第12話 無責任
宿で戻った後、アインスの分の食事代料金を払った。
食事はつくねの様な鳥と肉を使ったスープとサラダだった。
海が近くにないのが原因なのか、屋台を見て回ったが魚が少なかった。
酒を勧められたが断った。
成人しているが、お酒を飲みすぎると夜伽に影響すると聞くしな。
水浴び用の道具を受付で頼むと後で部屋に持って来てくれるとのことだ。
部屋に戻り椅子に腰掛けると、アインスは入り口辺りで立ってそれ以上入ってこようとしなかった。
門番でもしてるつもりなのか?
野営の時もそうだったが、見張りをする際に朝まで1人ですると言っていた。
次の日の戦闘にも影響するので交代制にした。
アインスに話があるから近くに来いと言うと、颯爽と近づき跪く。
相変わらず忠誠心の高いやつだ。
「これからのことだが、冒険者ギルドである程度稼いでからこの街を出ようと思ったが、あんなことがあった以上すぐに街を出ることも考慮しないといけない」
「申し訳ありません。私のせいで……」
「アインスのせいじゃないだろ、この街で俺たちの目的は金を稼ぐことと野営や戦闘に必要な道具を揃えることだ。永住が目的じゃないんだから多少問題を起こしても構わない」
国を滅ぼせばそんな小さなこと気にしてなんかいられなくなるしな。
アインスは寛容な対応に感謝しますと、深く頭を下げた。
「ところでご主人様は新しく奴隷を購入されるのですか?」
「あぁ、そのつもりだ。料理とか身の回りの世話をしてくれる奴が欲しいしな」
「あの!……私は料理はできませんが、ご主人様がお望みであれば……夜伽の相手もします。私の体は女性としての魅力はないのかもしれませんが、精一杯ご奉仕をさせて頂きたいです」
なんだか必死な感じがする。
目も涙を流しそうだ。
もしかしてだが……
「あの奴隷を買ってもお前を捨てたりはしないぞ。言ったはずだ、俺は一度手に入れたものを簡単に捨てたりなんかしないってな」
アインスは安堵し、感謝の言葉に口にした。
「だが、お前がそれ望むなら……受けいれてもらおうか」
アインスが顔を赤くし、緊張したように固くなる。
そこにドアがノックされる音がした。
水を持って来ましたー、と受付の女性の声がした。
アインスが立ち上がり、タライのように大きい桶とタオルを受け取った。
顔が赤いままだったが、こういうところは今まで通りだ。
桶を床に置くと俺は服を脱ぎ、アインスに身体を拭くように頼んだ。
アインスは戸惑いながらもタオルを動かしてゆく。
何日かぶりに味わう水が気持ちいい。
背中から腕が終わると正面の胸と足を洗っていく。
たまに目が合うが恥ずかしくなり、お互いに目をそらす。
股関の辺りを洗おうとするがアインスの手を止めた。
そこは流石に自分で洗った。
その間アインスは背中を向けていた。
俺が荒い終わると次はアインスに服を脱ぐように促す。
アインス恥ずかしがりながりも服を一枚一枚脱いでいく。
廃墟でも見たが、アインスの体は綺麗だ。
胸が無いのが本当に残念だ。
体全体を見ても耳と尻尾以外に毛皮は見つからなかった。
引き締まった体から伸びる細い手や脚など、どれもスレンダーで綺麗だ。
「ご主人様……あまり見られると、その……」
「あぁ、じゃあ背中を向けてくれ」
「いえ、そんな!自分で出来ますから、ご主人様のお手を煩わせるなんて…」
「俺にやらせてくれ、命令だ」
アインスは両手で胸を隠しながら背中を向けた。
俺はタオルに水を浸し絞ると、アインスの背中を洗っていく。
アインスはビクッと可愛い反応を見せる。
普段凛々しい感じな女の子がこんな反応をするとゾクゾクしてもっとイジメてやりたい衝動にかられる。
背中と腕が洗い終わると俺の時と同じように正面を向くように言う。
アインスは首を横に振り、拒否するが命令して向かせた。
対面するとアインスは胸と股の間を隠したままだったのでどかせた。
胸の突起は赤く染まってここにあるというのを主張しているようだ。
脚の間からはテカテカと水が流れた後のように光っていた。
まだそこは水洗いをしていないのにな。
