第4話
ミソギ少年は丸眼鏡を外し、
ふつうの鬼ごっことの違いは鬼の
鬼は文字通り目隠しをしながら逃げる相手を
その性質上、ものや
都会育ちがそれに気づいたのは、
「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ」
押しに押されて目隠しを受け入れたミソギ少年にわかるのは、ユウキの声がうわずっていることぐらいだった。
もっとも、
かからなかったというのに。
「はいタッチ」
「わっ。……へへ、捕まっちゃったね」
「じゃあ次はユウキが鬼に――!?」
ミソギ少年は鬼を代わってもらうべくハンカチをほどき、しかして
無理からぬ話だ。ついさっきまで夕暮れだったにもかかわらず、
「そ、そんなに経ってたっけ……」
よく
もしかすると、ユウキを追ううちに走っていたかもしれない。
だが、やはり、息切れもせずにほんの数分で遠くの山へ至るなど、子どもの足では非現実的だろう。
『――
ふと、ミソギ少年の脳裏に父の言葉がよぎる。
『
現実主義の都会育ちとて、そう疑わずにはいられなかった。
『過去四十年間、毎年のように
ミソギ少年の
――どうして彼は、ユウキは、なおも笑っているのだろう?
異常ならざる
「……まるでこうなることを、望んでたみたいじゃないか」
「っと。これで準備ができたよ」
「待てよユウキ……待てって、なあ……!?」
「さあミソギ、手をたたいてごらん。今度はぼくがきみを捕まえてあげるから」
遊び盛りの学童はこれが遊びであったことも忘れ、両目を隠した鬼の少年から夢中になって逃げ出した。
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