第18話 冒険者ギルド再び

 

 冒険者ギルドによる前にアヌビス商会でツヴァイの服とかを買った。

 臨時収入が入ったから懐が熱い。

 伯爵から奪った物の中には、金貨がそのまま入った金庫もあったので、懐がウハウハだ。


 買いたい物を好きなだけ買えるなんて、こんな贅沢は前世では出来なかったな。


 食べ物の屋台を通るときにアインスが食べたそうな目をしていたが、今日はおあずけをした。

 金があるが甘やかすのは良くないメリハリが大事なのだ。


 何でも買ってくれると思われるは主人としては良くない。




 そんなことを考えてる間にギルドに到着した。

 こんなところに二度と来たくなかったが、アインスによれば各ダンジョンは近くの街の冒険者ギルドが管理してる。


 もし無許可で入った場合は罰金などの罪が課せられたりする。

 守る気はないけど。

 とりあえず筋を通せるとこは通しておこう。


 ギルドに入るなり、昨日と同じように中の人数はあまり多くない。

 もう仕事に出かけたのだろう。


 異世界にも社畜はいるんだな。


 受付にはこの前と同じ女性職員がいた。

 俺を見つけるなり、ビクッと反応を見せた。


「この街の近くダンジョンに入りたいんだ、許可証をくれ」


「はい……わかりました。ですが、あの……ギルド長があなたが来られたら部屋に呼ぶように言われてまして……」


「はぁー、分かった、すぐに案内してくれ」


 俺はアインス達に待つように言って女性職員について行くと前と同じのギルド長室に案内された。



「悪いね、急に呼び出して」


「昨日も言ったが俺は冒険者ギルドに入る気はない、こっちはダンジョン許可証さえ貰ったらそのまま帰る予定なんだ。手短に頼む」


「分かった、まずは先日のギルド前での勝負の件だが、それについてはすまなかった。此方の不適切な対応があったことをお詫びする」


 ギルド長が頭を下げた。

 下の者にちゃんと頭を下げられるのは大したものだ。

 俺はこいつの評価を改めることにしようと思った。


「本来なら冒険者同士の勝負はギルドが取り締まり、死人が出ないように配慮するのだがな」


 なるほどな。

 でないと、あいつのように相手の報酬を無理矢理横取りするような奴が多く発生してしまうだろうからな。


「それでだが、あの冒険者は素行は悪いが、実力が確かでうちでは優秀な冒険者なのでな、それが今後依頼が出来ないとなると痛手でな……」


「そいつの代わりを俺がやれと言うことか?」


「端的に言えばそうなるな、どうかお願いできないだろうか?」


「最初に絡んできたのはあいつだ、その結果があれだ。それでギルドにどんな被害が出ようが俺には関係ない」


「……依頼料なら多少の上乗せをしてやれるが」


「金の問題じゃない、これは信頼性の問題だろ論点を履き違えるなよ」


「そうだな……すまなかった。今のはなかったことにしてくれ、欲しいのはダンジョンの許可証だったな」


 ギルド長は立ち上がり、机の引き出しから金色の星型のメダリオを取り出した。


「それなら受付でこれを見せて、料金を払えば許可証を貰える。冒険者ギルドに所属していれば無料になるが……君には無駄な話だったな」


「もう用がないなら俺は行くぞ」


 俺はメダリオを奪うように受け取り立ち上がった。



「待ってくれ!昨日ここの領主が暗殺されたと噂が流れているが、これは本当のことなんだ。その犯人は『死神』らしいんだが何か知らないか?」


「知らない」


 俺はそう答えて部屋を出た。


 この後どこかの冒険者が俺の奴隷に絡んでいたら、本当にここに来るのを最後にしよう。

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