第11話 そして母になる2

ルナール 視点


私は赤子をテーブルの上に仰向けで寝かした。

赤子は手足をジタバタ動かしている。可愛い

しかし、紙に近づかない。仰向けは失敗だったかな?


ビタン!?


音の先を見ると...アホ毛が当たっていた。

うん、知ってた。


「なになに、この子の名前は....キラティアに決定かの?」


キラティアちゃんか、いい名前だなぁ。これにしよう。

リアを見ると頷いた。

おっと、赤子のアホ毛がビタンビタンして暴れている。回収回収。


「よしよし、貴女の名前はキラティアですよ。」


トントン!


背中を軽く叩くと、もうすぐ寝そうだった。


「では、顔見せじゃ。」


「え?」


訳が分からず私達は父に手を引かれ神様の宴会会場に連れて来られた。


「皆の者、この子が儂の初孫の女の子、キラティアちゃんじゃ。よろしく頼むぞ。」


私は掲げるように言われキラティアを掲げた。


わー!!


周りから大喝采を浴びた。

恥ずかしいよ。

私の顔は真っ赤だろう。


ビクン!?


あっ!?起きた。


「オ、オギャーオギャー!?」


ピカー!?


なんか、キラティアが光出して神力を放出し始めた。

それに何故かアホ毛を含む毛がリアと同じ青に変わってる。

ドウシテコウナッタ!!


私とリアはあまりの展開に放心していた。


しかし周りはというと、

「なんと神々しい。」

「髪がルナールちゃんの金髪からカグリアちゃんの青髪に変わったわ。やっぱり親子なのね。」

「なんと心地いい神力なのだ。大事にしないとなぁ」


何故かこの現象を受け入れていた。


もういいかな?

