第1章 魔法少女が見ている夢。06話
学校が終わって。
いつものように並んで帰る2人。
いつもはあさひが話をして。
えちるが相槌を打ちことが多いのだけれど。
今日は逆で。
えちるが積極的に話をした。
内容は、桜子との交流について。
一緒にお昼ごはんを食べて……。
どんなことを話したのかとか……。
桜子の好きなものとか……。
自分が好きな本を教えたとか……。
えちるはそんなことをたどたどしく話した。
えちる「それでね……桜子ちゃんがね……」
えちる「これからも……お昼……一緒に食べようって……」
あさひ「良かったな」
あさひ「新しい友だちができて」
えちる「……うん……」
えちる「凄く……嬉しい……」
つぶやくように言うえちるだけれど。
本当に嬉しく思ってることが分かって。
少しの寂しさを感じながらも。
あさひも同じように嬉しいと思えた。
あさひ「あれって……」
会話の切れ間にあさひは言った。
思わず……と言った感じで。
えちる「どうか……したの……?」
あさひ「あんなところに家なんかあったかなって……」
あさひの視線の先には家がある。
それは本当に普通の家で。
取り立て見た目に変なところはない。
えちる「えっと……」
えちるもその家を見て。
それはえちるから見ても普通の家で……。
えちる「なんだか……よく分からないけれど……」
えちる「前から……あったんじゃ……ないかな?」
あさひ「まぁそれはそうだよな」
新しい家を建てているならそれこそ工事などで気がつくはず。
それがなかったとしたら……。
あさひ「前からあそこに家があった」
あさひ「そう考えるのが普通だよな」
えちる「あの……家が……気に……なるの……?」
あさひ「うん」
気になるというか……。
普通の家と違って……。
何か大事なものがあるような……。
あさひ「えちるは気にならない?」
えちる「わたしは……その……」
えちるは少し考えるけれども。
えちる「あんまり……何とも……思わない……かな」
あさひ「俺が変に引っかかってるだけかもな」
普通の家だから。
風景に溶け込んでしまって。
今まであることに気が付かなかったのかもしれない。
そして……。
あることに気がついたから。
何だか変に特別視してしまうのかもしれない。
あさひは自分でそう納得させる。
どこからどう見ても普通の家なのだから……。
あさひ「変なことを言ってごめん」
えちる「ううん……大丈夫……だよ……」
えちる「そういうことって……たまに……あるから……」
あさひとえちるはそうやって家の前を歩く。
なんの変哲もない、普通の家。
そうにしか見えないけれども。
あさひにはやはり家の存在が気になってしまった。
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