第8話 この世界について


「今度は俺のことについて話そう」


「はい、ご主人様の御言葉は一言一句聞き逃しません」


「俺はとある東の島国から、ある目的があってこの国に来た。まだ全てを話すわけにはいかない、それは理解してくれ」


 こう言っておけば、後から目的が出来た時に不信がられないだろう。

 まだ目的は1つだけだし。


「はい、ご主人様に信用できる存在になるため精進いたします」


 一々言葉が重いように感じるが軽いよりは良いだろう。


「だが、目的の1つを話そう。それはオーストセレス王国を滅ぼすことだ」


「この国をですか⁈」


 それは驚くだろう。今まで自分が使えていた国を滅ぼすんだから。


「そのためにもアインスに協力してもらう。まずはじめにこの世界について教えてくれ」


 国を滅ぼすのにその国のことを知らないのは変な話だが、本当のことだから仕方ない。


 アインスは驚きつつも俺の質問に丁寧に答えてくれた。

 騎士団入りした日から武術と一緒に勉強もしていたとのこと。


 努力家なところがあるんだな。

 そんなアインスを退団させた国がより許せなくなってきた。


 アインスによると、ここはチュラント大陸という大陸で東西南北中央の5つの国に分かれてるとのこと。



 東:オーストセレス王国


 西:ヴェストニア法国


 南:ズュートラニカ国


 北:ノルトワット王国


 中央:ミッテミルガン共和国



 ステータスについても聞いてみた。


 ゲームのステータスのような能力数字はないが、レベルはあり、それで大体の力強さ、魔法の強さが決まる。


 しかし、この世界は生まれながらに人によって最大レベルが決まっている。

 上限はそのレベルに達しないと分からない。

 だが、それを知る方法もある。

 教会で特別な儀式を行えば自身とスキルのレベル上限が分かるようだ。



 この世界の人達のレベルについても聞いた。

 以下の通りだ。


 一般市民:1〜20

 騎士・魔法団:10〜40

 騎士•魔法団長:40〜60

 剣聖・賢者・槍聖:70以上

 勇者・魔王:100以上


 だいたいがこんな感じらしい。

 他にも冒険者だったり、学者だったり職業別にレベルがあるがアインスもすべてを把握しきれているわけではない。



 スキルや魔法にもレベルがある。

 レベル1からレベル10まで、

 魔法•スキルには昇格があり、レベル10まで行き経験値がMAXまでいくと上位スキルへ変換できる。昇格するとレベル1からスタートすることになり、経験値も数倍必要になってくる。


 レベルがないスキルもある。

 その場合は本人のレベルよって強さが決まる。

 人には持てるスキルと魔法にも上限がある。

 もちろんスキル・魔法レベルも上限がある。


 称号は生まれつき与えられるものと条件を満たして得るものがある。

 大体の人は称号がない。

 『奴隷』は身体のどこかに奴隷紋が刻まれれば、称号に『奴隷』が追加される。



 スキルの部類について


 昇格があるスキルは以下の通りに上がっていく。


 剣士→剣王→剣神


 剣士をレベル10にしてもすぐに剣王になれる訳ではなく、剣王に昇格できるのは数万人に1人、剣神になれるのは数億に1人の確率らしい。


 今まで剣神にまでなったのは、勇者と剣聖の2人だけだ。


 耐性スキルについてはスキルレベルに比例するようだ。


 つまり、レベル50の騎士団長を目指しても現実はレベル30で成長が止まってしまうことがある。


 だが俺は違う。

 無限にレベルが上がるのだから、勇者にも魔王になれるわけだ。


 『無能』最高だな!


「アインスには特別に俺のステータスを見せるが、昨日も言った通りに絶対に誰にも見せないでくれ」


「はい、この身にかけまして絶対に漏らしません」


 実際、命がけで守って欲しい情報だ。

 無限に上がるといっても、今はまだ35だ。

 俺の無能を知って、今の内に殺しておこうと考える奴がいるかもしれない。


 俺はアインスにステータスを見せた。


「さすがですご主人様!この歳ですでに30を超えているとは……ですが、この称号の無能とは何なのでしょう?」


 俺は無能の能力について説明した。


「ご主人様は神の使いか何かなのですか⁉︎」


 そう思ってしまうのも仕方ないだろう。


「違う、俺は人間だ。種族もそうなってるだろう」


 これは俺の感だが、転生や女神のことは黙っていた方が良いだろう。

 そのことを漏らして変なペナルティーを受けてもおもしろくないからな。


「私はご主人様の奴隷になれたことを女神に感謝します」


 アインスに聞くとこの世界では女神が信仰されているらしい。

 でなきゃ、女神が転生されてくれないか。


 一応後ろの跡形もない壊れた女神像(多分)に礼をしておこう。

 魔王でも命を救われれば、女神にお礼ぐらいはするだろう。

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