第6話

 せいの折。の村にまたひとり、遊び盛りの少年がやってきた。実家の農業をごうという母の車に、すっかりやる気にさせられた父共々まれたがゆえである。

 はたさくに入れ込む両親に、話の合わぬ祖父母。転校先のクラスメイトにしてもどこかみょうあいれぬとあっては、退たいくつするのもせんないことだ。

 ああ、こんなときにこそよく聞こえてしまうのだろう。

 まつばやもかくやのひょうに、おんにも似た耳心地のいいゆうわくが。

「――鬼さんこちら、手の鳴るほうへ」

 歩きれない通学路。

 となりまちでは見られないあぜ道の真ん中にて、少年は振り返る。

 その先に待ち受けるものが《目隠し鬼》の怪異であるとも知らずに。

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目隠し鬼 水白 建人 @misirowo

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