昼休み

昼休みはお昼ご飯を食べる時間。購買に行ったり、持参したお弁当を食べたり。それは人それぞれである。


私は、薫子と一緒に、屋上にあるベンチでお弁当を食べる、というのが昼休みの過ごし方だ。


そんな昼休みにもちょっとした楽しみがある。


それは、彼を見つける事。

とはいえ、どうやって見つけるのかと言うと、彼は昼休みに必ずサッカーをする。

そのサッカーをするメンバーの中から彼を探し、お弁当を食べながらプレーを見るというのが私の楽しみなのだ。


「今日もサッカーしてるね。毎日してて飽きないのかね?」

「どうなんだろうね。私はサッカーをしている所、見るの好きだけどな」

「何、実咲ってそんなにサッカー好きだったっけ?」

「ううん。全く」


サッカーが好きなのではない。サッカーをしている彼を見るのが好きなのだ。

これは私にしか分からない気持ち。そして、誰にも理解できない気持ち。


「そろそろチャイム鳴る!教室戻らないと」

「うん」


『私の気持ち、彼には届かないんだろうな。きっと』

名前も、クラスも知らない。そんな彼に思いは届かない。

届くはずもない。


「実咲?早く!遅れちゃう」

「今行く!」


想いは募るばかり。

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