02 マンハント&盗人

『盗んだぞっ』


「よし。よくやった」


 ばかなことをかんがえたものだ。


 国家予算をそのまま二度記帳コピーして、裏金としてプールするなんて。


 だが、アナログな国家体制では、これが最も手軽で簡単な手法でもある。


『これでこの国の一年分の予算は貰ったな』


「国そのものがお前を追ってくるぞ」


『奪われても遜色ない金だろう?』


「そうはいかないんだな、これが」


 国と役所組織というのは、おそろしい仕組みをしている。


 二倍の金が作れると思ったら、それを前提に二倍の予算を組んでしまう。


「金を俺に引き渡してくれ。俺が逃げる」


『木を隠すのは森で、このまま置いとくんじゃなかったのか?』


「いや。ちょっとな」


 人工知能から、気になる連絡が来ていた。


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