08 マンハント&盗人

『おい。まずいことになった』


 通信。そのわりには、切迫していない間延びした声。


「どうした?」


『担当者が消えた。たぶんヒューマンドローンのところへ』


「ほう。上手いな。上手い策だ」


 指揮系統の委任を行わずにいなくなれば、各省庁間の連絡意思疏通カウンターパートはぼろぼろになる。まず間違いなく動けないだろう。


『省庁組織を捨ててヒューマンドローンを取ったな。非常事態だ』


「そのわりに、安心したような声だな」


『安全なところに金があるからな。そっちに会いには行けないが、とりあえず安全は保障された』


「そうか」


 連絡が来た。


 そろそろ、頃合いだろう。


「わかった。じゃあ、今から会いに行くぞ」


『いや、だめだ。いま俺は誰とも会えない』


「抜かせ。俺を騙せると思ったのか」


 扉を開けた。




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