それよりもその上にある白い草原に目を惹かれた。
廃墟の時は確認しなかったが、今は一本一本がテカテカと光を反射していた。
俺は丁寧にアインスの胸を洗っていく。
突起の部分はより慎重に洗う。
下半身も順番に洗っていく。
洗い終わると、アインスを抱きかかえてベッドに移動する。
アインスも受け入れてくれて、お互いを求め合った。
アインスは初めてだったが、途中からノッてきて自分から動くようになっていた。
気付いたら朝になっていたのでそこから2人で寄り添うように寝た。
起きるとすでに太陽が昇りきっていて、昼になっていることが分かる。
隣に目をやると、アインスの姿がない。
「おはようございます。ご主人様」
アインスはもう防具を整えていて、いつでも出かける準備が出来ている状態になっている。
「おはよう。体は大丈夫か?」
「……はい。まだご主人様が中にいるような感覚がありますが動くには問題ありません」
昨夜はやりすぎたと思ったが、大丈夫のようだ。
今日は防具などの道具を揃えた後、狩に出るつもりだ。
盗賊からもらった防具があるが、どれも汚れていて、更にこの街に来るまでの闘いでも傷んでしまっているので新調したいと思っている。
だが、あまり贅沢はできない。
新しい奴隷に金貨5枚使うと、ほとんど残らない。
まずは奴隷を買いに行こう。
残った金で防具を買えばいい。
後は野となれ山となれだ。
俺たちは奴隷商会に歩いて行く。
若干だが、アインスが誇らしげに歩いているようだった。
奴隷商会に着いたが、奴隷商が俺を見るなり慌てたように頭を下げてきた。
「昨日話した奴隷を買いに来た。手続きを頼む」
俺は奴隷商が何か言う前に用件を伝えたが、奴隷商は頭を下げたままだった。
「大変申し訳ないのですが、あの奴隷はあの後すぐに売れてしまいました」
一瞬目の前の男が何を言っているか分からなかった。
「どういうことだ、俺はちゃんと金を払いキープしてもらえるんだよな」
「えぇ、ですがその……」
奴隷商は中に入るように促す。
小声で話し始めた。
「本当は買った方の情報を与えることは厳禁なのですが、今回は特別に教えても良いことを本人から許可を得ています」
「この伯爵領の主である、スリュート伯爵様が購入されていきました。元々スリュート伯爵様が売りに出されたのですが、一度奴隷に落とし買い戻して忠誠心を植え付けようとしたようです」
伯爵様からの迷惑料ですと、金貨10枚を渡されたが、それで納得出来るはずがなかった。
俺の中で契約違反である奴隷商を恨む気持ちもあるが、金で全て解決しようするスリュート伯爵が許せなかった。
ブラック企業の上司を思い出される。
わざと奴隷に落として買い戻して忠誠心を植え付けるなど悪どい洗脳のように人の心を操ろうなど気持ちが悪かった。
奴隷商はキープ金と迷惑料として金貨3枚を渡された。
それと何か言っていたが無視して商会から出た。
適当にそこら辺にいる屋台の店主に伯爵の屋敷を聞くと南区あると聞きそこへ急ぐ。
「ご主人様、いきなり敵地に乗り込むのは……」
「分かってる。どんな場所か様子を見に行くだけだ」
俺は早足で屋敷へ向かっている間に考える。
お金の力で物事を解決することは決して悪いことではない。
だが、約束をした本人の許可も得ずに物事を進められたことが許せない。
例え金を渡されたとしてもあの奴隷を渡す気など一切なかったが、それを無理矢理奪われたとなれば怒りが湧いてくる。
どんなことをしても取り戻す。
どれだけの敵をつくろうともだ。
それは屋敷と呼ぶにも間違いと思う程のデカイ家だった。
2m以上はある塀に囲まれていて全体がよく見えないが
そこから見えるだけでも屋敷の広さを思い知らされる。
今すぐにでも伯爵を殺してやらたいと思うが、無謀な飛び込みをする気はない。
怪しまれないように屋敷を早めに離れる。
これ以上いて変に警戒されない為だ。
今夜にでも伯爵を殺してやる。
俺のものに手を出したことを後悔させてやる。
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