第4話 メガネのアイツ

担任の挨拶とクラスメイトの自己紹介か終わると、今後の授業についてや諸注意があり、この日は終了となった


担任の名前は芝浦健太(しばうら けんた)


日本史担当で年齢は28歳と虹太郎達と年齢は近かった


啓一「さて…虹太郎、この後はどうするんだ?」


荷物をまとめる虹太郎に啓一が呼び掛ける


虹太郎「図書室に寄ってくよ。この学園の蔵書は凄いって聞いてるし」


啓一「そうか。じゃあ…」


「七橋君、潮見君、ちょっといいでやんすか?」


不意に呼ばれた方向を向くと、そこには瓶底メガネをかけた男子生徒がいた


虹太郎「君は…矢部君だよね?」


矢部「そうでやんす。オイラ、矢部明雄(やべ あきお)でやんす。2人共、今時間は大丈夫でやんすか?」


啓一「どうしたんだ?」


矢部「実はオイラ、部活を作りたいんでやんす。峰応学園は申請すれば部活を設立出来るでやんすからね」


虹太郎「申請には部員が5人必要なんだっけ?」


矢部「その通りでやんす」


啓一「何の部活なんだ?模型同好会とかか?」


啓一が矢部のカバンに目を向けるとわずかな隙間からロボットのプラモデルが顔を出していた


この男、初日から何を持ってきているのだろうか


矢部「模型は趣味でやんす。オイラが作りたいのはコレでやんす」


矢部は2人の前に紙を差し出した


『同好会設立用紙』と書かれた紙には大きな文字で



野 球 部



と記入されていた


虹太郎「……」


矢部「中学でも野球をやっていたでやんすが、せっかくだから高校でも続けようと思ったでやんす。よかったら2人も…」


虹太郎「ごめん、矢部君。俺はパスするよ」


啓一(虹太郎…)


矢部「そうでやんすか。潮見君はどうでやんすか?」


啓一「え?ああ、じゃあ少し考えてみるわ」


矢部「ありがとうでやんす。じゃあこれから…」


啓一と矢部のやり取りを背に、虹太郎は図書室へと向かった


虹太郎「野球、か…」


呟いた言葉は放課後の喧騒に溶け込むように消えたのだった

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