第1章 魔法少女が見ている夢。07話


あさひ「疲れたな……」


あさひはそう言って汗を拭う。

日課のランニング。

あさひは朝が苦手なので夜に走っている。

本当は朝の方がいいと分かってるんだけれど……。

でも、しょうがないよなとも思う。


あさひ「やっぱりここはいい景色だな……」


あさひは街を見下ろしながら考える。

街に広がっている噂について。

この街には悪魔と魔法少女がいる。

そんな噂は何度も聞いた。

悪魔は人を襲い。

そして魔法少女は人を助けるらしい。

魔法少女の方はなんとなく信じている。

あさひ自身は見たことはないのだけれども。

実際にたくさんの目撃した人がいるし。

助けられた人もいるから。

えちるも昔は魔法少女に憧れていて。

実際に助けてもらったこともあるらしくて。

小さい頃はずっとそんな話をしていた。

でも……。

今はそんな憧れもなくなってみたいで。

いつの間にか魔法少女の話をしなくなったし。

なんとなくだけれども。

あさひも話題に出すことはなくなった。

だから……。

魔法少女はいるかもしれないけれど。

自分には何も関係ない存在。

そう思っていて。

悪魔については……。


あさひ「そんなのいるわけないよな」


そう結論づけている。

魔法少女は信じているけれども。

悪魔は信じていない。

自分でも変だと思うけれども。

そうとしか思えなくて……。


あさひ「冷えてきたな」


そろそろ帰ろう。

また明日の朝に起きなくちゃいけないしな。

あさひはまた走り出そうと……。


あさひ「!!」


一瞬の出来事だった。

目の前に何かいた。

さっきまで何もなかった場所に。

何か黒くて……。

何か大きな羽と牙があって……。

あれはどう見ても……。

頭の中は思考でいっぱいになるけれども。

体はまったく動かなくて。

悪魔は本当にいたんだと分かったけれども。

このままでは噂通り……。


緑の魔法少女「ここにいたんだね」


紫の魔法少女「街の平和はわたし達が守る!」


赤い魔法少女「私が動きを止めてますね」


小悪魔「サッサトオワラセロヨ」


見るからに魔法少女な3人。

1人は緑で、1人は薄い紫で、1人は赤で……。

それにマスコットのような小悪魔が1匹……。

やはりあさひは何もできずに。

ただ悪魔と魔法少女が戦ってるのを見ていた。


赤い魔法少女「ほらほら」


赤い魔法少女「その程度のスピードしか出せないのかしら?」


赤い魔法少女は長い件で悪魔と戦う。

悪魔がふるう爪やしっぽをはじき。

自身は剣先で切っていく。

空中で踊ってるみたいだとあさひは息を飲む……。


緑の魔法少女「準備できた」


緑の魔法少女「もう大丈夫」


緑の魔法少女はぶつぶつと詠唱を唱える。

淡い光が魔法少女を包み……。


緑の魔法少女「……捕まえた」


悪魔の体に鎖がまきつく。

足元には魔法陣があり。

しっかりと動けないようにしてるのが分かった。


緑の魔法少女「とどめはおねがいね」


紫の魔法少女「うんっ!」


紫の魔法少女「いくねっ!}


紫の魔法少女が両手を出す。

大気中から出てきたように炎が手をつつむ。

先ほどとは違い太陽のような光が見えた。

炎はどんどんと大きくなり。

それに合わせて明るさもましていく。


紫の魔法少女「えいっ!」


その炎が打ち出され。

一直線に悪魔へと……。

そして……。


緑の魔法少女「一件落着だね」


紫の魔法少女「今日も街の平和を守れたねっ!」


赤い魔法少女「一応目撃者の記憶を曖昧にしておきますか」


赤い魔法少女「私達の正体はバレませんが」


緑の魔法少女「悪魔に関してはちゃんと消しとかないと」


紫の魔法少女「だよね」


紫の魔法少女「見つけた時はびっくりしたけど……」


紫の魔法少女「守れて良かった!」


戦いが終わり。

さっきまでいた悪魔はどこにもいなくて。

和気あいあいと魔法少女たちが話していて……。

そこで俺は気がつく。


あさひ「あれ……お前らって……」


あさひ「生徒会長に……」


あさひ「転校生に……」


あさひ「それと……えちる……だよな?」


俺の言葉に赤い魔法少女と紫の魔法少女は驚きの表情を見せ。

緑の魔法少女はどうでもよさそうで。

小悪魔はにやりとあやしく微笑んだ。

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