第1章 魔法少女が見ている夢。09話
目の前に小悪魔が浮いている。
夜になって。
気がついたらドミドゥがいた。
ちゃんと戸締まりはしてたのだけれど……。
まぁそういうのは関係なさそうだな。
そうあさひは結論づける。
ドミドゥがいることが普通に思えて。
なぜだかあたり前のことのように感じた。
あさひ「それで……」
あさひ「何か用でもあるのか?」
ドミドゥ「ソウダナ」
ドミドゥ「ヨウスヲミニキタ」
ドミドゥ「ッテトコロダ」
あさひ「様子って俺の?」
ドミドゥ「オマエイガイニナニガアル?」
あさひ「そうする理由は分からないんだけどな」
あさひ「…………」
ドミドゥ「ドウカシタカ」
あさひ「いや……」
あさひ「何だか変な感じがして?」
ドミドゥ「ヘン……?」
あさひ「こうやってドミドゥと喋るのが」
あさひ「懐かしいというか……」
ドミドゥ「ソウナノカ」
あさひ「そうなんだよな」
と考えても。
やっぱりドミドゥとは初対面のはずだし。
何かの気のせいだろうとあさひは思う。
ドミドゥ「ホカニハ?」
あさひ「他に?」
ドミドゥ「ホカニナニカキニナッタコトハナイカ?」
あさひ「気になったこと……。
と考えて。
そちらの方はするっと出てきた。
あさひ「街に見覚えがあるようでない家があるんだ」
あさひ「何だかすごく気になって」
あさひ「何かすごく大事なものがあるような……」
ドミドゥ「ホウ……」
あさひ「えちるに聞いても普通の家って言うし」
あさひ「多分他の人に聞いても同じだと思う」
あさひ「見た感じは普通の家だし……」
ドミドゥ「ソレデモオマエハソレガキニナルンダナ?」
ドミドゥの質問にあさひはうなずいて答える。
やっぱりあさひはあの家のことが気になって。
家の中に何があるのか確かめたくなって……。
あさひ「それに……」
そう言ってあさひは視線を動かす。
ドミドゥのすぐ横。
置いてあるくまのぬいぐるみ。
いわゆるティディベアというもの。
あさひ「ずっと置いてあるけ」
あさひどこれって俺のだったかなって……」
どう考えてもあさひの趣味ではない。
でも……。
ずっと前からそこにあって。
誰か大事な人から貰ったような気がして……。
でも、それは……。
えちるではなくて……。
あさひ「何か大事なことをすっぽりと忘れてるような気がするんだよな」
ドミドゥ「……オモイダシタイカ?」
あさひ「……俺は何か忘れてるのか?」
ドミドゥ「ソレハオレニモワカラナイ」
ドミドゥ「デモ……」
ドミドゥ「ソノイエニハイレバナニカワカルカモナ」
あさひ「…………」
あさひ「……まぁ気が向いたらな」
何か大事なことを忘れてる。
そんな感覚はあるけれども。
意識したらさらに大きくなったのだけれども。
そういうことはよくあることかもしれない。
ドミドゥ「シカシココハイイセカイダナ」
あさひ「そうだな」
ドミドゥ「ミンナシアワセデ」
あさひ「うん」
ドミドゥ「ケンカモイジメモギャクタイモナクテ」
あさひ「うん」
ドミドゥ「ソシテ……ダレモシナナイ」
みんなが幸せなのは当たり前。
喧嘩、虐め、虐待はフィクションの世界のものだ。
もちろん誰かが死ぬことだって……。
あさひ「でもそれって当たり前のことだろ」
ドミドゥ「コノセカイデハナ」
あさひ「そうじゃない世界もあるってことか?」
ドミドゥ「ソウダナ」
ドミドゥ「ソウジャナイセカイモアル」
ドミドゥ「デモココハ……」
ドミドゥ「ホントウニユメノヨウナセカイダナ」
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