青のマリンは言った。ちなみに、通称は服のカラーだからわかりやすい。

「ふふ、会長もいい女になったわね」

これはヴィヴィ。

「なあ、去年のあの少年はいないのか」

耽美な色気を漂わせ、顔をにやけさせるクローシス。

「ユウ=ニコルなら書記にしました」

会長余計な事は言わないでくれ。

「ほう、どこにいるんだ?」

「あまり後輩をからかっちゃだめですよ」

「いいじゃないかマリン。お前だってまんざらじゃないだろ」

「さて、どうでしょう」

「本当に冷青(静)だな」

ああ、マリンさん……唯一の良心なお姉さま……ですが、ここからは早く退散したほうがよさそうです。去年の揉みくちゃは思春期の男子には天国のような地獄です。

あんなにもお姉さん方はお乳を揺らしているので目にも毒です、血涙がでます。

……んじゃそんなわけで、僕はアーシアとの約束があるので。

「あ、ユウならあそこにいますよ」

リリス会長は、僕のいる方向に指をびしっとたてる。

あーお約束ですね、わかります、分かりたくないけど。

会長には拘束魔法のせいでモロバレだからね。仕方ないねー。

「ユウくん、魔女のおねーさんが可愛がってあげるよ」

そんなクローシスの声が聞こえたけど、僕は脱兎のごとくその場から離れた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る