第2章 創部と部員集め

第6話 早川あおい登場

翌日


虹太郎が登校すると、校門に見知った顔を見つけた


虹太郎「おはよう、矢部君」


矢部「あっ、七橋君。おはようでやんす」


虹太郎「部員の勧誘かな?」


『野球部員募集』の文字を見ながら尋ねる


矢部「そうでやんす。プリントは持っていってくれるでやんすが、反応は微妙でやんすねぇ」


あからさまに肩を落とす矢部


何部のプリントがあったのかはわからないが、朝早くから募集をしていたようだ


虹太郎「手伝いくらいなら出来るかもしれないから、困ったら言ってよ。1人じゃ限界あるでしょ?」


矢部「オイラ1人じゃないでやんす。もう1人いるでやんすよ」


虹太郎「そうなの?」


矢部「同じ中学の投手がいるでやんす。あっ、噂をすれば来たでやんすよ」


そう言われて振り返ると


???「矢部くん、調子はどう?」


昨日のグラウンドで見た女の子がいた


緑色のおさげの彼女である


矢部「あおいちゃん、半分くらいは配れたでやんすよ」


あおい「お疲れ様。…えっと、この人は?」


矢部「クラスメートの七橋君でやんす。七橋君、この子は早川あおいちゃんでやんす」


虹太郎「よろしく。A組の七橋です」


あおい「C組の早川あおいです。七橋君は野球に興味ない?」


目を輝かせながらそう尋ねるあおい


初対面相手に距離が近い


虹太郎「うーん、ゴメン。手伝い程度なら出来るかもしれないけど、部活は遠慮させてもらうよ」


あおい「そっか…でも、楽しいから良かったら見学しに来てね。じゃあ矢部君、今日はこの辺にしておこうか」


矢部「了解でやんす」


2人はプリントをまとめ校舎に向かっていく


その後ろ姿を虹太郎はしばらく目で追っていた


虹太郎「(楽しい、か…充分わかってるよ。楽しさも…辛さも)」

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