私はキラティアを下ろし、あやし始めた。

よしよし…

すぐにキラティアは泣き止み、光と放出は収まり、アホ毛も私と同じ金髪に戻った。


「顔見せも終わりじゃ、部屋に戻るぞ。」


というわけで、用意された部屋に戻って来ました。

もっと見せろという、声も上がったがあまり大衆に見せたくなかったので引っ込んだ。

現在部屋にいるのは、父と母、上の兄とリアと私とキラティアだけ、リアの両親は後日会いに来ることになった。

中位神のリアの義父が最高神の父と一緒にいるのは辛いでしょう。

私達も辞退したいよ。


もうね。お家に帰りたい。泣


アルテミアさんから念のため3日は様子を見るためにいるように言われたので帰れません。


「なんでこの子の顔見せを行ったのですか?」


父に尋ねた。この子が創造神の孫だと知られれば縁を結ぼうと面倒な人たちが来るに決まっている。


「顔見せは神々に認知させ守らせるためじゃ。

この子が成長して顔見せでは排除しようとする者も現れるかもしれん。その保険じゃたが…なんか虜にしてしまったようじゃ。あれは予想外じゃた。」


「どういうことですか?」


「あそこにいた神々が全員がキラティアちゃんを守ると言い始めたのじゃ。」


「え!?」


神々の守るとは文字通り、キラティアが助けを求めたら神々が次々と助けに来るということ。

簡単にいうとお助けアイテムである。

産まれたばかりの赤子ですよ。何考えてるのですか。

私は呆れた。


「神々がキラティアちゃんに害を与える事はないが、問題は魔導族と知識族じゃな。」


「そうですよ。知識族に狙われたら何されるか。」


「ルナ、落ち着きなさい。」


母に言われ落ち着くことにした。ふぅ


「魔導族は求婚はあるだろうがそこは儂らで守るから安心せい。それにあの者達は無理と分かるとそれ以上は踏み込んでは来ないのう。」


「ええ、魔導族と神族は信頼が厚いですからね。そこは心配してません。それに叔父様の血族もいますし。」


「そうじゃのう、それに比べて知識族は全てではないが欲の塊が多いのじゃ。儂は何度も滅ぼそうと考えたが周りに止められてのう。」


父の言う事もわかる。知識族として独立して1000年、彼らは様々な問題を起こしていた。

神々に上から目線の願いの要求。報酬未払い。過剰な魔力消費。禁術の使用とその代償など限度を超えた問題を何度も犯している。

しかし、神の中には彼らを擁護する神も多い。

それは準神族の中に元知識族の神がいるからだ。

流石に準神族に反発されては困るので処罰保留という形で問題を先送りにして来た。


「知識族派は動くじゃろう。」


確かに動くと思うけどさ、父....今いる知識族派って2人だけなんだけど?しかも片方は下級神だよ。

知識族の神格化はほとんどなく、たまたま先祖が魔導族で先祖返りにより神格化したらしい。


前はもっといたけどほとんどが知識族の裏切りで消滅している。我々神族が手を下さなくても自滅しているのだ。

今残っているのは一人はお金の神で、もう一人が知識の神だ。


知識族が大きな問題を起こす度に2人が矢面になって止める。一見体を張って守っているように見えるがそれ以外の事はしない。問題を先送りするだけで解決はしないのだ。

その為、2人は知識族からは信頼されているが、神々からはあまり好まれない。


「ではどうしますか?」


「キラティアちゃんに手を出せば処分する。それだけじゃ。」


父の表情から本気だとわかる。

私は2人に動くなと願うばかりだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それから3日間、父達がうざいと思うくらい来たが問題なく帰る許可が出た。

父達に帰ることを伝えると引くほど泣かれた。


リアと転移で家に帰ると大量の箱が重ねてあり、開けると父特製のベビー用品が入っていた。能力使ったのか父よ…


リアと慌てて部屋の模様替えして落ち着くのに2時間かかった。

前もって言ってよ。


最後に服の整理を終えるとキラティアに乳をあげないといけないと思い寝かせたベッドに向かうと、リアが乳をあげていた。


....


リアが乳をあげていた…


「リア、母乳出たの?」


「うん、今出た。」


「え?どゆこと?」


「ルナが産んでから違和感があって、さっきティーがグスッてたから試しにあげてみたら出ちゃった。笑」


出ちゃった。ってまぁ今更か、負担も分担できるしいいか。

ティーとはキラティアの愛称だ。普通ならキラかティアだろうがリアがなんとなく使い始めたらティーにだけ反応を示したのだ。

それから私や家族が使い始め定着してしまった。


「まぁ今更だから気にしないけど、今度から授乳は変わりばんこね?」


「もちろん、あたしもティーのママだもん。頑張るよ。」


リアは可愛いなぁ。夜にこの子が寝たら味見させてもらおうかしら?こっちもされてるしいいよね。おあいこだよ。


パハァー!


ティーが授乳を終えたようだ。


「リア、腰をトントン軽く叩いてゲップさせて!」


「了解」


トントン!


トントン!


ゲップ


「はい、よく出来ました。(ナデナデ

リア、授乳したら必ずゲップさせてね。

呼吸が詰まる事があるみたいだから」


「わかった。気をつけるよ。」

ナデナデ…


ティーを撫でたあとにリアも撫でた。うん、可愛い!

もうティーは寝そうだからベッドに寝かせて夕食作らないとね。


こんな余裕で対応できるのは3日間、母や母神の方々からスパルタ教育を受けたからです。辛かったぁ…

そうそう、ティーは感情が高まるとリアと同じ青髪になるみたい、あと光るのは収まったから気にしなくなった。

リアはあたしの子の証だ!と喜んでいた。


「リア、私は夕食の準備するからティーちゃんを寝かしてね。」


「わかった。ティー、寝んねだよ。」


うん、すっかり子煩悩ママだ。


コンコン!

窓を叩く音が聞こえ見ると、

窓際に黒い封筒が置いてあった。

危険がないか調べたけど問題ないようだ。

封筒を開けると手紙が入っていた。


親愛なる姪 ルナールへ


結婚と出産おめでとう。

叔父より


手紙を封筒に戻し読みかけの本に挟み元の場所に戻した。


私は幸せを噛み締めながら台所に向かった。




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