第2話 出発

階段を降りてリビングに行くと母の紫(ゆかり)が洗い物をしていた


紫「あら、準備出来たの?」


虹太郎「ああ、もう出るよ」


紫「虹太郎も高校生か。早いものね」


虹太郎「また言ってるよ。来年も茜に同じこと言うんでしょ?」


紫「あら、当たり前でしょ。それが親ってものよ」


虹太郎「まあ、いろいろあったからね。気持ちはわかるけど」


紫「お互いにね。虹太郎も大変だったのに」


虹太郎「まあね。父さんは…ってまだ寝てるか」


紫「昨日遅かったからね。GWまでは夜勤が続くって」


虹太郎「じゃあしばらくはすれ違いかな。夕飯で会うかもだけど」


茜「お兄ちゃん、行くよ〜?」


玄関の先から茜の声が聞こえる


虹太郎「今行くよ。じゃあ行ってきます」


紫「あ、虹太郎」


不意に息子を呼び止める紫


虹太郎「ん?何?」


紫「その…本当に良かったの?」


虹太郎「良かったって?」


紫「……ううん、何でもない。いってらっしゃい」


虹太郎「…?ま、いいや。じゃあね」


意味深な空気を残して虹太郎は茜と家を出て行った

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